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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第二章 実践編

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第30話 買われた星――レビューの海に潜む影


 インフォシティの大通りは、今日も人々でにぎわっていた。

 行商人が声を張り上げ、露店の看板がまばゆい光を放つ。


 その中でもひときわ人を集めていたのは、きらめく星をちりばめた巨大な掲示板だ。

 無数の商品のアイコンが並び、その横には輝く星のマーク――どれも満点の★5が並んでいた。


「おぬしぃぃ!見ろぴこ!ぜーんぶ星5だぴこおおぉ!」

 ぴこたんは筋肉を躍らせ、胸を張った。

「この“究極マッスルプロテイン”なんて、

 レビューが千件以上!

 しかも全部最高評価ぴこ!これは間違いないぴこ!」


「……あのねぇ」

 ミミは呆れ顔で腕を組む。

「全部星5って逆に怪しいと思わないの?

 普通なら“悪かった点”とか“合わなかった”って人もいるはずでしょ」


「むむっ……」

 ルークが腕を組み、目を細めた。

「レビューの文章も……同じ言葉が繰り返されている。

 “最高です!”“人生変わりました!”――これではコピペのようだ」


「まさか……偽レビュー?」

 おぬしは端末を取り出し、《評声鑑別レビュー・スクリーニング》の魔法陣を展開した。

 星のきらめきの裏側に隠れた投稿者の情報が浮かび上がる。


 ――投稿者の大半が“同日に登録”。

 ――プロフィールは空欄。

 ――レビュー内容は似通った定型文ばかり。


「これは……臭うな」おぬしが低く言った。

「自然な声じゃない。おそらく“レビュー詐欺”だ」


「ふん!おぬしたち、疑いすぎぴこ!」

 ぴこたんは掲示板に映る商品を指差し、筋肉を誇示した。

「筋肉強化サプリ、奇跡のダンベル、マッスル回復マッサージャー!

 どれも星5ぴこ!こんなの最高に決まってるぴこおお!」


---


「まったく……」

 涼やかな声が響き、人混みが割れた。


 現れたのは商会の娘リナだった。

 青いリボンを結び、手には分厚い帳簿を抱えている。

 その眼差しは冷ややかに、輝く掲示板をにらみつけていた。


「また出たのね。虚飾の星」


「リナ!」

 おぬしが驚いて声を上げる。


「ぴこたん」リナは真っすぐ彼を見た。

「レビューは参考になるわ。

 でも、全部が★5なんて不自然でしょう?

 本当に良い商品なら、必ず“合う人”“合わない人”の声が混じるのよ」


「えっ……でも、みんな最高って言ってるぴこ」

 ぴこたんがしどろもどろに言うと、リナは帳簿を開いて見せた。


「本物のレビューはね、時間をかけて積み重なるの。

 古い日付、新しい日付、長い文章、短い感想……

 それぞれ違う声が積み重なって、本当の姿を映すのよ。

 でもこれは違う。

 登録したばかりの偽アカウントが、一斉に★5をつけてる。

 つまり――買われた星」


「か、買われた……星……?」

 ぴこたんの瞳が揺れる。


---


 その瞬間、掲示板の光が不気味に歪んだ。

 星々がうねり、ひとつに集まり、巨大な人影を形作る。


「フハハハ!よくぞ見抜いたな!」


 現れたのは、煌びやかな星の鎧をまとった怪物。

 胸には★の紋章、手には偽レビューの札を握りしめている。


 「我こそは虚飾星魔レビュラー

 買われた星を操り、愚か者どもをだます支配者!」


 掲示板の裏層では、同じ文言を量産する“影の工房”が淡く回転していた。

 使い捨ての人形アカウントが、星だけを吐き出しては捨てられていく――。

 レビュラーが腕を振るうと、空から星の雨が降り注ぎ、人々の目をくらませた。

 観客たちは夢遊病者のように商品を買い始める。

「最高だ!」「人生変わるぞ!」――虚ろな声で繰り返しながら。


「やめろぴこ!人々がだまされてるぴこ!」

 ぴこたんは飛び出したが、星の盾に弾き飛ばされた。


「偽りの光は強固だ。真実を知らぬ者には決して壊せぬ!」

 レビュラーの声が市場に響く。


---


「虚飾は必ず歪む」

 ルークが剣を抜き、星の盾に切りかかった。

 だが、刃は弾かれ、火花だけが散る。


「ぐっ……!星の光が強すぎる!」


「中身が空っぽだからだよ!」ミミが叫ぶ。

「本当の感想じゃない。だから表面だけがギラギラしてる!」


「正規のレビューは、良いことも悪いことも書かれるもの」

 リナが一歩前に出た。

「偏った賞賛ばかり並ぶのは、不自然なの。

 信じられるのは“多様な声”だけ」


 ルークが剣を振り、光でレビューの幻を切裂く。

「《真正鑑定オーセンティック・ジャッジ》!」

 星の盾に「文言頻度」「投稿時刻の偏り」「アカウント初期度」の

数値ヒートマップが浮かび、自己崩壊を始めた。


 さらにおぬしが《鏡追跡リバースサーチ》で証拠を示し、

偽レビューが次々と剥がれ落ちる。

「同じ文言」「同じ投稿日」「プロフィール空欄」――不自然さが浮かび上がった。


「やめろぉぉ!」

 レビュラーが星の鞭を振り下ろすが、ぴこたんが飛び込んだ。


---


「オレ……星のきらめきに騙されてたぴこ。

 でも!真の輝きは、努力と誠実さで積み上げるものぴこ!」


 ぴこたんの筋肉が光を帯びる。

「必殺――虚飾粉砕フェイク・ブレイクぴこぉぉぉ!!」


 渾身の拳が振り下ろされ、星の盾を粉砕した。

 レビュラーの体がひび割れ、虚飾の星々が四散して消える。


「ぐわああぁ!偽りの星が砕けるとは……!」

 断末魔の叫びを残し、レビュラーは光の粒となって消滅した。


---


 市場に静けさが戻った。

 幻の商品の看板は消え、本物の露店だけが残っている。


「助かった……」「だまされるところだった……」

 人々は安堵の声をあげ、正規の商品を手に取った。


 リナは帳簿を閉じ、きっぱりと言った。

「レビューは大切。

 でも、それは正直な声があってこそ。

 偽りに頼る者は、いつか必ず滅びるわ」


ミミも頷いた。

「本物のレビューって、

 いいところも悪いところも混じってるもんだしね」


ルークは剣を収めた。

「剣と同じだ。研がれてこそ、刃の真価がある。

 偽りの輝きは一瞬だ」


「うむ!オレの筋肉レビューは全部★5ぴこ!」

 ぴこたんがドヤ顔でポーズを決める。


「それは信用ならない」

 全員の総ツッコミが市場に響き、笑いが広がった。


---


――教訓まとめ――


今日は「買われた星=レビュー詐欺」がテーマだったぴこ!

星の数に目を奪われて、本当の中身を見失う――それが今回の罠だったぴこね。

どんな商品も、良い声と悪い声が混ざってこそ“本物の信頼”ぴこ。


みんなも覚えておくぴこ!

1.満点レビューばかりは要注意!本当に良い商品なら、必ず賛否が混じるぴこ。

2.同じ文言・新規アカウント・短期間集中投稿は、やらせレビューのサインぴこ!

3.古い日付や具体的な体験談があるレビューほど信頼度が高いぴこ。

4.レビューは“参考”であって“真実”じゃない。自分の目で確かめる習慣を忘れずにぴこ!

5.星より中身、派手さより誠実さ。本当に輝くのは“誠意”と“積み重ね”ぴこ!


ミミ「レビューは星じゃなくて“声”を聞くものだよ」

ルーク「真価は磨かれてこそ輝く。偽りの星はすぐに曇る」

リナ「信頼は“買う”ものじゃない、“育てる”ものなの」

ぴこたん「オレの筋肉レビューも正直に書くぴこ!“たまにサボるけど最高”って!」


---


次回予告:

“お使いアプリ”の中に潜むもうひとつの影――

遠くから操作し、手の中をのぞく“見えない手”が迫る。

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