第13話 憧れを騙る影 ――なりすましアカウントの罠
インフォシティの大通りは、今日も人で溢れていた。
市場の喧騒、旅人の歌、ギルドから流れてくる勇壮なラッパの音。
ぴこたんは胸を張って歩き、道端の子どもに無駄なマッスルポーズを披露していた。
「どうだおぬし!今日の筋肉もバッチリぴこ!
憧れの英雄バルドにだって引けを取らないぴこ!」
「はいはい」おぬしは苦笑しつつ相槌を打つ。
ぴこたんがバルドに憧れているのは周知の事実だった。
剣と魔法を自在に操り、幾多の魔王を退けたという伝説の冒険者――それがバルドだ。
そんな折、ぴこたんの端末が小さく震えた。
「ん?メッセージ……?」
画面に表示された文字を見た瞬間、ぴこたんは飛び上がった。
「おおおぉぉ!?こ、これはぁぁぁぁぁ!!」
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『ぴこたん殿。君の勇敢な戦いぶりを見て、感銘を受けた。
ぜひ弟子として迎えたい。詳細はこの門を通れ――
BaldoOfficial』
「ぎゃあぁぁぁ!!憧れのバルド本人からのお誘いぴこおおお!!!」
ぴこたんは涙を流さんばかりに喜び、端末を高く掲げた。
「ちょ、ちょっと待って!」ミミが飛んできて画面を覗き込む。
「ねぇ、その名前……“BaldoOfficial”って書いてあるけど、
“O”の字が一つ“0(ゼロ)”になってるよ」
「えっ……?」ぴこたんが目を凝らすと、確かに「Baldo0fficial」と表示されている。
「はっ!で、でも本物かもしれないぴこ!
本人が直々に“弟子にする”って……!」
「ぴこたん、落ち着け」おぬしは深く息を吐いた。
「これは“なりすましアカウント”だ。
本物そっくりに偽って、騙す手口だ」
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広場の空気が不気味に揺らめいた。
石畳の影が伸び、そこから黒い人影が浮かび上がる。
鏡のようにゆらゆらと揺れるその姿は、やがて“偽バルド”の姿をとった。
「フハハ……私は影写しの怪人。
人々の憧れと欲望を映し、姿を奪う者だ」
その声は確かにバルドに似ていた。
だが、どこか冷たく、歪んでいる。
「人は見たいものだけを見る。
だから私は本物にしか見えない!」
インパーソナの背後には、幾千もの“偽アカウント”が
影の軍勢のように並んでうねっていた。
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「おぬし……こいつ、すごいぴこ!
完全にバルドそっくりぴこ!」
「いやいや!そっくりだけど細部が違うでしょ!」ミミが叫ぶ。
「アイコン画像は本物そっくり。
でもプロフィールの発行日は今日。
フォロワーも数人しかいない!」
ルークが低く唸る。
「偽物は必ず細部で歪む。
だが人は憧れに目を曇らされ、見えなくなるものだ」
「さぁ、ぴこたん」インパーソナが甘い声で囁く。
「弟子入りを望むなら、まずは入門の“初期費用”を納めてもらおう。
この門にカード番号と暗号を刻めば、自動で支払える。
そうすれば、君に力を与えよう」
「か、カード番号!?」ぴこたんが目を丸くする。
「な、なんかおかしくないぴこ?……でも……憧れのバルドのためなら……」
「違う!!」おぬしは鋭く叫んだ。
「それこそが罠だ!本物のバルドがそんなものを要求するはずがない!」
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だが鎖のような影がぴこたんの腕に絡みつき、
偽バルドの幻影がさらに誘惑する。
「恐れるな。欲しいのだろう?
力も、名誉も。ならば差し出せばいい。そうすれば――」
「だ、だめだ……でも……でも……」ぴこたんの手が震える。
「ぴこたん!」ミミが声を張った。
「冷静に見て!本物のバルドは認証印を持ってる!この偽物にはない!」
「そ、そういえば……!」ぴこたんの目に一瞬、正気が戻る。
「オレは……もう騙されないぴこ!
筋肉だけじゃなく、ちゃんと見極める目もあるぴこ!!」
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ぴこたんが雄叫びを上げ、拳を振り上げる。
「必殺――《偽像粉砕》!!」
拳から放たれた光が偽バルドの幻影を打ち砕く。
インパーソナの姿が揺らぎ、本来の黒い影の姿に戻った。
「くっ……小僧のくせに……冷静な目を持つとは……!」
インパーソナは憎々しげに叫び、影の軍勢を従えて闇に消えた。
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静けさが戻った広場。
ぴこたんは大きく息を吐き、汗をぬぐった。
「ふぅ……危なかったぴこ。
オレ、もうちょっとで騙されるところだったぴこ……」
ミミが苦笑しながら言う。
「だから言ったじゃん。偽物は必ず細部でボロが出るんだよ。
名前、アイコン、フォロワー、
投稿の一貫性……ちゃんと確認すれば見抜ける」
ルークは剣を収め、
「憧れや欲望に心を支配されれば、真実は見えなくなる」と諭した。
おぬしも頷く。
「信じる前に確かめる。それがリテラシーの第一歩だ」
ぴこたんは拳を握りしめ、にかっと笑った。
「うむ!バルドの弟子にならなくても、
自分の筋肉を鍛えるぴこ!本物になるのは……オレ自身ぴこ!!」
ミミとおぬしは顔を見合わせ、思わず笑った。
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――教訓まとめ――
今日は「なりすましアカウント」がテーマだったぴこ!
オレ様ぴこたん、憧れのバルドから“弟子入り”メッセージが来て大喜びしたけど、実は影の怪人の罠だったぴこ……!危うくカード番号まで差し出すところだったぴこ!
みんなも覚えておくぴこ!
1.なりすましアカウントは本物そっくりに作られるぴこ!
2.名前の一文字違い・画像の盗用・投稿コピーは典型的な手口ぴこ!
3.公式認証印、作成日、フォロワー数、投稿の一貫性を確認するぴこ!
4.憧れや欲望に心を奪われると見抜けなくなる。信じる前に確かめる習慣ぴこ!
ミミ「憧れ補正で目が曇るのが一番危険だからねw」
ルーク「真実は冷静さの中にある」
オレはもう偽物に騙されないぴこ!本物は――このマッスルぴこおおぉぉ!!
次回はさらに“偽アプリの闇”に迫る冒険ぴこ!絶対見逃さないでほしいぴこ!




