第12話 チェーンメールの亡霊 ――時代を越える拡散の呪縛
インフォシティの朝は、いつも活気に満ちていた。
市場ではパン屋の香りが漂い、冒険者ギルド前の石段には
新しい依頼を求める若者たちが列をなしていた。
ぴこたんはいつものように広場でマッスルポーズを決め、
道行く人々に無駄な筋肉をアピールしていた。
「見よおぬし!今日も筋肉は完璧ぴこ!
呪いも魔法も、全部この筋肉で跳ね返すぴこ!」
「呪いまで筋肉で解決する気なの……」ミミがため息をつく。
ルークは苦笑しながらも周囲を見渡し、
「だが油断は禁物だ。呪いに限らず、
古くから伝わる罠というものは、
形を変えて今も残っている」と真面目に言った。
その時、掲示板の下に置かれた古びた巻物がぴこたんの目に留まった。
羊皮紙は黄ばみ、文字はかすれている。
だが、その内容は妙に鮮明だった。
『この文を七人に回さなければ、呪われる。
回した者には幸運が訪れる。
さあ、今すぐ伝えよ――』
「ひぃぃぃ!?な、なにこれぴこ!?筋肉呪いか!?
オレのマッスルがしぼむ呪いかもしれんぴこ!」
ぴこたんは顔を真っ青にして、慌てて仲間の方へ駆け寄った。
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「おいおい……これは」
おぬしが巻物を手に取り、読み進める。
「間違いない。“チェーンメール”だ。
古典的な手口だが……まだ時々見かける」
「懐かしいな」ルークが頷く。
「昔、我が村にもあった。
“このお札を回さなければ病に倒れる”などと脅して、人々を惑わせていた」
「そうそう」ミミも笑う。
「時代が変わっても似たようなものが回ってくるよ。
今だってSNSで“シェアしないと不幸になる”とか、
“いいねを押すと幸運が訪れる”っていう投稿があるじゃん。あれと同じ」
「えっ!?じゃあこれ、今も現役ぴこ!?
だとしたら……オレも今すぐ七人に回さないと!!」
ぴこたんは慌ててギルドの仲間に転送しようとする。
「やめろぴこたん!」
おぬしが即座に止める。
「そうやって“恐怖”で煽ったり、
“幸運”を餌に拡散させるのが、
チェーンメールの正体だ。呪いなど存在しない!」
「でもでもでも!もし本当に呪われたら!?マッスルがぁぁぁぁ!!」
ぴこたんは泣きそうな顔で叫ぶ。
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その瞬間、巻物が淡い光を放ち、広場の空気が一変した。
影が集まり、鎖の音が響き渡る。
「カラン、カラン……」
現れたのは、鎖をまとった魔女だった。
髪は灰色に乱れ、目は血のように赤い。
彼女の体から伸びる鎖には、古びた文字や新しい呪文が刻まれていた。
「私は連鎖の魔女。
大昔から人々の心を縛り、恐怖と欲望で拡散を操ってきた。
古典と笑われても、私は生きている。
姿を変え、言葉を変え、今もなお!」
鎖に刻まれた文言は、時代を超えて混じり合っていた。
「この文を回せ」
「七日以内に送らなければ不幸が訪れる」
「いいねを押さないと幸運が逃げる」
「RTしなければ呪いが降りかかる」
ぴこたんは鎖を見て震え上がった。
「ひぃぃぃ!!昔の呪いと今のSNSが合体してるぴこぉぉ!!」
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チェイナは笑い声を上げた。
「人は恐怖に弱い。たとえ古びた罠でも、
“万一”を恐れて手を動かす。そうして鎖は強まり、終わりなく続く!」
鎖が伸び、ぴこたんの体に絡みつく。
筋肉を押し潰すように締め付け、心臓にまで届こうとしていた。
「やばいぴこぉぉ!!マッスルがぎゅうぎゅうぴこぉぉ!!」
「落ち着けぴこたん!」おぬしが叫ぶ。
「呪いじゃない、ただの鎖だ!」
「ただの鎖に見えないぴこぉぉ!!」
ルークが前に進み、剣で鎖を叩き斬る。
しかし切った先から新たな鎖が生まれる。
「恐怖と欲望は尽きぬ限り増殖する……それが私の力!」チェイナが嘲笑う。
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「くっ……どうすれば……」
その時、ミミがぴこたんの肩を叩いた。
「大丈夫。これ、仕組みは単純だよ。
根拠も証拠もない、ただの空っぽな文。
鎖の力は“信じて回す心”から生まれるんだ」
「えっ……じゃあ……?」
「そう。“回さなければ”終わる」おぬしがはっきりと言った。
「断ち切る方法はただ一つ、“回さない勇気”を持つことだ!」
ぴこたんは鎖に縛られたまま震えていた。
「でも……もし本当に呪われたら……」
「ぴこたん!」ルークの声が響く。
「恐怖に負ければ、それこそ真の呪いだ!」
「う……うぅぅ……」
鎖がさらに強まり、ぴこたんの体を締め付ける。
だが彼は、唇を噛んで目を見開いた。
「オレは……もうこれを回さない!
呪いなんか信じないぴこ!
信じるのは……この筋肉と、オレの勇気だぁぁ!!」
叫びと共に、ぴこたんの手の中の巻物が光に包まれた。
「必殺――《連鎖絶断》!!」
巻物が砕け散り、鎖が次々に爆ぜる。チェイナが悲鳴を上げた。
「そんな……恐怖を拒むだと……!?鎖が、切れる……!」
魔女の姿は霧となり、広場の風に消え去った。
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やがて街は静けさを取り戻した。
ぴこたんは息を荒げながらも、胸を張って言った。
「ふぅ……やっぱり、筋肉には呪いなんて効かないぴこ!」
ミミが苦笑する。
「いや、効く前に“信じない”って決めたからでしょw」
ルークも頷く。
「古典的な罠でも、未だに人を惑わす力を持つ。油断は禁物だ」
おぬしはまとめた。
「形を変え、時代を越えて続くのがチェーンメール。
古いから大丈夫、なんて思うのが一番危険なんだ。
“回さない勇気”――それこそが最大の盾だ」
ぴこたんは満面の笑みで拳を振り上げた。
「うむ!オレはもう騙されないぴこ!回さない勇者ぴこ!」
「……それはそれで語呂悪いけどね」ミミが吹き出した。
広場に笑い声が響き、古びた巻物はただの灰となり散っていった。
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――教訓まとめ――
今日は「チェーンメール」がテーマだったぴこ!
古びた巻物だと思ったら、《連鎖の魔女チェイナ》が出てきて大暴れぴこ!
恐怖や幸運をエサに「回せ回せ」と縛りつける古典的な罠……
でも今もSNSに形を変えて生き残ってるぴこ!
みんなも覚えておくぴこ!
1.チェーンメールは古典でも、時代を越えて姿を変えているぴこ!
2.「恐怖」や「幸運」をエサにして拡散させるのが本質ぴこ!
3.「古いから大丈夫」と油断するのが一番危険ぴこ!
4.最大の防御は“回さない勇気”ぴこ!
ミミ「筋肉で跳ね返したんじゃなくて、信じない心で跳ね返したんでしょw」
ルーク「恐怖に飲まれぬ強さこそ真の鎧だ」
オレはもう“回さない勇者は最強でした”の主人公ぴこ!……語呂悪いけど最強ぴこ!
次回はさらに巧妙な“なりすましアカウントの罠”が待っているぴこだから、
絶対見逃さないぴこ!




