第十五章
「ははははっ」
「何がおかしい?」
翌日、そんな話をしたら佳苗に笑われたのだ。
机をドンドンと叩く。
「なんかお母さんみたいな感じい」
「……そうかい」
有紗は頬杖をついた。
彼女のくせはいつもそうしていることと、貧乏ゆすりである。
「昨日の服大丈夫だった?」
「うん、なんとか大丈夫だったあ、庵ちんにも言っといて」
昨日はあれほど泣いていたのに、今朝家を出るときは笑顔だった。
所詮は子供だ。やはり、そんなものだろう。
今度から庵にはプラスチック製のコップで飲ませようと、あの時有紗は思った。
たしか有紗の手の届かぬ棚に眠っているはずだ。
帰宅。
もう夕飯の準備をし始めたようで、いい匂いがただよってくる。
献立が何かは匂いだけではわからなかった。
「ただいまー」
庵がニコニコしながら出迎えてくれた。
とても輝かしい笑顔だ。
手には鉛筆を持って、絵を描いていたらしい。
よく見るアニメなんかで見る小さな幼女の遊びなんかはこういうのが多い気がする。
「わぁ……なんだろうこれ」
しかもその絵のクオリティまでアニメの幼女並だ。
あまりうまくはないけれど頑張って書いていたのだろう。
庵は何か物欲しそうな目でこちらを見てくる。
何も今、持っていないのだが。
とりあえず部屋に戻って鞄だけ置いてきた。
暗い部屋から出ると、庵が更に何かを訴える目で。
「えっ……何」
扉の前に立っていたのだ。
部屋に入りたいのなら言ってくれれば扉を開けてやったのに、
あぁ、でも庵には無理であった。
それならばリカちゃんでもよかったのに。
「ここにおるんやけど?」
リカちゃんが床を転がりながら……。
不気味である。気持ち悪い。
こちらにくるとにょこにょこと歩いて有紗の足を登ってくる。
「あの絵、見たんやろ?」
「えぇ……見ましたが」
「ご褒美がほしいみたいなんやけど?」
「……持ってませんが」
ええぇ、と言われた。
飴ちゃんが欲しいのならば、お母さんにもらってくればいいのに。
でも考えてみればこの2人じゃそれは無理だった。
しゃべるぬいぐるみ、君が悪すぎる。
「わかったわかった、ちょっと待ってて、持ってくるから」
「ちょっと」
リカちゃんの言葉も届かず、有紗はキッチンまで言ってしまった。
本当は飴をねだりに来たわけじゃないのにねー、と庵に言った。
庵の表情がなんだか可哀想だ。
飴じゃ駄目なのだ。飴じゃ。
「苺味でよかったかな?」
「……」
庵は笑いもしないから、有紗はびっくりした。
昨日もこの飴をおいしそうに食べていた
すいません、結構間が空いてしまいましたね。
小説の事を忘れていたわけではございません。
ここのところテストやら色々ここに座ることができなかったんですよね。
一週間前に終わったわけですが、
なんとなく描くのに息詰まりまして。
やっぱり書いてて面白い、というかなんというか
うまく語源化しにくいのですが
続きがさっさと書きたくなるような所じゃないんですよね、ここは。
正直省いてもいいような、無くてもどっちでもいい場所を描いておりまして。
すいませんね、いい加減で。
ごめんなさいです。