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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第三章 社会編

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第45話 炎上による企業イメージ失墜 ――ブランドが一夜で崩れる


 インフォシティの繁華街は、夜でも昼のように明るかった。

 ガラスの塔の壁一面に広告映像が映し出され、

行き交う人々は色鮮やかな光に照らされている。


 その中心にそびえるのは「グラン・カンパニー」の巨大本社ビル。

 煌びやかな看板には笑顔のモデルが映り、「あなたの生活をより豊かに」と謳っていた。

 食品から衣類、魔導デバイスまで幅広く手がける企業で、

インフォシティの人々から絶大な信頼を得ていた。


「うおおっ、すごい看板ぴこ!

 このキラキラ感、まさに筋肉のように輝いてるぴこ!」

 ぴこたんは胸を張りながら見上げ、両腕の筋肉を誇示するようにポーズを取った。


「筋肉と企業ブランドを一緒にするなよ……」

 おぬしが呆れていると、ミミがスマホを見ながら声を上げた。


「ちょっと待って!これ見て!」

 画面には拡散中の画像が表示されていた。


《グラン・カンパニーの裏側!不衛生な工場の様子!》

《従業員が奴隷のように働かされている!》


そこには暗い工場で汚れた作業場や、疲れ切った表情の従業員らしき姿が写っていた。


「な、なんだぴこ!?

 この企業、もう終わりぴこ!?

 商品は全部燃やすしかないぴこー!」

 ぴこたんが剣を抜いて大騒ぎする。


「ちょ、ちょっと待って!」ミミが慌てて止めた。

「この画像、本物なのかな……?

 なんか切り取りっぽい感じもするけど……」


 ルークが真剣な声で答える。

「炎上の恐ろしさは、事実と誤解が入り混じることだ。

 ほんの一枚の写真や短い文章で、人々の怒りが一気に燃え広がる」


 リナが腕を組み、険しい表情で言った。

「企業の信頼は積み重ね。

 長い年月をかけて築いてきたものでも、一夜で崩れるのが“炎上”なのよ」


---


 その瞬間、繁華街の巨大スクリーンが一斉に赤く染まった。

「拡散希望!」

「#グラン不買」

「#裏切りの企業」


 SNSのタイムラインが立体的に空に投影され、文字が燃え上がるように広がっていく。

 街の人々はスマホを見て、怒りの声を上げ始めた。


「こんな会社の製品、二度と買わない!」

「不買だ、不買!」

「騙してたなんて最低だ!」


 怒号と呟きが波のように押し寄せ、繁華街全体が熱を帯びる。


「ひえええ、もう終わったぴこ!

 オレの愛用してたプロテインも全部アウトぴこー!」

「……プロテインは関係ないでしょ」ミミが小声で突っ込む。


---


 そして現れたのは、赤黒い炎に包まれた魔物――《フレイマーズ》。

 その体は無数の口でできており、口々から火のような“投稿”を吐き出していた。


「スクショの切り取り!」

「匿名の怒号!」

「拡散希望!」


 火種のような言葉が次々と放たれ、街の看板や広告を焼き尽くしていく。

 美しかった「グラン・カンパニー」の巨大広告も、

真っ赤な炎に覆われ「裏切り者」の文字に塗り替えられた。


「うわああっ!街が炎上していくぴこ!」

 ぴこたんは右往左往しながら叫ぶ。


 ルークが剣を構える。

「この炎は言葉の炎。

 煽られた群衆が燃料になり、炎上は止まらなくなる」


 リナが真剣な顔で付け加えた。

「このままでは企業だけでなく、市場全体の信頼まで失われるわ」


---


 群衆はさらに熱狂し、暴徒化しかけていた。

「製品を叩き壊せ!」

「不買運動だ!」

「企業は市民を裏切った!」


ミミが涙目で訴える。

「みんな落ち着いて!

 その画像、本物かどうかまだ分からないのに!」


 しかし群衆は聞く耳を持たず、怒りの声が大きくなるばかりだった。


「くっ……!」

 おぬしは魔法陣を展開し、叫んだ。

「《情報検証》!」


 光の糸が炎の投稿を照らし出す。

 すると、一部の画像は別の国の工場のものであり、

時間を切り取られた古い写真であることが判明した。


「見ろ!

 この写真は改ざんされている!出所も怪しい!」


 ルークも剣を振り、さらに光を放つ。

「《真実照明ファクトライト》!」

 炎の中から、偽の情報がノイズとなって崩れていく。


---


 だがフレイマーズは咆哮した。

「真実など関係ない!人が信じれば、それが現実だ!

 怒りと憎しみの拡散こそ、我の力!」


 さらに大きな炎が広場を覆い、人々は怒りに呑まれていく。


 リナが前に出て、光る書簡を掲げた。

「市民の皆さん!これがグラン・カンパニーの公式声明よ!

 確かに問題はあった。でも改善策をすぐに打ち出している!

 噂や切り取られた画像だけで判断しないで!」


 群衆の一部が我に返り、炎が少し弱まった。


---


「今だ、時間を稼ぐぴこ!」

 ぴこたんが雄叫びを上げ、全身の筋肉を隆起させた。

「必殺――《雲防護壁クラウド・シェルター》ッ!」


 筋肉の壁が雲のように広がり、炎の奔流を食い止める。

 仲間たちのファクトチェックと公式情報が、市民に届く時間を作り出した。


「いまだ!《心盾筋壁マインド・シールド》!」

 ぴこたんがさらに筋肉の盾を繰り出すと、炎は次々に押し返され、

街の広告は元の姿を取り戻していった。


 フレイマーズは断末魔のように叫び、炎の口々を閉ざして霧散していった。


---


 静けさが戻ると、群衆は互いに顔を見合わせた。

「……俺たち、ちょっと感情的になりすぎてたな」

「噂をそのまま信じて拡散するところだった」


 ルークは剣を収め、静かに言った。

「炎上は企業だけでなく、社会全体の信頼を損なう。

 感情に流されず、出所を確認することが何より大切だ」


 ミミは頷きながら言った。

「一瞬のシェアが誰かを潰すかもしれない……。怖いね」


 リナは厳しいが優しい声で結んだ。

「ブランドは築くのに年月がかかるけど、失うのは一瞬。

 情報を扱う市民一人ひとりにも責任があるのよ」


「よぉし!オレの筋肉ブランドは絶対炎上しないぴこー!」

 ぴこたんがポーズを決めると、全員が一斉に叫んだ。


「「むしろ毎日炎上してるでしょ!!」」


---


――教訓まとめ――

今回のテーマは「企業の炎上」だったぴこ。

ブランドも筋肉も、毎日の積み重ねで育つものぴこね。

でも一瞬の炎上(感情の爆発)で、信頼という筋繊維はすぐ断裂してしまうぴこ。

ネットの火は、誰かの怒りよりも“共有ボタン”の速さで広がるぴこ――だからこそ、押す前に一呼吸ぴこ!


みんなも覚えておくぴこ!

1.怒りを感じたら、すぐに拡散せず出所と公式発表を確認ぴこ。

2.「みんなが言ってる」は根拠じゃないぴこ。一次情報と複数ソースを照合ぴこ!

3.炎上は誰かを倒すだけでなく、信頼という市場を焦がすぴこ。


リナ「企業の信頼は“情報の透明性”と“対応の早さ”で守られる」

ミミ「感情より事実、勢いより冷静……大事だね」

ルーク「言葉は火にも盾にもなる。扱う者の理性が試される」

ぴこたん「うむ!オレは筋肉の鎧で冷静さを保つぴこー!」

「その前に服着て!」ミミの全力ツッコミで、広場に再び笑いが戻ったぴこ。


---


次回予告:

誰かの視線が、君の行動を追っている――。

“見られている”安心と“監視される”不安、その境界が揺らぐ夜へ。

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