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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第四章 上級編

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第65話 匿名市場の罠 ――ディープウェブ取引の影


 インフォシティの地下、煌びやかな大通りから外れた薄暗い回廊。

 そこには「水鏡回廊」と呼ばれる領域があった。

 表の検索では絶対に出てこない、いわゆるディープウェブの一角だ。


 さらに奥へ進むと、《匿名市アンダーマーケット》と呼ばれる闇の市場が姿を現す。

 仮面の仲買人たちが囁き合い、妖しい光を放つ屋台にデータの束が静かに並ぶ。


「これが……噂の“ディープウェブ・アーケード”?」

 ミミが不安げに声を落とした。


「招待制フォーラムしか入口がない。

 普通の市民はたどり着けぬが……

 ここでの出来事は必ず表に影を落とす」

 ルークが冷静に市場を見渡す。


 リナは眉をひそめる。

「盗難口座データ、偽造書類、マルウェア……。

 匿名で安く買える“安心感”そのものが罠よ。

 ここは“誰も責任を取らない世界”」


「レア筋肉サプリ売ってるぴこ?」

「あるわけないでしょ!!」

 全員が揃ってツッコんだ。


 出品棚には信じがたい商品が並んでいた。


「盗難データ束・10万人分」

「フィッシングキット一式」

「ボットネット利用券・1週間」

「偽造IDカード・即日発行」


 取引には“エスクロー風仲介”が利用されていたが――

 実態は出口詐欺の温床。


「評価が全部星五つ……嘘くさすぎない?」

 ミミが指を差す。


「ほとんど自作自演よ。

 “信頼に見える仕組み”こそ最大の罠」

 リナは冷たく言い放つ。


 その時、市場の中央に巨大な影が立ち上がった。

 仮面をつけた膨れた怪物――《クローク・エスクロー》。


「我こそ預かり人。

 金も信用も、この腹に収め肥え太る者!」


 吸い込まれていくのは金貨だけでなく、

 大量の“高評価レビュー”までもだった。


「客どもは安心しきって取引する……

 だが最後に“すべて飲み込んで消える”――

 それが出口詐欺よ!」


「ぴえええ!? そんなの筋肉の風上にも置けないぴこ!」

 ぴこたんが悲鳴を上げる。


 市場全体に号令が響いた。


「大規模流出データ、大量放出!!」


 瞬く間に、インフォシティの市民の端末へスパムが殺到。

 なりすましアカウントが増殖し、

 銀行口座凍結や、勝手に組まれたローンが爆発的に発生した。


「こんな……ひどい……!」

 ミミの目に涙が滲む。

「友達も巻き込まれてる……!」


「やはり根を断たねば終わらない」

 ルークが剣を構える。


 だが《クローク・エスクロー》は預かり金を丸呑みしながら

 市場ごと蒸発しようとしていた。


「逃がさぬ――《痕跡照査トレース・スキャン》!」

 ルークの剣が光を放ち、金の流れと改ざん履歴を照らし出す。

 偽装経路や矛盾したタイムスタンプが露骨に浮かび上がった。


「証跡は嘘をつかぬ!」


 続いてリナが魔法陣を展開する。

「《責任連鎖封印リアビリティ・チェイン・ロック》!」


 利益の流れを凍りつかせ、

 換金口や正規取引所へ強制通報ラインが接続される。


「これで金の逃げ道は塞がったわ!」


 ミミは光を胸に集め、掲げた。

「《被害者のビクティム・ライト》!」


 市場に被害者たちの声が響き渡る。


「借金が勝手に作られた!」

「口座を凍結された!」

「偽レビューに騙された!」


 買い手たちの表情が一気に青ざめ、

 《クローク・エスクロー》の腹に深いひびが走る。


「今だぴこーーーー!!」


 ぴこたんが《心盾筋壁マインド・シールド》で市民を守りながら突撃し、

 渾身の一撃を放つ。


「必殺――《痕跡破砕拳トレース・クラッシュ》!!」


 拳が偽レビューの核を粉砕し、

 《クローク・エスクロー》は泡のように崩れ落ちた。


 市場は蜘蛛の子を散らすように消滅し、

 仮面の仲買人たちは光の中に消え去った。


「資金の流れは一部遮断できた。

 被害者の救済につながるだろう」

 ルークが剣を納める。


「でも完全に取り戻すことは難しい。

 一度闇に渡ったデータは、半永久的に流通し続ける」

 リナの声は厳しい。


 ミミは涙を拭い、拳を握った。

「“知らないうちに加害側になる”……

 もう誰も、こんな市場に近づかないで!」


「ふっふっふ、筋肉サプリは正規ルートぴこ!」

 胸を張るぴこたんに、仲間全員の総ツッコミが飛ぶ。

「闇筋肉サプリなんて存在しないから!!」

---


――教訓まとめ――


今回のテーマは「匿名市場(ディープウェブ取引)の“偽の安心感”」ぴこ


匿名・安い・早い――その裏にあるのは、責任不在と被害の連鎖ぴこ。

見せかけの“安全システム”ほど危険なものはないぴこね。


みんなも覚えておくぴこ!

1.ディープウェブの評価やエスクロー風の仕組みは“信頼”に見せかけた罠

2.闇市場で得する買い物など存在しない。出口詐欺・マルウェア・偽装商品の宝庫

3.違法データやツールの購入は、自分も“加害側”に回るリスク

4.被害を減らすには、流出通知の監視・二段階認証・定期的な明細確認が必須


ルーク「匿名は盾にも刃にもなる。扱いを誤れば闇に呑まれる」

リナ「“安い理由”を疑うのがリテラシーよ。裏側の仕組みを必ず想像して」

ミミ「見えない場所での取引ほど危険だから、近寄らないのが一番!」

ぴこたん「筋肉サプリは正規ルート一択ぴこ!」

全員「そもそも闇サプリなんてないから!」


---


次回予告:

闇市場の崩壊で回収された“とある暗号データ”が、不穏な反応を示す。

古い鍵が自然に揺らぎ始め、誰もが当然と思っていた“守り”が軋み出す。

次回、量子の時代が迫る中、インフォシティは新たな防御の設計を迫られるぴこ。

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