かわるとき
確信して可哀想な事をしたと思った。
彼女はそういう性格だからよくわかる。
よく自分に似ている。
小さな力を背中に感じた。振り返る。
そしたら山田真由がいた。
自分をかなり心配していたようだが、今の自分にはそんなものはいらない。
拓斗は一人になりたかったが、それほど深く考えるものでもないと思った。
有紗は友情の方を大事にするのかもしれない。
自分とは違う点の一つだ。
「ねぇ、もう嫌いなのかもよ。有紗ちゃん」
「……」
山田真由の言葉はさらに拓斗を傷つけた。
席に着いたのに、わざわざ自分の席まで来てその言葉を吐いたのだ。
そんなことぐらい察していたのに、他人からもそう見えるのだ。
そのとたん、急に悲しくなったけど腹立たしい気持ちでいっぱいになった。
有紗に向けてではない。佳苗に嫉妬しているのだ。
なんと情けない。そんなのを表に出しては逆に避けられるかもしれない。
幼いながらも彼の頭はよく動いていた。
「有紗ちゃんなんて忘れちゃいなよ。本人が嫌ってるのにまだすり寄るの?可哀想だよ」
こんな話をしていてもまわりは気付いていないだろう。
教室のざわめきは一層レベルアップしたもようで、よかった。
他の友人にはこのことはバレていない。
別に2人一緒になっていたわけじゃないけど、ふられたようなものだ。
「……そんなに好きだったんだぁ、島谷くんて。あんなおとなしい子のどこがいいのか解らないけど」
「意外と明るいんだよ……優しいし、ごく一部にだけだけど」
そう見えるだけだって、山田真由は大股で戻っていった。
有紗は結構我慢する部分が有るとなんとなくわかっていた。
昔からよく一緒にいたりしたが、迷惑をかけても笑ってくれるだけだった。
自分が傷つくからきっと有紗は拓斗が嫌いな事を隠しているのだ。
そして佳苗が手をひいて連れて行った。
佳苗はすこしわがままでうるさい面もあるが、わりと友達思いでまわりによってくる子も多い。
有紗が自分を嫌っている事を知っていたからいつものよう、佳苗が勝手に走ったかのようにふるまって自然と遠ざけたふりをしたのかもしれない。
だったら今日から一緒に帰るのはやめよう。
そう拓斗は確信したのだった。
「ね、今日はさびしく一人で帰っちゃうのぉ?」
「……またお前か」
教室が狭すぎて荷物と机がぶつかる音がする。
ガッゴゴッ。その音で拓斗のまだ高くあどけない声はかき消される。
山田真由は柔らかいほほえみを見せた。
拓斗はそれに見向きもしなかったけど、ずっと笑っていた。
無言で教室を立ち去る拓斗を見てちょっとがっかりした。
「なぁーによ。アタシだって島谷君と楽しく帰ってみたいと思ったのに」
ここからちょっと主人公は拓斗さんな感じです。
かいてるうちにだんだん自分の性格が人物に反映されますね。
すぐおちこんで考えすぎるところなんか、不自然ですが私はこんな人間なのです。ごめんなさい。
小説後半ではグロテスクシーンを書こうと思ってるのですが、最初のほうはよくある恋愛小説っぽくてまったく面白くないですね。
今後も面白くなるか怪しいというか、そんな確信は中々見えてきませんが読んでくださってるみなさんありがとうございます。