表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第三章 社会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/73

第43話 AI生成フェイク ――本物そっくりの偽映像


 インフォシティの夜はいつもきらびやかだった。

 光り輝く塔が空を突き抜け、魔力で編まれた情報の流れが空中に帯のように走っている。

 商人たちの声、魔導スクリーンに映る宣伝映像、通りを行き交う人々のざわめき

――そのすべてが混じり合い、都市を巨大な祭りのように彩っていた。


 ぴこたんは鼻息を荒くして広場を歩いていた。

「ふっふっふ、今日の筋肉も絶好調ぴこ!

 この大通り、みんなオレの筋肉美に見とれてるぴこな!」

 横で歩くミミが呆れ顔で言う。

「誰も見てないよ……。

 あ、あっちのスクリーン、何か流れてない?」


 中央広場の巨大スクリーンが、突如として暗転し、一人の人物を映し出した。

 それは市民の信頼を集める議員だった。

 凛々しい顔立ちで、清廉潔白を信じられていた人物だ。


「……わたしは裏取引をしていた――金も受け取った」


 映像の議員は、重々しい口調で自らの罪を告白していた。

 場の空気が一変する。


「な、なんだと……」

「信じられない!あの人が……!」

 群衆のざわめきが波のように広がっていく。怒号、失望の吐息、罵声。


「こ、これは大事件ぴこ!」

 ぴこたんは目を剥き、剣を抜いた。

「悪党ぴこ!オレが直々に成敗してやるぴこー!」


「待てぴこたん!」

 ルークがすかさず前に出て剣を構え、冷静な眼差しをスクリーンに向けた。

「……映像をよく見ろ。

 表情の動き、音声の響き、微妙な違和感がある。

 これは……AIで作られた偽映像の可能性が高い」


「ええっ、でも……」

 ミミが端末を操作しながら青ざめる。

「SNSではもう“本物”って拡散されてるよ!

 ほら、《裏切り者!》《辞職しろ!》《炎上必至!》って

 コメントがすごい勢いで流れてる!」


 リナは眉間に皺を寄せ、市場の魔導石を覗き込んだ。

「……株価が急落してる。

 たった一つの映像で、商会の取引まで狂わされるなんて。

 もしこれが偽なら……誰かが意図的に市場を操作しようとしてる」


 群衆の中には、今にも暴動を起こしそうな者まで現れ始めていた。

「ふざけるな!あの議員は裏切り者だ!」

「正義を示せ!退陣しろ!」


 広場の熱気は怒りに変わり、情報の炎が一気に燃え広がっていく。


 突如、スクリーンの映像が歪み、黒い靄が渦を巻いた。

 そこから現れたのは、背の高い影の魔物――《幻影師ディープフェイカー》。


 その姿は一定せず、瞬きのたびに顔も体も変わる。

 議員、商人、兵士、そして市民。

 さらにはルークやリナ、ミミ、おぬしの姿にまで変貌していった。


「フハハハハ!真実など下らん!

 人が信じれば、それが現実だ!」

 幻影師の声は幾重にも重なり、広場に反響する。

「映像を見た者の心は動揺し、憤怒し、拡散する!

 そして都市は混乱に包まれるのだ!」


「ひぃぃっ……あれ、わ、私そっくり……」

 ミミが後ずさると、ぴこたんが剣を振り回して叫んだ。

「おぬしが二人!?

 どっちが本物ぴこ!?リナも二人!?

 だ、誰を信じればいいぴこーーっ!?」


 偽の仲間たちが次々と現れ、ぴこたんを取り囲む。

「ぴこたん、私を信じて!」

「いや、オレが本物だぴこ!」

「違う、私だ!」


「ぎゃあああ!みんな本物っぽいぴこーーー!!」


「落ち着け、ぴこたん!」

 本物のルークが剣を掲げ、光を宿す。

「《検証のファクトライト》!」


 光が広がり、幻影たちの体に不自然なノイズが走る。

 顔の輪郭が揺らぎ、声の音程が崩れる。


「み、見える……!」

 おぬしは叫び、魔法陣を展開した。

「一次情報を追跡しろ!出所を確かめるんだ!」


「うおおお!ならば筋肉で真実を見抜くぴこー!」

 ぴこたんが筋肉を震わせ、拳を握りしめる。

「必殺――《心盾筋壁マインド・シールド》ッ!!」


 巨大な筋肉の壁が広場を覆い、幻影を押し潰す。

 ディープフェイカーの仮面が砕け散り、黒い靄が霧散していった。


 映像は消え、議員の潔白が証明された。

 暴動寸前だった群衆は静まり返り、次第に安堵のざわめきに変わっていく。


 ルークは剣を収め、静かに言った。

「……映像や音声が“真実”とは限らない。必ず出所を確かめ、複数の情報を照らし合わせることだ」


ミミは端末を抱きしめながら、肩を落とす。

「でも……正しい情報って、広まるのはいつも遅いんだよね。

 みんな怒りやショックの方が先に走っちゃうから」


 リナは真剣な顔で頷いた。

「だからこそ、冷静に見抜ける人が増えなきゃいけない。

 商売も、人間関係も、すべては信頼の上に成り立っているんだから」


 ぴこたんは筋肉を隆起させ、ドヤ顔でポーズを決める。

「よぉし!これからはオレが真実筋の勇者になるぴこー!!」


 広場の片隅で、誰かがぽつりとつぶやいた。

「……今のぴこたんもフェイクじゃないよね?」


――教訓まとめ――


今日は「見える真実と見せられる偽り」がテーマだったぴこ!

まさか議員さんまでAIに似せて作られるとは思わなかったぴこ……。

けどね、映像も音声も、“信じたい気持ち”を狙われた瞬間にフェイクが成立するぴこ。


みんなも覚えておくぴこ!

1.どんな映像も「出所・日付・発信元」を必ず確認ぴこ!

2.一つの映像で判断せず、複数のニュース・公式発表・一次情報を照らし合わせるぴこ!

3.“怒り”“恐怖”“衝撃”を感じたら、まず一呼吸。それがリテラシー筋ぴこ!


ミミ「感情を揺さぶる映像ほど、冷静に見なきゃね」

リナ「本当の信頼は“確かめた事実”の上に築くものよ」

ルーク「剣は光で磨く。情報も検証で磨け」

ぴこたん「うむ!筋肉と真実、どっちも鍛えるぴこー!」

「……どっちも汗かくからね」ミミが笑って突っ込んだ。


次回予告:

情報の奔流の中で、“投票”の光が揺れている。

誰が誰に入れたかよりも――“何に影響されたか”が問われる戦場へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ