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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第三章 社会編

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第41話 位置情報の危険 ――写真のメタデータから居場所がバレる


 地下のデータ市を後にし、ぴこたんたちは薄暗い路地を進んでいた。

 石畳には雨水が溜まり、ネオンの光がにじんでいる。

 背後でまだ、消えかけた屋台のざわめきが尾を引いていた。


「はぁ……あれは恐ろしかったぴこ。筋肉データが勝手に売られてたなんて……」

「筋肉データって何よ……」ミミがため息をつく。

「でも、次はもっと厄介なものかもしれない」リナの声が硬い。

「市場に“地図”を扱う屋台があるはず。位置情報が商品にされているの」


 彼らの目の前に、青白く光る幕が揺れていた。

 それは大きな地図の形をしており、路地の風に合わせて波打っている。

 幕の奥には、無数の赤い光点が瞬き、まるで人々の居場所を示しているかのようだった。


---


「おぉぉ!見ろおぬし!

 オレが撮った筋肉自撮りが、地図の上にポンとピン留めされたぴこ!」

 ぴこたんが笑った次の瞬間、その赤いピンは彼の自宅近くに突き刺さった。

「えっ!?オレの巣がバレたぴこぉぉ!?秘密の筋トレルームがぁ!」


 幕の前に立つ屋台主がゆらりと姿を現した。

 九本の尻尾を持つ狐――《測跡狐ジオロッサ》。

 尻尾の先はそれぞれ矢印の形をしており、地図を縫い合わせるように揺れている。


「ようこそ、旅の者たち。ここではお前たちの“今どこにいるか”が商品になる」

 ジオロッサの目が細く光り、赤いピンが次々と打ち込まれていく。


 リナは顔をしかめた。

「やっぱり……写真のメタデータ(EXIF)や、背景の看板、チェックイン機能……。

それらを組み合わせれば、居場所は簡単に割り出されるの」


---


 おぬしは《痕跡可視化》を唱えた。

 空中に光の糸が浮かび、投稿から抜き取られた要素が次々と現れる。


 ・写真のGPS座標、撮影時刻。

 ・投稿についたチェックイン情報。

 ・背景に映る店名や看板。

 ・ランニング中の連続投稿から見えるコース。

 ・家の前で撮った写真に写り込む表札。

 ・アプリに許可された常時位置情報ログ。


 それらが束ねられ、一本の道筋となって地図に描き込まれていく。

 通勤時間、帰宅時間、留守の時間までもが浮かび上がる。


 ルークが険しい声で言った。

「断片は弱い。だが束ねれば“地図”になる。生活のすべてを晒す地図だ」


 ミミが何気なくランチの写真を撮り、投稿すると……。

 ジオロッサの尾がひと振りし、地図上に青い線が伸びた。

「いい店の選び方だね。二つ右に曲がれば、君の職場にたどり着く」

「えっ……!?うそ……!」ミミの顔が蒼白になる。


---


 ジオロッサは尻尾を広げ、不気味な声で笑った。

「私は断片を繋ぎ合わせる者。

 《尾道縫合トレース・スティッチ》で生活の地図を復元し、

 《局所露見ピン・ドロップ》でお前たちの巣穴を暴く。

 そしてアプリの許可から《常在追尾バックグラウンド・ロケート》で

 お前たちの動きを生中継する……。

 心地よいリアタイが好きだろう?なら、そのすべてを差し出せ!」


 狐の尾が一斉に地図を突き刺し、ぴこたんの自宅、鍛錬場、

朝の散歩コースが次々と赤く浮かび上がった。

「な、なんでそんなにバレてるぴこ!?

 オレの朝6時のプロテインタイムまで!?!」


---


「もう許せない!」

 おぬしとリナは同時に前へ出た。


リナ「守りは消すだけじゃない。

 前もって制御することが大事なの」


 彼女は巻物を広げ、次々と呪文を放つ。


 ・《メタ断ち(EXIFカット)》:写真の位置情報を共有前に削除。

 ・《使用中のみ(パーミッション・スイッチ)》:アプリの位置情報許可を“使用中のみ”に切り替え。

 ・《時差投稿ディレイ・ポスト》:リアルタイム投稿を遅延させ、行動の現在地を隠す。

 ・《ぼかしブラー・ヴェール》:背景に映る表札や番地を自動でぼかす。

 ・《領域結界ジオフェンス》:自宅と職場の周辺は常時位置情報を遮断する結界に。

 ・《接続遮断》:不要なWi-FiスキャンとSSID自動保存をクリア。


 ルークは《偽路散布ダミールート》を放ち、過去の投稿をかき乱して生活パターンの推測を無効化する。


 ぴこたんも拳を握った。

「筋肉は逃げないが、住所は守るぴこ!

 必殺――《尾断地破テール・カット》!!」

 渾身の一撃で狐の尻尾が切り裂かれ、地図に打ち込まれた赤いピンが次々と消えていった。


 ジオロッサは悲鳴を上げ、残る尾を巻き付けて姿を消した。


---


 広場に静寂が戻る。

 地図の幕は真っ白に変わり、ただの布切れのように揺れていた。


「ふぅ……助かった……」ミミは胸をなで下ろした。

「便利さに惑わされて、何も考えずに投稿してた……」


 リナは厳しい声で言った。

「便利と即時性は魅力。

 でも、“今どこにいるか”は未来の安全と引き換えにしないこと」


 おぬしは仲間たちにチェックリストを示した。


 ・カメラの位置情報付与はオフに。

 ・投稿前にEXIFを削除する。

 ・SNSは時差投稿を心がけ、自宅周辺は投稿しない。

 ・定期ルートの連投は避ける。

 ・位置許可は“アプリ使用中のみ”、不要なアプリはオフ。

 ・背景に住所や表札が映らないよう確認、必要ならぼかす。

 ・Wi-Fi/Bluetoothスキャンを無効化し、不要なSSID接続を削除。

 ・自宅・職場周辺に“ジオフェンス”を設定。


 ミミは笑って頷いた。

「“今ここ”を見せないだけで、安心感が全然違うね」

 ぴこたんは筋肉を誇らしげに見せつけた。

「うむ!筋肉は見せても、住所は見せないぴこ!」

「そこは絶対!」仲間全員の声が重なった。


---


 だが、そのとき。

 路地の奥で淡く光る“雲”が立ち上った。

 そこには膨大な数の写真や書類が詰め込まれ、どこかへ流れていっている。


「……写真は消したのに、雲の倉庫に原本が?」

 リナが目を細めた。


 新たな罠の気配――それはクラウド流出事件の幕開けだった。


---


――教訓まとめ――


今回は「居場所の危険」がテーマだったぴこ。

オレたちが気軽に撮る一枚の写真――その中には、

“時間”も“場所”も、ぜんぶこっそり刻まれていたぴこ……!


でも安心ぴこ。筋肉と同じで、意識して鍛えれば守れるぴこ!

写真も投稿も、「ちょっと待つ・ちょっと隠す」だけで、未来の安全は全然ちがうぴこ。


みんなも覚えておくぴこ!

1.写真のEXIF情報(位置・時刻)は投稿前に削除ぴこ!

2.SNSはリアルタイム投稿せず、時差投稿を心がけるぴこ。

3.背景チェック&ぼかしで、住所・看板・学校名を守るぴこ!

4.アプリの位置情報は“使用中のみ”許可、不要ならオフぴこ!


ミミ「“今ここ”を見せないって、安心の第一歩だね!」

ルーク「位置を知られることは、弱点を晒すことと同じだ」

リナ「写真も情報も、“共有”より“管理”を意識して」

ぴこたん「うむ!筋肉は公開、居場所は非公開ぴこ!」

「……公開範囲を間違えないでね」


---


次回予告:

雲のように軽い保存先――けれど、そこに眠るのは重すぎる秘密。

誰かの手が、その扉を静かに開こうとしていた。

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