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猫耳と王冠  作者: クーアウコ
第一部
37/52

37話 猫耳と王冠(ネタバレのあとがきあり)

 あれから10年が経った。

 白い髮の猫耳少女グリムはトロルの国から遠く離れた森に小さな小屋を立て、一人で暮らしていた。




 白い霧につつまれ淡い陽の光が差し込む森の中、グリムは草むらに寝ていた。

 彼は夢を見ていた。

 その中の彼は、10年前にヴォルグラスに受けた傷跡がいまだに残ったままの体だった。

 そこに彼と同じくらいの背をした、どこかで見覚えのあるような長く茶色い髪の猫耳少女が、いつもの声で話しかけてきた。




 ほら、グリムちゃん起きて。寝坊しちゃったの?いっつも体を鍛えてたじゃない。


 アンミスト…今日はトロルの姿じゃないのか?…そうか、それが君の本当の姿だったのか…いいものが見れたよ。


 会いたかった。ずっと探してたんだよグリムちゃん!なんでトロルの森を離れてどこかにいっちゃったの?


 君が眠っている森にいると、涙で周りが見えなくなるんだ…仕方ないだろう?

 それに、君とはこうして毎日会ってるじゃないか。


 グリムちゃん。猫耳の女の子はそんな言葉は使わないよ?


 ははは…君はいつもそう言うんだな。

 君が生きてる時に、もっと言う通りにすればよかった。すまない…

 …君に言っておきたかったことがあるんだ。私も君が好きだ…大好きだ!!


 じゃあ、相思相愛だね!






 喉の痛みを感じ、グリムは目を覚ました。


「また寝言を言ってしまったか……」


 自身の身体を触り、傷を確認する。

 傷跡は微塵もない。

 10年前にアンミストと一緒に消えてしまっていた。



 ――ああ、今日も夢が終わってしまった…


「はは……10年間、私は全く成長してないな……」


 グリムはそうつぶやき、両手で膝を抱え顔を(うず)めた。


「寂しい……また、君に会いたいよ……」


 グリムは目に涙を浮かべ、嗚咽を漏らす。

 顔を上げると、晴れた霧の先にグリムと同じくらいの背をした、茶色い髪の猫耳少女が目を潤ませ立っていた。

 呆然とするグリム。


「グリムちゃん。ボクも大好きだよ!!」


 いきなり少女が抱きついて来た。

 少女の心臓が、鼓動を打つように彼の胸に伝わってくる。

 それはまるで、二つの魂が共鳴しているかのようだった。


「ア、アンミスト……!? なんで……」


 グリムの瞳に、信じられないという思いとこみ上げてくる感情が入り混じっていた。

 彼はこの瞬間が夢ではないかと何度も確認したくなったが、少女の温かい体温と彼の頬に触れる柔らかい髪が、現実であることを告げていた。

 そして長年の孤独が一気に解き放たれたように、彼の目から熱い涙が溢れ出した。

 

 少しの抱擁の後、少女はグリムから一旦離れ――


「はい、これ! 森のみーんなと話し合って、一生懸命作ったんだよ!」


 そこには見つかったパーツを無理やり繋ぎ合わせて不格好に修繕され、小さくなり傷だらけの王家の指輪があった。


「ほら、かぶってみて」


 その子はグリムの猫耳の間に指輪をちょこんと乗せた。

 少女がとびきりの笑顔を見せる。



「うん、似合ってるよ。王様!」











魔法書収集家インクは、自室にて机に置かれたマインドメルトの薬書を見ながら頭を抱えていた。

「『3分内に二人が服用しないと後述する副作用により無効となる。服用者は効果の有無に関わらず、魂と体を完全に固着させる副作用が現れるため、再使用不可』

まさか私が意味を読み違うとは……」

ネタばらし

最後らへんで、本作最大の地雷であるアンミストについてボロクソに叩いてますので注意してください。

あと作者はアンミストが一番のお気に入りです。



まずTS物で姿が変わって、しかもそれが可愛い猫耳少女なのに

マジのマジにその姿を嫌悪した挙げ句に発狂して自傷行為まで行くパターンは珍しいのではないかと思います。

少なくとも作者はこの展開は見たことありません。

テンプレでは少なくとも自分の姿に好感を抱くはずですよね。

この世界のトロル達の価値観を活かした展開と言えるのではないでしょうか。


姿を変えられ言語も通じなくなる追放パターンも珍しいと思います。

厳密には追放ではないのかもしれませんが。



「猫耳」少女としたのは覚醒後の戦闘に説得力を持たせるためです。猫の身体能力ってすごく高いですよね。

普通の人間の少女がまともに戦えるわけ無いし、じゃあ覚醒してよくわからない不思議な魔法で無双するのもね…

まあ一番の理由は猫が好きだからです。


1話での肉体変化は実は身体交換というのは中盤で明かされました。

ヴォルグラスの身体変化は、実は精神ではなく互いの肉体の方を移動させる魔法となっています。グリムが同じ場所に倒れてたのはそれが理由ですね。

事前に下準備である魔法陣が必要であり、何の制約もなく乱発できる類のものではありません。


鎧やら指輪は地面に転がってましたね。装備品や服は移動しません。

グリムは裸になってないとおかしいですよね。

そこはヴォルグラスのサービスで服をプレゼントされました。



最初にくどいくらい指輪と傷跡の話をしたのは後の自傷行為、そして最後の展開に繋げるためです。

弊害として肝心の話し始めが掴みもなく、いささか冗長となっていますね。

動き出すまでの展開が遅いですがラストのためだから致し方ありません。

最初と最後がくっつくのが美しい終わり方ではないでしょうか。

「やめろおおおおお!」も最初とラストの戦闘直前に言ってますね。

入れ子構造としています。


最初にエリックがグリムと会った時の「肖像画のトロルが死んだ」という推測は、走馬灯時のアンミストの状況に合わせるように逆算してます。普通ならこういうのはアンミストとの回想シーンにしますよね。

アンミストとの想い出どころか、アンミストですらない肖像画のトロル王に対してアンミストだという認識を持つ展開は目新しいと思うのですがどうでしょうか。



そもそも最初の闇落ちシーンはコピペの走馬灯と重なるように逆算しています。




マインドメルトは最後に追記した通り、最初に服用してから副作用である固着が現れる前の3分間なら何回でも使えます。

インクのミスリードです。


インクの「茶目っ気」「先入観」発言はもちろんラスボスが手のひらから氷柱を発生させるための伏線として機能させていますが、実は彼女自身も先入観に騙されていたというオチです。

ドヤ顔で忠告しておきながら自分も同じ過ちを犯していたのです。


薬書をよく読めば理解できたはずですが彼女も騙され、エリックに誤認させてしまいました。

ゆえに最後のシーンは本物です。部下(茶髪の猫耳)とアンミスト(瀕死のトロル)が入れ替わっています。





アンミストの死亡時グリムは「なんで」と聞きましたね。

4つほど彼が抱いた、心の声の「なんで」にアンミストは残された時間を使い、精いっぱい答えてましたね。

クアドラブルミーニングです。

「なんで…」はエンディングでも登場させました。

同じセリフでも、彼の心境はまるで正反対なのがわかるでしょうか。

疑問の内容は「なんで君が生きているんだ。」ってところでしょうか。

君は幻なのか本物なのか、私が狂ってしまったのか、彼は自問自答してるはずです。

到底信じられないのかとっさに表情や行動には出ません。

その問いに彼女は、多分このあと答えてくれるんでしょう。

あえて本編では理由を言わないのがオシャレかと。



指輪は言うまでもなく指輪パンチで砕け、王冠になるのに利用されています。

最初からずっと出てきてる要素で勝つのっていいよね!!


王の象徴だった王家の指輪が消え、彼は王からひきました。

だけど1年後にアンミストとトロルたちが協力して修復した指輪が王冠となり、グリムのもとに戻ってきて、再びグリムは王として舞い戻るのです。


1年も互いを想いつづけ、とうとう10年後に再会して王冠を渡すってエモくないですか?

1年という年月はそういう状況にするためにも使用されています。


なお、1年経たせたのは年月がたっても可愛らしい容姿が変化しないことも示してします。

猫って何年たっても可愛いままですよね。



指輪の有無は彼の地位を表している比喩となっています。メタファーっていうんですかね。指輪がなくなって王様やめたけど、また指輪(王冠)が戻ってきたから王様やります、みたいな感じです。


最後のシーンでアンミストが王様呼ばわりしてますよね。

なぜ最後にグリムちゃん呼ばわりではなくこれまで一度も言わなかった「王様」呼びしたかというと、それを表現したかったのです。


これからグリムは通訳のアンミストとともに森に戻り王としてトロルの森を治めるのでしょう。

言葉が通じないから通訳が必要ですよね!!その意味でもグリムにはアンミストが必要です。

猫耳少女時のアンミストにトロル語が話せることは、「森の皆で作った」発言からも推測できますね。

このあたりは本文でいれることも出来ましたが、なんか全部説明しても味気ない気がしたので丸々カットしました。



つまりラストの短いシーンでグリムのほとんど全ての問題を解決して、物語冒頭で触れた、傷や指輪の顛末についても決着をつけています。

なおかつミスリードの伏線を回収し『アンミストの生死』のどんでん返しを行い、更に「猫耳と王冠」というタイトル名の回収も同時に行っています。あと百合エンドです。

相当のカタルシスとなったのではないでしょうか。




ラスボスは杖しか使わないのではないかという話は、冒頭のシーンとアンミストとの最初の接触でも匂わせていますね。


最後のシーンに1年たたせたのはグリムの記憶を曖昧にしてさらに夢うつつにさせ、茶色い髪の猫耳少女を疑問に思わなくさせるためでもあります。

だってアンミストの正体は今の自分の体ですよ?アンミストの本当の姿が目の前の茶髪の子であるわけ無いじゃないですか

グリムくんは相当おかしなことを言ってますよね。疲れてるんですね。


茶髪猫耳が速攻でグリム部下の姿だとわかってしまうと話がそっちに持っていかれますからグリムには10年たち記憶をボケさせて、さらに傾眠中でぼーっとしてもらいましょう。



ヴォルグラス戦で猫耳少女のグリム部下に一部始終の会話を聞かせ、マインドメルトの効果も説明させ、気絶させ扉を閉めたのはアンミストと入れ替わってもらって彼女を生かすためです。

一個一個出せばいいのに、部下を出して魔法陣出して、アンミストの話が始まったと思ったらヴォルグラスが無視してごちゃごちゃ話してたのはこのせいです。

グリムの部下に勘違いをさせアンミストと体を交換してもらうためにはこのシナリオ展開しかありませんでした。

部下がマインドメルトの話を聞き、身体をもとに戻す魔法陣の話を一部始終聞いて、倒れたトロル王の正体がグリムだと確信してくれないと部下が行動してくれません。

扉を閉めないと、部下がいつ起きたのかよく分からないし、下手をするとアンミストがマインドメルトを使ったところを見られかねません。


また、その際にエリックが余計な説明をすると交換をやめてしまいますので、わざわざ人間の言語を喋れる状態の部下を出してグリム達の会話を全て聞かせて、その後見せびらかすように言葉を失わせたのはこのためです。

普通なら言語を失った状態でだしますよね。これは必然性があります。


妨害を阻止するため、エリックには事前に動けないようになってもらっています。

インクのミスリードはエリックが勘違いをして1年後の再開となるようにも使用してます。

すぐエリックに交換がバレたら味気ないし。

そもそもすぐバレたら感動の再会時に時間的にひしゃげた王冠が作れないじゃないですか。

ラスボス戦後に余韻もなく数時間や1日後にすぐ再会して、数日後に王冠!!

これはつまらない。

部下(中身アンミスト)が3日間目を覚まさなかったのも、グリムを追い出して10年後に再開させるためです。

さっさとグリムを追い出して、このあとアンミストが目を覚まして結成しただろうトロル王捜索隊に見つからないよう出来るだけ遠くに追いやりましょう。









数珠つなぎで身体交換が行われたかのような状況だとグリムやアレック達に思わせたのは、トロル王に戻ったあとの再度の交換イベントが、グリムにとって意外性がなくなるからです。

それに数珠つなぎ状態じゃないことがバレたら、そもそもその時点で薬でどうにかしてオシマイになってしまいます。



最初にグリムはアンミストに女の子の言動をさせられそうになり激怒しますがイベント後は心境が代わります。

このために最初のイベントをいくつか発生させています。


最初は嫌がってたのに、後にプライドを捨て猫耳少女の体を受け入れてパワーアップするイベントってTS物として新しくないですかね。

少女の体なんて受け入れて猫耳少女らしいなよなよした動きになったら、一見弱くなりそうですよね。でも実は最適化されてしなやかな動きになって強くなるみたいな矛盾が面白いと言うか。

既出ネタならすみません。




鑑定の話には、最後の「だが私には王家の指輪がある」発言と全く同じセリフがあります。

同じセリフが出てきたら熱いですよね。

しかも鑑定のときは「私には王家の指輪がある…(ビクビクオドオド・・・)」なのにラストは「私には王家の指輪がある!!(自信満々)」と

同じセリフでもグリムの心境は全然違いますよね。成長しましたね。



トロルの森襲来イベは、グリムの正体をバラして、猫耳の外見を忌み嫌う筋肉至上主義のトロル達と和解させ、後に部下がアンミストと入れ替わるのに使用しています。

部下に正体をバラさないと入れ替わってくれませんから。




最後の茶髪猫耳がアンミストである根拠は他にもあります。グリム部下は喋れません。

言語操作魔法の効果が切れた可能性はないです。

ラスボス戦後にまだトロル語が分からない発言をしているグリムを見ても、言語操作の効果がラスボス死後もずっと続いてるのがわかりますね。

その前にも身振り手振りでトロル達を廃墟の城へ誘導してますし。




ではいよいよ、アンミストについて書きますね。

アンミストはスラム街的なところで暮らしている孤児です。

やけに持ち物が貧乏くさいところで推察できますね。斧もそのへんで拾ったものでしょう。

自分の性別に違和感というほどでもないですが、いうほど自分の元の容姿に執着することもなかったようです。

ラスボスがそれについて言及してるし、そもそも最初に川で見たときは鼻歌すら歌ってることから何となく身体交換に余裕があるのが分かるでしょうか。



むしろトロルの体になって色々便利な部分もあったようです。

アンミストが自分の家に帰り準備をするときにエリックたちの同行を拒否しましたよね。

嘘がばれたくなかったからです。

家に猫耳少女用の服しか置いてなかったらおかしいですもんね。

人間の男って名乗ったのにね。


最初にアンミストはグリムに後ろから襲われましたよね。

アレでグリムの姿を直接見ないで済んでいます。

これで思考する時間が与えられ、グリムの姿を見てもびっくりせずに済んだようです。

正体を偽っており、最初から何やら良からぬことを考えているのがわかります。

やけに返答に時間がかかってる質問がありますね。その場で作り上げた嘘だからです。

アンミストの名前は本名です。名乗るのに時間がかかりませんでしたね。

エリックの推察通り、グリムに意地悪したくて「本当の名前も知らないのに」と言っただけのようです。


やけに時間がかかっている返答が嘘で、即答した質問は本当の事です。


人間の男という設定にした理由は、

『敵か味方かも分からない相手が自分の体を取引材料に使ってこないようにするため』

『悪い魔法使いを倒す以外に身体交換の方法が見つかってしまった場合の時間稼ぎ』です。

とりあえず男を名乗っておけば問題はクリアできますよね。

バレた後は知りません。


アンミストがその場しのぎ…というか、後の場しのぎの嘘のせいで、本当はマインドメルトを入手した時点で、物語は一応終わっていたはずなのに彼らは振り回され続けます。全部こいつのせい。

マインドメルトの話を聞いた時内心ホッとしたでしょうね。嘘をついてなければ終わっていた。危なかった…そんなことをかんがえていたのではないでしょうか。




そしてアンミストの元ネタは「オーストラリアンミスト」という猫の種類です。霧は関係ないですよ。


オーストラリアンミストは人懐こく甘えん坊らしいですね。



アンミストの考えているその"良からぬこと"は、アンミストがマインドメルトを使った後のセリフで明かされていますね。

アレは冗談ではありません。

大マジでマインドメルトをグリムに使う予定で用意してました。

正気の沙汰ではない事が分かりますね?

雰囲気に騙されないでください。

ここが本作最大のミスリードだと思います。

こいつはとんでもないことを暴露してます。

大団円を迎えたあと、王としての地位と体を取り戻しハッピーエンドを迎えたであろう、最高の気分のグリムにマインドメルトを使おうとしてたんですよ。(余談ですがグリムは元の体に戻ってもトロル語を使えません。茶髪状態のアンミストがトロル語を使える事で推測できますね)


もちろんこんな思考のアンミストですから、たとえ薬がなくてもグリムが元の体に戻ろうとしたら妨害する予定だったようです。

場合によってはラスボスの味方になっていたでしょう。

薬があるのでとりあえず最終決戦では味方になってくれました。

よかったね。

場合によってはアンミストは自分のトロルの体と通訳能力を人質に猫耳少女グリムにくっつき、共にトロル国を治めることになっていたでしょう。とんだ悪女ですね。

アンミストは自分のことを"わるい魔法使い"と言ってましたね。なんか雰囲気で言ってるだけに見えますが、マジで悪い魔法使いだったんです。


わるい魔法使い、というのは序盤でエリックがグリムに述べた、ラスボスの仮名称ですよね。

いかにも童話っぽい言い方ですが、実はアンミストが言っても違和感がない単語として設定してます。

アンミストは語彙が乏しいので、そんな難しい単語を喋るキャラではありません。出来るだけ平易な言葉を選びました。



グリムから言われマインドメルトを飲む提案を1回承諾しましたよね。アレはアンミストの賭けでもありました。

あそこでグリムにトロルの森に逃げられて、民と体を交換されては困る。かといって体の交換も嫌だ。困ったーどうすればいいんだ。

そうだ!多分鼓舞すればグリムちゃんなら大丈夫なんじゃないか!という計算と、あわよくばマインドメルトを受け取れるんじゃないかという淡い期待があったようです。

そうならなかったとしても、難癖つけてマインドメルトを自分のものに出来るのでは。

だってボクは一度襲われた被害者だよ?

受け取る正当性はあるよね。

このような事を考えていたようです。

恐ろしい女ですね


そして、アンミストの狙い通り立ち直ってくれましたね。譲渡の申し出もあった。


エリックさんに難癖つけられて奪い取られないうちに、そのへんで拾った適当な空き瓶にすり替えて空に投げたフリをしよう。

よしよしこれでマインドメルトはボクのもの!!

ヤバい、エリックさんが何かいいかけてる!!


だめだ、この小瓶…早くなんとかしないと……!!


よし、瓶が割れた音がした。

計画通り!!


ラスボスを倒したあとグリムちゃんの隙をついて飲ませよう。

食事か飲み物に混ぜればチャンスはいくらでもあるはず。




エリックとグリムが必死に頑張ってる裏で一人だけ全然別のことを考えて、どうやってグリムちゃんからマインドメルトを奪ってやろうかと、某新世界の神になる漫画みたいな心理戦をしていたのです、この女は。

ある意味、この話の本当のラスボスはこいつと言えましょう。自称"本当のわるい魔法使い"は伊達ではありません。

なにせ自分勝手な欲望で二人の預かり知らないところでひたすら足を引っ張り続け、最後にはグリムにとってのバッドエンドとなるよう画策をしていたのですから。


ちなみに最初はその、猫耳少女グリムとトロル王アンミストのバッドエンドにするつもりでした。

アンミストに裏切られトロル語も取り上げたままの死んだ目のグリムが、それでも通訳が出来てトロルの体を持つ彼女にすがるしか無いっていう。彼女は、手に入れた付き人のグリムくん(実際にはグリムが彼女に指示をします)をしたがえトロル王として君臨。それはそれでいいんですけど、やっぱり今のほうが良いですよね。





アンミストの正体を知っても二人は彼女の死亡が原因か、雰囲気のせいか

怒りませんでしたね。

冷静に考えてみたら彼女はとんでもないことをやらかそうとしてたんですが。


よくよく読み解いたら単なる感動話ではない、2面性がある作品を目指しましたがどうでしょうか。


他キャラの名称の元ネタ


グリムは、もちろんグリム童話からですね。

エリックは…

エリックさん→「エリクサー」

はい。グリムを見事に立ち直らせましたね。おあとがよろしいようで。

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