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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第二章 実践編

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第25話 架空請求――恐喝判事《ジャッジール》と恐怖の支払い通知


 インフォシティの夜は静かだった。

 街の光の流れも少し落ち着き、仲間たちは宿舎の談話室でそれぞれの時間を過ごしていた。


 ぴこたんはマッスルポーズをきめながら鏡の前で筋肉をチェックしていた。

「ふふん、今日もバルクアップしてるぴこ!

 明日にはもっとカッコよくなってるぴこ!」


 ミミは呆れた顔でスマホ型の魔道具をいじっている。

「よく毎日飽きないねえ……」

 おぬしは巻物に今日の戦いの記録をまとめ、カリヤは経典を開き静かに読経していた。


 その時だった。

 ぴこたんの魔導端末が突如、けたたましい音を立てた。

 画面いっぱいに真っ赤な文字が躍る。


『利用料金未払い! 至急支払え!』

『このままでは裁判! 家族にも連絡する!』


「な、なんだとぉぉぉ!?

 オレ、なにか契約してたぴこ!?」

 ぴこたんは青ざめ、鏡の前で固まった。

「ヤバいぴこ……裁判!?

 オレの筋肉が牢屋行きぴこ!?」


---


「落ち着け!」

 おぬしが駆け寄り、画面を覗き込む。

 メールの差出人には、それらしい会社名と「法律事務所」という肩書きが並んでいた。

 だがドメインは奇妙に歪んでいる。


「これは偽装されたアドレスだな。公式のものではない」

 おぬしは指で文字を指し示し、仲間たちに説明した。


「本当に裁判所が動くなら、必ず紙の正式な書面で届くはずだ」

 ルークが低く言い放つ。

「メール一通で法が動くなどあり得ぬ」


「そ、そうなのかぴこ……?」

 ぴこたんはまだ不安そうに震えていた。


---


 その時、宿舎の扉が軽くノックされた。

 入ってきたのは、先日フリマルシェで出会った《情報商会の娘リナ》だった。

 彼女は書類の束を抱え、柔らかな笑みを浮かべている。


「こんばんは。たまたま近くまで来ていたの。

 少し話してもいいかしら?」


「リナさん!?

 助けてほしいぴこ!オレ、裁判で捕まるぴこおぉぉ!」

 ぴこたんが泣きつくと、リナは落ち着いた声で端末を覗き込み、すぐに頷いた。


「これは最近流行っている架空請求ですね。

 私の商会にも相談がたくさん寄せられているの。

 本当に法的手続きがあるなら、必ず正式な書面と裁判所印が必要です。

 メールや電話一本で済むものではありません」


「そ、そうなのかぴこ!?」

「ええ。安心して。

 落ち着いて確認すれば、必ず矛盾が見つかります」

 リナの言葉に、ぴこたんの顔から少しずつ青ざめが引いていく。


---


 しかし――

 画面の赤文字がぐにゃりと歪み、黒い影となって立ち上がった。


「愚か者ども……払え、払えええぇぇ!」

 黒い法衣に身を包み、巨大な槌を握った怪物が姿を現す。

《恐喝判事ジャッジール》。請求文が形を得た悪霊だった。


「未払いを許さぬ!

 払わねばお前らの全てを奪う!」

 槌が振り下ろされるたびに、脅迫文が空中に浮かび、

周囲のアバターたちが恐怖に震え始める。

「やばっ! これ本当に怖いよ!」ミミが叫ぶ。


「ひぃぃ! オレ、払うぴこおぉぉ!」

 ぴこたんは半泣きで金袋を差し出しそうになった。


---


「待って!」リナが声を張り上げる。

「恐れることはありません!

 本物の請求には必ず契約の証拠があります。

 もし不安なら、消費生活センターのような公的機関に相談すれば守られるの!」


 その言葉が光のように響き、カリヤの経文に力が宿る。

「正しき契約には必ず証がある……

 真実を照らす結界を!」

 彼が唱えると光の陣が広がり、ジャッジールの脅迫文をはじき返した。


「証拠探査!」

 おぬしが魔法を走らせると、メールの偽装が暴かれ、

送信元が闇ギルドの影であることが明らかになる。


 ルークが剣を振り上げ、槌と激突させた。

「偽りの法に正義の剣を!」


「オレだって……負けないぴこおぉぉ!」

 ぴこたんは涙目のまま叫び、拳に光をまとわせる。

「必殺――《リテラシーチェック・スマッシュ》!!」


 拳が請求書の幻を砕き、ジャッジールの体が粉々に崩れた。

「なぜだ……恐怖に震える心こそ、最大の弱点なのにぃぃ……!」

 断末魔を残し、怪物は霧散した。


---


 静寂が戻る。

 ぴこたんは大きく肩で息をし、リナを見た。

「助かったぴこ……リナのおかげで、冷静になれたぴこ……」


 リナは微笑み、書類を胸に抱えた。

「架空請求は恐怖を利用します。

 でも、落ち着いて確認すれば必ず矛盾が見つかります。

 それをみんなに伝えていくことが大切なの」


「本当に法が動くときは、必ず正式な手順がある」

 ルークが頷く。


「知識を共有するのが一番の予防だよね」ミミも笑った。


「皆様のおかげで、恐怖に惑わされずに済みました」

カリヤが深く頭を下げる。


 そして――ぴこたんが拳を握りしめた。

「オレ、怖かったけど……また一歩賢くなったぴこ!

  次はもっと冷静に戦うぴこ!」


 仲間たちの笑い声が、夜のインフォシティに響いた。


---


――教訓まとめ――


今日は「架空請求」の回だったぴこ!

“未払い”“裁判”“家族に連絡”――そんな不安ワードで人を脅してくる悪質メール。

でも、本物の法的手続きはメール一本では来ないぴこ。怖くなったときこそ、深呼吸して内容を確かめるのが一番ぴこ!


みんなも覚えておくぴこ!

1.「裁判」「訴訟」と書いてあっても慌てない。 裁判所からの連絡は基本紙の正式通知ぴこ。

2.差出人のドメインを確認。 公式と一文字違いは偽物ぴこ。

3.契約や利用の心当たりがなければ無視。 支払う必要なしぴこ。

4.不安なら相談。 消費生活センターなど公的窓口へ。

5.「今すぐ払え」は罠。 正当な請求なら根拠・期限・問い合わせ先が明確ぴこ。

6.リンクを踏まない。 フィッシングの入口ぴこ。

7.記録を残す。 スクショ・ヘッダ情報→通報で被害を減らせるぴこ。


ミミ「恐怖で判断力を奪うのが狙い。まず落ち着こ」

ルーク「法は静かに進む。騒ぐ者ほど偽だ」

カリヤ「冷静さも修行でございます」

リナ「知ることは、誰かを守る力になるの」

ぴこたん「筋肉は震えても、心はブレないぴこ!」


次回予告:

深夜の取引所に“お得なアカウント”が並ぶ。

「引き継ぎOK」「強キャラ完備」――甘い札の裏で、見えない鎖が締まり出す。

買った瞬間に“誰かの手の中”、そしてBANの鎖が音を立てる。

仲間の思い出とログインは、売り物じゃない。

次回、ぴこたんたちは「楽な近道」の代償と向き合うぴこ。

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