■#01 謎世界
おっす、おら弱男だ。
誰もが認めるオフィシャル弱男dismだ。
突然だが、俺は今現在、絶賛異世界転生中だ。自己紹介とかは興味無いだろうからとりあえず置いておこう。
だが、一言だけ俺の事を語るならばクソつまんない人生を送るアラフォー男である。だから異世界転生はまさに青天の霹靂であると同時に干天の慈雨となる出来事だ。
『ようやく、俺のターンが巡ってきたんだな』と。
人生が虚無で、希望もクソも無くなった中年世代においての唯一無二の拠り所となるファンタジックな、剣と魔法と住人と冒険とハーレムと現代知識によるマウントとご都合主義なスキルでの無双ができる世界で人生のリスタートがようやく始まったのか、と。
ちなみに、そんなダメ中年達が願う転生モノの舞台として広く周知されているのが──中世の西欧を基にしている【ナーロッパ】だというものは勿論これを読んでいる奴らなら知っていることだろう。
とある小説投稿サイトの名と、欧米国の名を組み合わせた作者の都合の良い文化が根付く唯一無二世界。
『現代から転生した者の知識で無双ができるご都合主義な文化レベル』『知識が足りなければ魔法で全て片付けることも可能』『模倣中世』などと揶揄されて有名だ。
だが、そんな【ナーロッパ】にて巻きおこる物語に人々(一部)は惹き付けられ、今や一大コンテンツとされているのだから消費者需要とはわからないものだ。
これはなにも批判しているわけではない。むしろ俺もそんなコンテンツを敬愛するイチ消費者なのだから。自身になにもかも都合の良い未知の世界へと行き着ける時を心の何処かで待ち続けていたのだからな。
そして、それはようやく叶った────と手放しには喜べなかったのがこの前口上……もといこの記録のプロローグの議題ともなるわけだ。
これを読んでくれた奴ら、どうかこの奇妙で変な世界の出来事を俺と共に肌で感じ取って感覚を共有して貰えたら嬉しい。知らんけど。