表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第二章 実践編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/73

第34話 アカウント共有トラブル ――友情を裂く共用鍵


 宿屋「クリスタルイン」の夜。

 木のテーブルにろうそくがゆらめき、仲間たちは湯気の立つスープを前に腰を落ち着けていた。

 そのとき、ミミがぱっと端末を掲げた。


「見て見て!

 新しい映像配信サービスが始まったの。

 最新映画も、筋肉アニメも、冒険ドキュメントも全部見放題!

 しかも――アカウントひとつで何人でも観れるって!」


 ぴこたんは両目をキラリと輝かせる。

「おぉぉ!筋肉映画見放題ぴこ!?

 オレも混ぜてぴこ!毎晩マッスル祭りぴこおお!」


 おぬしは眉をひそめ、スクリーンに映る小さな文字を覗き込む。

「……“何人でも”って本当に?

 字が小さいけど、“家族範囲”って書いてあるように見える」


 ルークが端末を手に取り、冷静に読み上げる。

「利用規約:アカウントは家族または同居者の利用に限る。

 友人や知人への共有は禁止」

 彼は顔を上げ、低い声で告げた。

「無制限に友達同士で回すのは規約違反だ」


「えぇ〜、でもみんなやってるよ!」ミミは頬をふくらませた。

「ちょっとくらいならバレないし、大丈夫でしょ!」


 リナが近くの席から顔をのぞかせる。

「“みんなやってる”は、危険の始まり。

 共有された鍵は、誰の手に渡るかわからないのよ」


 だが、ぴこたんはすでに大きなスクリーンで筋肉映画を再生し、

興奮気味にポーズを決めていた。


---


数日後。

宿屋の共有端末に、不審な通知が並び始めた。


「ログイン履歴:北の砦」

「ログイン履歴:東方市場」

「新プロフィール“筋肉ラブ子”が追加されました」


「ラブ子ってだれぴこ!?」ぴこたんの顔は真っ赤。

 さらに視聴履歴には「謎のホラー映像」「怪しい筋肉アニメ」が大量に追加されていた。


「勝手に追加されてる……」ミミの声が震える。

「私のアカウント、知らない人にまで使われてる!」


 おぬしは端末に術式を展開。

「見ろ、この接続先……完全に知らない領域からの侵入だ」


 ルークの声が鋭くなる。

「だから言ったはずだ。共用した鍵は、友情を裂き、砦を壊す」


---


 その瞬間――画面の奥から、鎖の音が響いた。

 重苦しい唸り声と共に、黒い獣が姿を現す。

 体中に鎖を巻きつけ、その鎖にはいくつもの鍵がぶら下がっていた。


「我は《共用鍵の魔獣シェアロック》!

 ひとつの鍵を多くの者に渡すほど、主の砦は脆くなる。

 その鍵穴は無限に広がり、知らぬ者すら招き入れる!」


 シェアロックの鎖がうねり、仲間の腕へ絡みつく。

 端末が勝手に操作され、アカウントから購入履歴が次々に刻まれていく。

「有料コンテンツ購入:銅貨999枚」「追加課金:銅貨1999枚」――。


「や、やばい!」ミミが青ざめる。

「本当に知らない人に乗っ取られてる!」

「これが“ちょっとくらい”の結果だ」ルークの声は冷たい。


---


「――《契約反照リフレクト・ポリシー》!」

 おぬしが咄嗟に詠唱し、術式を発動。

 光の壁に、利用規約の文字が浮かび上がり、シェアロックの鎖を一瞬だけ焼く。


「ぐぬぅ……正規の規約……!」


「筋肉にも限界があるように、共有にも限界があるぴこ!」

 ぴこたんが拳を握り、筋肉を隆起させる。

「オレは筋肉を分け与えるけど、鍵は分けないぴこ!

  必殺――《鍵断拳キー・ブレイク》!!」


 光をまとった拳が、シェアロックの鎖を一撃で粉砕。

 鍵は霧のように散り、魔獣の体も音を立てて崩れ去った。


---


 広場に静けさが戻る。

 通知は消え、勝手な課金も巻き戻されていた。


「ごめん……“みんなやってる”なんて軽く考えちゃった……」ミミが肩を落とす。

 リナが帳簿を閉じ、真剣な声で言った。

「規約はただの文字じゃない。

 信頼を守る契約そのもの。

 共有は友情ではなく、リスクに変わるのよ」


 ルークが頷く。

「鍵は必要な者とだけ持つもの。安易に分ければ、砦は瓦解する」


 ぴこたんは胸板を叩き、大声で宣言した。

「うむ!オレは筋肉はシェアしても、アカウントはシェアしないぴこ!」

「いや筋肉もシェアしなくていい!」

「むしろ迷惑!」

 仲間全員の総ツッコミが宿屋に響き、夜は笑いに包まれた。


---


――教訓まとめ――


今回は「アカウント共有の罠」だったぴこ!

“みんなやってるから”の一言で、思わぬ被害を呼び込むこともあるぴこね。

友情も信頼も、ルールの上に立ってこそ本物ぴこ!


みんなも覚えておくぴこ!

1.サブスクやサービスのアカウントを友人同士で使い回すのは、利用規約違反ぴこ。

2.パスワードを共有すれば、不正アクセス・乗っ取り・勝手な課金の危険が広がるぴこ。

3.「みんなやってる」は正当化の言葉ではなく、危険の合図ぴこ。

4.規約=信頼の契約書。守ってこそ安心して楽しめるぴこ。

5.本当の友情は、ルールを守るところから育つぴこ!


ルーク「鍵は必要な者にだけ渡せ。それが守りの基本だ」

リナ「“ちょっとだけ”の油断が、大きな損失につながるのよ」

ぴこたん「うむ!オレは筋肉はシェアしても、アカウントはシェアしないぴこ!」

ミミ「……筋肉もシェアしなくていいから!」


---


次回予告:

新たな街で見つけた“安すぎる取引”。

その裏に潜むのは、金貨よりも高い代償――

ぴこたん、今度こそ値札の意味を見抜けるぴこ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ