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脳筋戦士ぴこたん、今日もネットの罠に釣られる! 〜やらかすたびに強くなるリテラシー勇者冒険譚〜  作者: ぴこたん
第二章 実践編

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第24話 クリスタルオークションホール――幻影商《吊上魔ホーリッド》と欲望の値札


 インフォシティ――情報と欲望が交錯するネトワールド最大の都市。

 その中心にある《クリスタルオークションホール》は、ひときわ豪華な光の建物だった。

 水晶の壁に反射する光は七色に揺らぎ、

内部からは「三千!」「四千!」「いや五千だ!」という叫びがこだまする。


「おぉぉ……! なんだこの熱気はぴこ!」

 胸板の厚い戦士ぴこたんが、すでにマッスルポーズをとっている。

「筋肉像コレクションがあるらしいぴこ!

  オレが落札して、自宅のリビングに飾るぴこ!」


「ほんとに買う気?」

 ミミが苦笑する。

 妖精の羽をひらめかせながら、スマホ型の魔道具を取り出し、会場の様子を撮り始めた。

「まぁでも、こういう場所って危ない匂いもするんだよね。

 熱に浮かされると、冷静さを失っちゃうから」


 おぬしは静かに頷いた。

「オークション詐欺、か。

 吊り上げや架空出品、古典的だけど今もある危険だな」


「私の修行に必要な古写経本が出ると聞きました」

 就活僧カリヤが合掌しながら言う。

「信頼できる商人から譲っていただけるならありがたいことでございます」


「気を付けろよ、カリヤ」

 ルークが厳しい声で警告した。

「こういう場には“幻影商”が潜むことがある。

 本物に見せかけた幻で、金を吸い取る輩だ」


---


 光の拍子木が鳴り響くと、第一品目が空中に浮かび上がった。

「伝説の金槌アイアンブロウ! 開始価格は金貨千枚!」


「千!」「千五百!」「二千!」

 数字の札が光となって舞い、会場を包む。

 ぴこたんの筋肉も震える。

「二千五百! いや三千!

 おぬし、オレも参加するぴこ!」


「落ち着け!」

 おぬしが肩をつかむ。

「値段が不自然に吊り上がっている。

 入札者のアカウント、全部今日作られたものだ」


「えっ?」

 ミミが驚き、魔道具を操作する。

「ほんとだ……!

 ID作成日が全部同じ。これサクラじゃん!」


 だが会場の熱狂は止まらない。

「三千五百!」「四千!」

 観客たちは目を血走らせ、幻の値札を掲げ続けていた。


---


 次に登場したのは「幻の宝珠」。

 水晶のように輝く球体の映像が宙に浮かぶ。

「この宝珠は、古代神殿から発掘された逸品!

  今夜だけの特別出品!」


 ぴこたんの目が輝く。

「おおぉ! すごいぴこ! 光ってるぴこ!」


 だがルークが剣を抜き、鋭い眼差しで睨む。

「存在証明が欠落している。

 実物を誰も確認していない。これは……虚像だ」


「調べてみるぴこ」

 おぬしは《鏡追跡リバースサーチ》の魔法を唱え、映像を解析する。

 瞬時に結果が出た――「博物館の展示写真」の使い回し。


「盗用か……」

 カリヤが合掌しながらつぶやく。

「ありがたい品と信じていたのに、欺瞞でございましたか」


---


「ほぉ……よくぞ見抜いたな」

 会場の中央に立つ司会者が、にやりと笑った。

 その姿がぐにゃりと歪み、黒い衣をまとった怪物へと変貌する。


「我こそは幻影商《吊上魔ホーリッド》。

 欲に目がくらんだ愚か者どもよ、もっと札を掲げよ!

 もっと! もっとだぁぁ!」


 ホーリッドの両手から“値札の鎖”が伸び、

観客の頭上に「5000!」「6000!」と数字が浮かぶ。

 それに触れた者は恍惚とした表情で札を掲げ、財布から金を吸い取られていく。


「やばっ、完全に操られてる!」ミミが叫ぶ。

「このままじゃ皆、財産を失うよ!」


---


「修行の品が……!」

 カリヤが幻影に囚われ、札を掲げようとする。


「やめろ、カリヤ!」

 ぴこたんが飛び込み、彼の腕をつかむ。

「欲に負けるなぴこ!

筋肉は正直だけど、財布は守れぴこ!」


「甘い幻に惑わされるな!」

 ルークが剣を振り、《真正鑑定オーセンティック・ジャッジ》の光で値札の幻を切り裂く。


「写真は盗用! これは偽物!」

 おぬしが《鏡追跡》で証拠を示し、会場の幻影が揺らぐ。


「ぐぬぬ……!」ホーリッドが怒り狂う。

 だがぴこたんが前に出て、叫んだ。


「筋肉はオークションにかけられない!

 これが必殺――《鎖断拒絶リジェクト・チェイン》ぴこぉぉぉ!!!」


 光の鎖が唸りを上げ、ホーリッドの値札の束を一気に粉砕した。

「ぐああああああ!」

 怪物は悲鳴を上げ、幻影とともに霧散する。


---


 会場は静寂に包まれた。

 幻の札は消え、正規の出品者だけが残っていた。

「発送予定日はこちらに」「保証制度を明記します」

――誠実な取引の看板が掲げられる。


ミミがほっと息をつく。

「吊り上げや架空出品なんて、

 昔からある古典的な詐欺。

 でも今も形を変えて残ってるんだね」


 おぬしが頷く。

「だからこそ、評価や履歴、実物確認が欠かせない。

 冷静さを失えば、誰でもカモになる」


「皆様のおかげで、道を誤らずに済みました」

 カリヤが深々と頭を下げた。


 そして――ぴこたんが胸を張る。

「筋肉像ならオレがモデルになるぴこ!

 無料で! プライスレスぴこぉぉ!」


 会場に笑いとため息が広がった。


---


――教訓まとめ――


今日は「オークション詐欺」の回だったぴこ!

吊り上げ、架空出品、盗用写真……形は古くても、熱狂と焦りを煽る手口は今も現役ぴこ。

「絶対に欲しい!」という欲望を狙ってくる――だからこそ、冷静さこそ最強の盾ぴこ。


みんなも覚えておくぴこ!

1.入札履歴をチェック! 新規アカウントばかりならサクラの可能性大ぴこ。

2.値段の異常な吊り上げに注意。 競り合いは熱くなったら負けぴこ。

3.出品物の存在を確認。 写真や説明に違和感があれば《鏡追跡》で出典チェックぴこ。

4.実物の証明・発送予定・保証制度を確認。 曖昧なら即撤退ぴこ。

5.落札後の“キャンセル→繰り上げ”も要警戒。 偽取引で押し付ける手口ぴこ。

6.支払いは公式プラットフォーム内のみ! 外部送金は筋肉で止めるぴこ!

7.上限金額を決めてから挑む。 興奮した筋肉は冷やすぴこ。


ミミ「値段より信頼。レビューと履歴を見ようね」

ルーク「熱狂の剣は折れやすい。心を鎮めて入札せよ」

カリヤ「修行も買い物も、欲を抑えてこそ道が見えますな」

ぴこたん「筋肉像はオレが作るぴこ! 原価ゼロぴこ!!」

おぬし「落札より納得。買う前に考える時間こそ最高の防御だ」


次回予告:

街に響く“おめでとう”の通知音。

それは幸運か、仕組まれた祝福か――。

次回、「当選通知のラッキードリーム」ぴこ!

筋肉とリテラシー、どっちが運に勝つか見ものぴこ!

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