第28話 無料の誘惑――闇映鬼《ダークキャスト》と消えゆく創造
インフォシティの夕暮れ時。
大通りを歩いていたぴこたんたちは、人だかりに出くわした。
「なんだ?祭りでも始まったぴこ?」
胸板を張りながら覗き込むぴこたんの目に飛び込んできたのは
――煌びやかな映像を映す屋台だった。
巨大な水晶スクリーンには最新映画や人気アニメ、
さらには話題の音楽ライブまでが次々に映し出されている。
群衆は熱狂し、声をあげて喜んでいた。
「……これ、映画館でやってる新作じゃない?」
ミミが眉をひそめる。
「え、タダで見れるの?
オレ筋肉だけじゃなく涙腺も震えるぴこぉぉ!」
ぴこたんは目を輝かせ、スクリーンに釘付けになった。
屋台を仕切っていたのは黒いローブをまとった人物。
「正規の劇場では高い入場料が必要だ。
しかしここなら無料!誰でもすぐに感動を味わえる!」
観客の歓声に混じり、甘い声が響いた。
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「ちょっと待ってよ」
ルークが目を細め、スクリーンを睨む。
「映像の刻印が消されている。
正規の配給なら必ずあるはずの証が見当たらん」
「画質も不自然に荒いね」
おぬしも指摘する。
「しかも広告だらけ。
クリックしたらウイルス入りの呪符が飛んできそうだ」
「でもタダなんだぴこ!
無料の筋肉映画が見れるなら最高ぴこ!」
ぴこたんは両手を合わせ、再生ボタンに手を伸ばした。
「やめなよ!」
ミミが慌てて止める。
「これ違法だよ!
タダほど高いものはないって、いつも言ってるでしょ!」
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その時、群衆の中から一人の少女が現れた。
長い金髪を揺らし、毅然とした眼差しを向ける。
「まったく……あなたたち、何をしているの?」
「リナ!」
おぬしが目を見開く。商会の娘、リナが駆けつけていた。
「この街で一番困るのはね、こういう違法映像なのよ」
リナは腕を組み、群衆を見渡す。
「映画や音楽、アニメはね、
たくさんの人が時間とお金をかけて作っているの。
それを盗んで流す人間がいて、
さらに“見るだけならセーフ”なんて言い訳する人がいる。
でもそれは間違い。
需要があるから供給が生まれるの!
視聴者自身が違法サイトを支えているのよ!」
「えっ……オレ、ただ見るだけでも悪いの?」
ぴこたんが戸惑った声をあげる。
「そうよ!」
リナの声は鋭く響いた。
「制作者が報われなければ、新しい作品は生まれない。
文化そのものが死んでしまうの!」
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群衆の空気が変わる。
屋台から黒い煙が噴き出し、ローブの人物が姿を変えた。
「ククク……余計なことを言う娘だ」
巨大な影がスクリーンから抜け出す。
「我は《闇映鬼》。
制作者の魂を盗み、映像をばらまく存在だ!」
黒いフィルムが鞭となり、観客を絡め取る。
映像に吸い込まれた人々の目はトロンとし、意識を奪われていった。
「ひぃぃ!ぴこたんの筋肉が吸われるぴこおお!」
ぴこたんも鞭に絡まれ、体がスクリーンに引き寄せられる。
「これは危険だ!」
ルークが剣を構えた。
「この怪物は制作者の権利を食い物にしている!」
「そして視聴者をも縛りつけてる!」
ミミが叫ぶ。
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「ダメ! ぴこたん!」
リナが前に飛び出す。
「あなたは違法の快楽に流されちゃいけない!
正しい方法で得た感動こそが、本物なの!」
「……リナ……」
ぴこたんは一瞬、揺れる瞳で彼女を見た。
「オレ……タダの誘惑に負けそうだったぴこ。でも……」
筋肉を震わせ、鎖に抗う。
「マッスルだって、努力の積み重ねだから輝くんだぴこ!
感動も同じ!汗とお金で支えるから価値があるぴこおお!」
光がぴこたんの体を包み込む。
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「必殺――《正規鑑賞》ぴこぉぉぉ!!」
渾身の拳が放たれ、スクリーンごと闇映鬼を砕き散らした。
黒いフィルムがバラバラになり、観客を縛っていた鞭は消滅。
「ぐわあああぁぁ! なぜ……! 見る者がいる限り、私は不滅のはず……!」
断末魔を上げ、闇映鬼は光の粒となって霧散した。
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屋台は跡形もなく消え、代わりに正規の劇場チケット売りが現れた。
「正しい方法で作品を楽しんでください」
澄んだ声とともに、光るチケットが人々の手に渡る。
「助かった……!」
群衆は次々と目を覚まし、感謝の言葉を口にした。
リナは胸を張り、毅然と告げる。
「文化を守るのは作り手だけじゃない。観る人の責任でもあるのよ」
「ふぅ……」
ミミが小さく笑った。
「推しのクリエイターを応援できるって思えば、
正規料金も悪くないよね」
ルークは剣を収め、静かにうなずいた。
「真の価値は正しい道にある。それを見失うな」
「うむ!わかったぴこ!」
ぴこたんが胸を張る。
「オレはもうタダに釣られないぴこ!
正規の感動を全力で楽しむぴこおお!」
仲間たちの笑い声とともに、サブスクタウンの広場は再び平和を取り戻した。
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――教訓まとめ――
今日は「違法アップロード視聴」のお話だったぴこ!
“見るだけならセーフ”――そんな考えが、クリエイターの努力を踏みにじってしまうぴこ。
筋肉も作品も、努力を積み重ねてこそ光るんだぴこ!
みんなも覚えておくぴこ!
1.違法サイトは見るだけでもアウト! 視聴が“支援”になってしまうぴこ。
2.ウイルス感染・個人情報漏洩の危険あり! “無料”の裏には代償があるぴこ。
3.正規の方法で見る=クリエイターを応援すること! 作品が次につながるぴこ。
4.怪しい広告やリンクは絶対に踏まない! 安全第一ぴこ!
5.感動も筋肉も、正しい努力で手に入れる! 近道は存在しないぴこ!
ミミ「“見るだけ”が一番怖いんだよね。責任の意識が薄れるから」
ルーク「価値あるものは正しい道で得よ」
リナ「あなたのクリックが、文化を支える力になるの」
ぴこたん「筋肉代も作品代も、正しく払うぴこぉぉ!」
次回予告:
“無料ダウンロード”の甘い言葉に、ぴこたんが再び釣られる!?
次回、中に潜むのは“トロイの木馬”――無料を唄った侵入型の悪意ぴこ!




