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竜好きのオレ、ドラゴンの世界に転生して聖竜になる。  作者: 岩田 巳尾


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『ジコウ捜索』 その5

 驚いていたショーナを見つつ、ジャックは微笑んで話を続ける。


「……だから、ゼロが直接捜索に向かったんだ。その能力を使えば、集落周辺の林も、上空から一気に広範囲を捜索する事が出来る。林は見通しが悪いが、ゼロの能力なら……見通しなんて関係無いからな。

 上空のゼロと連携して、地上では陸戦隊が指示を受けながら、怪しい反応を潰していく。これなら、捜索漏れは起こらないだろう。荒野方面の林一帯は、今日中に片付くだろうな」

「……凄い……」


 ショーナは思わず言葉が漏れていた。彼自身、ジコウの捜索は「ローラー作戦」で行うものとばかり思っていたからだ。

 ショーナの呟きを聞き、ジャックは更に話を続ける。


「あぁ、それとな。荒野方面に向かった空戦隊は、オアシスが見える範囲で、荒野の広い範囲を捜索させている。

 ……荒野は広大だからな。独立派と友好派を結ぶ線以外、ほとんどが未踏の地だ。だから、オアシスを中心として、オアシスが見える範囲で荒野を捜索させている。……捜索している側が遭難したら、たまらんからな」

(……ミイラ取りがミイラに……ってヤツか。……確かに、荒野は広すぎて、荒野の端なんて見えなかった……。オアシスからだって、独立派と友好派、それぞれに隣接している林しか見えなかったし……。荒野の末端か……、どうなってるんだろうな……)


 ジャックの話を聞いて、ショーナは顔をしかめて考え込んでいた。


(でも待てよ……? そんな荒野にジコウは向かった、って事だよな……? しかも……昨日は酷い天気だった……。それなら……)


 ここでジャックが話を変え、口を開く。


「ところでショーナ。捜索に行くのは分かったが……どこを捜索するつもりなんだ? あまり行った事が無い場所に行くのは、俺としては……あまり賛同出来んが……」


 腕組みをしながら懸念を伝えるジャックに、ショーナは真剣な顔付きで答える。


「オレは……まず、オアシスを探そうと思います」

「オアシスか……。オアシスなら、先行した空戦隊が見ているだろうし、あそこは支援部隊の輸送ルートだ。あまり効果的とは思えないが……どうしてだ?」

「……はい。ジコウが保護されるまでの二年間は分かりませんが、それ以降は、オレ達と同じ様に集落から出ていません。……あの遠征訓練以外では。

 そして、昨日は酷い天気でした。あの天気の中、広大な荒野の未踏の地へ行くとは、とても考えられません。それなら……行った事がある場所をたどるハズです」

「なるほど……。だからオアシス……という事か」

「はい。……集落周辺の林にいないのであれば、ジコウはオアシスに向かったハズです。なので、オアシスは入念に捜索したいと考えています。

 そして、そこにいなければ……」

「……友好派だろうな。友好派周辺の林という可能性もある」

「……そうです」


 ショーナの説明を身動き一つせず、全て聞き切ったジャックは、その筋立てに関心して微笑み、彼に言う。


「なかなか筋道が通っているじゃないか、ショーナ。捜索の立案に、お前も立ち会ってもらいたかった程だ」

「……ありがとうございます」

「友好派周辺の林は、俺達の集落からだと遠いからな。こちらから捜索部隊を出したとしても、満足に捜索出来る時間は少なくなる。

 友好派に飛んだジョイには、友好派にも捜索の協力をお願いする様に伝えてある。ジョイから向こうの長に伝えられたハズだが、どこまで捜索に協力してもらえるかは、ジョイからの報告を待たないと……現状では分からん。

 ……いや、ウワサをすれば……ご到着だ」


 ジャックは上空に顔を向ける。それに続き、ショーナとフィーも同じ方向へと顔を向けた。その先にはジョイが高速で集落へと飛んできており、彼女は集落近くまで来ると、水平飛行をしていた中空(ちゅうくう)で翼を畳み、急降下して彼らの下へと接近。地表近くで一気に主翼と補助翼を広げ、急減速して右足で着地し、砂ぼこりを立てながら滑りつつ制動して、十分に減速してから、もう片方の足を地に着けた。

 彼女はジャックの隣でぴたりと停止しており、派手な着地で現れたジョイに、ショーナとフィーはきょとんとしていた。当のジョイは、まるで何事も無かったかの様に涼しい顔をして翼を畳むと、ジャックに顔を向けた。そんな彼女に、ジャックは微笑んで声を掛ける。


「早かったじゃないか、ジョイ」

「待たせるのは好きじゃないの。……あなたは、待たせるのが好きな様だけど」

「フッ……。予定なんて常々変わる物だ。待たせたくて待たせている訳じゃない」

「どうだか……」


 最後の一言は、目を閉じて呟いたジョイ。その表情は、どこか彼に対して微笑んでいる様だった。一呼吸置き、ジャックは端的に質問する。


「それで……。友好派の返事は?」

「えぇ。集落内の捜索と、集落周辺の捜索も約束してもらえたわ。それと……現状では、それらしいドラゴンは目撃されていないそうよ。

 ……まぁ、協力してもらえたとはいえ、友好派の自衛部隊は、ここの戦闘部隊より規模が小さいから……。あまり当てにはならないでしょうけど」

「まぁ、協力してもらえただけで十分だろう。独立派の行方不明者だからな。……本来であれば、我々だけで完結するのが筋だ。文句は言えん」

「……そうね。……ところでジャック、この子達は……どうしてここにいるの?」


 話題を変えたジョイは、ショーナとフィーに顔を向けた。そんなジョイに、ジャックは腕組みをしたまま微笑んで答えた。


「あぁ、こいつらも捜索に出る事になった。……長直々の『ご指名』だそうだ」

「エイラ様が……!?」


 目を見開いて驚いたジョイは、ジャックに顔を向けて一言言うと、少し顔を下に向けてしかめっ面をし、呆れた様にため息混じりの小声でぼやく。


「全く……。本当、我が子に甘いというか、楽観的というか……」


 彼女のぼやきを聞き、ジャックはすかさず、ここまでの経緯を説明しだした。


「ジョイ。とりあえず……こいつらは臨時編成で小隊を組ませた。『ショーナ隊』としてな。

 それと、今……ショーナと興味深い話をしていた。捜索先についてと、ジコウが向かった先についての話だ。……こいつらはオアシスへ捜索に行くそうだが、その理由が的確でな。

 昨日の悪天候下でジコウが向かった方向は、荒野方面だと……俺達は報告を受けた。だから俺達は、それを前提として捜索場所を決定した。荒野方面の林一帯と、荒野の広範囲だ。

 だが、ショーナの考えだと……『あの天気の中、広大な荒野の未踏の地へ行くとは、とても考えられない』……だそうだ」

「……確かに、それは一理あるわね」

「そうだ。そして、その考えの行き着く先は……友好派になる。友好派であれば、一応……遠征訓練で行っているからな。

 となると……だ。友好派周辺の林も可能性が浮上する事になる。どちらの集落の林であれ、林であれば身を隠しやすいし、食料の調達も出来るからな」

「……なかなか鋭い思案ね」


 ジャックの説明に、ジョイは真剣な顔付きをして相づちを打った。ジャックも真剣な表情をし、腕組みをしたまま話を続ける。


「あぁ。……それで、それについてジョイにも聞こうと思っていた。友好派は……林の捜索もするのかどうか……」

「……それは分からないわ。私もその話は今聞いたから、林の捜索までは伝えていないし……。

 さっきも言ったけど、友好派の自衛部隊は規模が大きくないわ。ここと同じ様な捜索は、向こうでは無理よ。そこまで大掛かりな捜索をするのであれば、こちらから部隊を送らないと……」

「……まぁ、そうだろうな」


 ジョイの返答を聞き、ジャックは顔をしかめて相づちを打つ。そして鼻で小さくため息を吐くと、再びショーナ達に顔を向け、改めて話し始めた。


「まぁ、その件は俺達で話し合っておく。お前達も捜索に出るなら、そろそろ出発した方がいい。オアシスなら友好派より近いが、出発が遅くなると……帰りも遅くなる。

 いいか、くれぐれも無茶はするな! そして、暗くなる前に戻るんだ! お前達まで消え失せてしまったら……たまらんからな」

「……はい!」


 ショーナとフィーは真剣な顔付きで、同時に返事をしてうなずく。


「ショーナ! 万が一の時は、救援要請も忘れるな!

 今日の配置なら、必ず周りに他の部隊がいる。ジコウを発見したり、自分達の身に危険が及んだ時は、早めに救援要請を出すんだ! いいな!」

「はい!」


 ショーナは目に力を込め、力強く返事をした。


「……必ず無事に戻れ。……行ってこい!」

「はい!」


 ジャックの送り出しに、ショーナとフィーは同時に力強く返事をすると、振り向いて一本道へと駆け出した。

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