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猫耳と王冠  作者: クーアウコ
第二部
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9話 交流会準備

 トロル族は、保守的な考えを持つ者と革新的な考えを持つ者が混在している。

 保守派は、長年閉鎖的な生活を送ってきたため、外部の種族との交流に抵抗を感じる者が少なくない。

 一方、革新派は、新たな文化や技術を取り入れることに積極的で、交流に賛成する者が多い。


 グリムは、今回の交流を成功させるためには、トロル族内部の意見をまとめ、一致団結する必要があると考えた。

 そのためには、保守派の懸念を解消し、交流のメリットを理解してもらう必要があった。


 数日後、グリムはトロル族を集め、会議を開いた。

 会議では、猫耳族との交流計画について改めて説明し、アンミストに通訳してもらい彼らの意見を聞いた。


 部下のゴルグが口を開く。


「グリム様……以前、我々は猫耳族の容姿をどうしても受け入れられませんでした。

 しかし、今は…」


「ゴルグ……率直に言ってくれ。私の姿を見て、どう感じる?」


「…少なくとも私には、以前のような激しい嫌悪感はありません。

 むしろ、少し…戸惑っています。

 あなたの姿が違うせいで、何とも言えない奇妙な感覚に襲われます」


「そうか。それは、私自身も感じていることだ。

 猫耳族の体の感覚を通して、彼らの世界を少しだけ理解できたような気もする」


 マタタビ教会での出来事を思い出しながらグリムは返答した。


「グリム様……私は、猫耳族の容姿にばかり目を奪われ、彼らの内面を見ようとしていなかったのかもしれません。」


「ゴルグ。

 どうかこの機会に、猫耳族との交流についてもう一度考えてみてくれないだろうか。」



「グリム様……少し時間をください。

 私たちも今回のことを受け止め、改めて考えてみます。」


 グリムの姿が変わったことでトロル族も猫耳族に対しての対応や感情が変わりつつあることをグリムは感じていた。



 その後、交流によって得られる具体的なメリットを提示した。


「猫耳族の薬草の知識は、トロル族の医療技術を向上させるだろう。また、彼らは優れた農業技術も持っている。里では限られた土地でも効率的に作物を栽培する方法を知っており…」


 グリムの熱心な説得と具体的なメリットの提示により、保守派たちの不安は徐々に解消されていった。

 最終的には、保守派も交流に賛成し、トロル族として猫耳族との交流を積極的に進めることが決定された。


 こうして、グリムはトロル族内部の意見をまとめ、猫耳族との交流を成功させるための第一歩を踏み出した。


 グリムは、猫耳族との交流を円滑に進めるため、様々な準備に取り掛かった。


 まずは交流会の準備を進めた。

 猫耳族の歴史や文化について学ぶための資料を集めたり、交流会で披露するトロル族の文化や技術をまとめたりした。


 また、展示会に向けて、トロル族の特産品や技術を紹介するための展示物を用意した。

 特に猫耳族に興味を持ってもらえるよう、鍛冶技術を駆使して作られた武器や防具、生活用品などを中心に展示することにした。


 せっかくこれだけ準備をしたのだからと、トロルや猫耳族以外の人間達にも見てもらえるよう、近くの街の掲示板に交流会の告知を貼り出した。


 着々と準備が進む中、グリムは猫耳族との交流が待ち遠しくてならなかった。

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