第26話 アカウント売買――鎖売人《バンドラー》と禁断の力
インフォシティの中心街、巨大スクリーンに映し出されているのは
人気VRソシャゲ《ドラゴン・レルム》の大会映像だった。
空を裂いて舞う竜たち、光の剣を振るう勇者、
華麗なコンボを決める魔導士たち――観客は熱狂の渦に包まれている。
「おぉぉぉ!! 見たかおぬし!? あの竜の必殺技! マッスルに匹敵する迫力ぴこぉぉ!」
ぴこたんはスクリーンに釘付けになり、筋肉を震わせながら雄叫びを上げた。
「オレも今すぐあの舞台に立ちたいぴこ! 最強になりたいぴこおおお!」
「いや、あんた前にもソシャゲでガチャ爆死してたでしょ?」
ミミがスマホ型の魔道具をひらひらさせる。
「今度は“育てゲー”に挑戦?
最初から最強とか、また痛い目見るよ?」
「努力こそ修行の道。近道に価値はございません」
カリヤも合掌しながら首を横に振った。
だがぴこたんの瞳はすでに獲物を狙う獣のようにぎらついていた。
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「おや、そこの筋肉自慢の戦士さん」
背後からひそやかな声がかかった。
黒いフードをかぶった行商人が、怪しげに笑って近づいてきた。
「もし最短で最強になりたいのなら……
“特別なアカウント”を手に入れる方法がありますよ」
「な、なんだとぉ!? アカウント!?
それを手に入れればオレも最強ぴこ!?」
ぴこたんが食いつくと、行商人は懐から黒い巻物を取り出した。
そこには高レベルキャラクターとレア装備の数々が記されている。
「見なさい、このアカウント。
最高レベル、伝説級装備フルセット。
大会に出ても即優勝間違いなし。しかも格安で譲りますよ」
「す、すごいぴこ……!」
ぴこたんの口からよだれが垂れそうになる。
「ちょ、ちょっと待って!」
ミミが慌てて割り込んだ。
「これ、規約違反だよ!
アカウントの売買は禁止されてる!
下手したら買った瞬間にBANされるんだから!」
「BAN……?」
ぴこたんはきょとんとした顔。
「利用停止だ。せっかくのアカウントが無効になる」
ルークが鋭い声を放つ。
「規約を破る者に未来はない」
「だが皆さん」
行商人は不敵に笑った。
「公式は黙認している。
見つからなければ問題ない。さぁ、契約しますか?」
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ぴこたんの心が揺れる。
「努力して育てるより、すぐに強くなれる……
マッスル的にも効率ぴこ……!」
「ぴこたん!」
カリヤが真剣な目で叫んだ。
「修行を怠れば、得た力は砂の城と同じ。いずれ崩れます!」
「でも……!」
その瞬間、黒い巻物が破裂し、鎖が空間から溢れ出した。
行商人の体が膨れ上がり、怪物へと変貌する。
「フハハハ! 我こそは《鎖売人》。
売買されたアカウントを鎖で縛り、魂ごと吸い上げる者!」
鎖が観客のアバターに絡みつき、次々と光を奪っていく。
「ぎゃああ!」「動けない!」
BANされたアバターは動きを封じられ、闇に沈んでいく。
「うわあぁぁ! オレのアカウントがぁぁ!」
ぴこたんの体にも鎖が絡みついた。
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「これは……危険すぎる!」
ミミが叫ぶ。
「アカウント売買は詐欺の温床!
個人情報や決済情報も全部抜かれるんだよ!」
おぬしは魔導書を広げ、《規約照会》の光を放つ。
虚空に巨大な文字が浮かぶ。
「利用規約第十三条――アカウントの譲渡・売買を禁ず。
発覚すれば即時停止処分」
「即BANぴこおおおぉぉ!」
ぴこたんが絶叫した。
「気付くのが遅いぞ!」
ルークが剣を振るい、光の刃で鎖を切り裂く。
「不正な力は必ず代償を伴う! 正義の剣が断ち切る!」
「光明よ、正しき道を照らしたまえ!」
カリヤが祈りを捧げ、結界が広がり仲間を守る。
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「フハハ! 欲望からは逃れられん!」
バンドラーがさらに鎖を繰り出す。
ぴこたんは必死に抗いながらも、涙目で叫んだ。
「確かに……努力せずに強さを手に入れたいと思ったぴこ!
でも! 真の力は自分で積み上げるものぴこ!
マッスルだって、一日一日の積み重ねだからこそ輝くんだぴこおおお!!」
光がぴこたんの体を包み込む。
鎖が引きちぎられ、筋肉が爆発的な輝きを放つ。
「必殺――《鎖断拒絶》ぴこぉぉぉ!!」
渾身の拳が鎖を砕き、バンドラーの体を貫いた。
「ぐわああああぁぁ! 規約の鎖に縛られるのはお前らだぁぁ!」
悲鳴とともに怪物は霧散し、鎖は全て消え去った。
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沈黙が戻る。
縛られていたアバターたちが次々に解放され、自由を取り戻す。
「助かった……!」
「ありがとう、勇者たち!」
人々は感謝の声を上げた。
ルークは剣を収め、冷ややかに言った。
「不正に手を出した者は必ず裁かれる。アカウント売買も例外ではない」
ミミは腕を組んでため息をついた。
「結局、努力して遊ぶのが一番楽しいんだよ。
買ったアカウントじゃ思い出もないしね」
「修行も同じ。積み重ねの先にこそ真実があります」
カリヤが合掌する。
ぴこたんは胸を張り、筋肉をポージングさせた。
「そうだぴこ!
オレの筋肉だって、毎日の努力で作ったんだぴこ!
アカウントも筋肉も、努力してこそ輝くんだぴこおお!」
仲間たちは笑い、観客の中からも拍手が湧き起こった。
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――教訓まとめ――
今日は「アカウント売買の危険」がテーマだったぴこ!
“手っ取り早く最強に!”という甘い言葉ほど、危険が潜んでいるぴこ。
たとえデータの中でも、努力の積み重ねが本当の“強さ”を作るぴこ!
みんなも覚えておくぴこ!
1.アカウント売買は規約違反! 発覚すれば即BANぴこ!
2.個人情報を抜かれる危険あり。 売買サイトは詐欺の温床ぴこ!
3.「格安」「限定」「即戦力」には裏がある。 偽物や盗難アカウントも多いぴこ!
4.自分で育てたキャラこそ宝。 思い出と努力はお金で買えないぴこ!
5.不正取引を見つけたら通報ぴこ! みんなの世界を守る筋肉行動ぴこ!
ミミ「結局、地道に遊ぶのが一番楽しいんだよ」
カリヤ「修行も遊びも、一足飛びは成長を奪います」
ルーク「誇りは譲れぬ。力もまた、積み重ねてこそ真の剣となる」
ぴこたん「筋肉もアカウントも鍛えてナンボぴこぉぉ!!」
次回予告:
静かに続く“課金の川”――いつの間にか底なしの沼に変わる。
解約ボタンは遠く、サブスクの波がぴこたんをのみ込む!?
次回、「サブスク解約できない問題 ――沼に沈む自動更新」ぴこ!




