5話
カメ
黄金の獅子と裏切りの銀弾
重厚な鎧に身を包んだカイザーは、大剣を地に突き立て、目の前の光景を睨みつけていた。彼の視線の先にいるのは、冷徹な笑みを浮かべる男、ルナだ。
「……ルナ、なぜだ。俺たちは共に世界を救うと誓ったはずだろう」
カイザーの声は、裏切りへの怒りよりも、深い悲しみに震えていた。ルナは美しく長い髪を指先で弄びながら、冷酷な銃口をかつての友に向けた。
「悪いね、カイザー。君の『正義』はあまりに眩しすぎて、僕には眩暈がするんだ。それに……彼の方が、より魅力的な報酬を提示してくれたんでね」
ルナは男でありながら、その立ち居振る舞いは妖艶で、どこか浮世離れしていた。彼が引き金を引こうとしたその時、教会の奥から不気味な笑い声が響き渡った。
甲羅の魔王と唸る猛犬
「ガハハハハ! 仲間割れか? 見苦しいのう、カイザー!」
巨大な椅子にふんぞり返り、メロンパンのような模様が入った禍々しい甲羅を背負った男――カメパンが現れた。彼は悪の組織「ブレッド・シェル」の首領であり、この大陸を恐怖で支配する暴君だ。
「カメパン……貴様だけは許さん!」
カイザーが踏み出そうとした瞬間、カメパンの影から一匹の巨大な犬が飛び出した。
「バウッ! バウバウイッヌ!!」
その名はバウバウイッヌ。カメパンの忠実な僕であり、一度食らいついたら標的が塵になるまで離さないと言われる魔犬だ。バウバウイッヌは牙を剥き出し、カイザーの行く手を阻む。
「バウバウイッヌよ、その黄金の鎧を噛み砕いてやれ!」
カメパンの号令と共に、魔犬が吠え、ルナが銃火を放つ。二人の強敵と、かつての友の銃弾。カイザーは絶体絶命の窮地に立たされた。
決戦、断罪の咆哮
「……ふん、一人対三人のつもりか?」
カイザーは不敵に笑うと、背中のマントを投げ捨てた。彼の全身から黄金の闘気が溢れ出す。
「ルナ、お前の迷いはその銃弾に現れている。カメパン、お前の野望はこの剣で断ち切る! そして犬……お前には後で美味い肉でも食わせてやる!」
「バウッ!?(肉!?)」
一瞬、バウバウイッヌの動きが止まった。その隙をカイザーは見逃さない。
「カイザー・ノヴァ・スラッシュ!」
黄金の閃光が教会を包み込む。裏切りの弾丸を弾き飛ばし、魔王の甲羅を真っ二つにする一撃。崩れ落ちる天井の下で、カイザーの戦いはまだ始まったばかりだった。
パン




