表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフの森の女狩人  作者: 遙那氣之
1/3

第1章:エルフの魔法の森、ドリアード

       エルフの森の女狩人

第1章:エルフの魔法の森、ドリアード


ここはエルフたちが住む魔法の森。茂みに囲まれた美しい森林。

高い木々が天に向かってそびえ立ち、その葉は様々な緑色や金色に輝き

微かな光が林の中を照らし、魔法の存在感が隅々まで行き渡る。


人間とエルフがいるこの世界。

ここは人間に気づかれないよう山の奥にひっそりとあり、

魔法と自然が調和した、美しい魔法の森。


青々と茂る木々と清らかな空気が広がるエルフの森は、神秘的で美しい場所として知られていた。

その森の一角に、小さな水色の池があり、そこに住む魔法の生き物たちが水辺で遊んでいた。

その池のほとりに、私たちの村がある。


村には、エルフたちが美しくデザインした宮殿や住居。

これらの建造物は、自然の中に調和するようにデザインで、

しばしば木々や花々が建物の一部となっている。


そこに住むエルフたちは

その美しさと、魔法の力を大切に守ってきた。

エルフの子供たちは、自然と共に育ち、平和に暮らしていた。


エルフは自然界との強いつながりをもち

その村の、木が私の住みか。


私の家は、大きな木の根元の下部分に、穴がくりぬかれ、そこにドアが作られた木の家だった。


私は、いつも通りに、妹に料理を作り、妹に食事をさせ、

風に吹かれた金色の髪を、エルフ特有の尖った耳にかけて、

白いワンピースを風に揺らしながら、洗濯物を干していた。


襟足まで伸ばしたまっすぐな金色の髪は、木々の木漏れ日に当てられ、

白い肌とともにキラキラと輝いていた。


洗濯物を干したときの水が、顔にかかり、緋色の瞳をつぶって水をぬぐった。


掃除もしなきゃなあーと思っていた時

扉から、コンコンとノックする音が聞こえた。



はーい!と私は扉をノックした相手に、聞こえるように声を上げた。


扉の向こうから「アリアいる?」と声が聞こえた


扉を開けると、茶色の髪を短く切りそろえ髪がぴょこぴょこと跳ね、

私より10㎝は背の高い少年、隣の家に住む幼馴染のユトがいた。


「うん、ここにいるよ」私は明るく答えた


私に会うと、ユトは嬉しそうに

「アリア、森へ遊びに行こう。」 「…よかったら妹も」

と、妹は来るか来ないか分からないので

一応誘っておこうといった感じで私に言った。


「妹も?待ってて、聞いてくるね」 と言いながら、妹の部屋に向かった。


妹はたぶん来ないだろうという予感がしたけど、一応妹に聞いてみた。


妹のエナの部屋をノックし、ぼーっとするエナを見た。

ベッドの上で、私と同じ金髪を自分の髪が長すぎるのか、髪をお尻に踏みながら座っていた。

エナはぽかーんとした表情で窓を見て、ウサギのぬいぐるみをずっと抱いていた。


「エナ、ユトが森の中で遊ぼうって言ってるけど一緒に行こうよ」と話しかけた。


エナは私をちらりと見たが、「……」何も話さず首を横に振った。


「行かないの?」とエナに聞き返したが、エナは首をこくこくと縦に振った。



エナは、親を殺されてから心のショックで話せなくなってしまった。

話せない代わりに、たまに筆談で会話する。


「じゃあ、家に居る?」と、エナに聞くと 首を縦に振った。


やっぱそうか… と残念な気持ちになった。

気分転換になればと思ったんだけど…


「じゃあ、お姉ちゃんは、ユトと遊んでくるから、ちゃんと家に居てね。

1人で外に出ちゃだめだよ。夜には帰ってくるから」


とエナに言い聞かせた

エナはお人形のようにかわいいけど、心が虚ろなので、

何かあっては困ると、なるべく1人にしないように気を付けていた。


エナは、聞いてるのか分からないといった無表情でウサギのぬいぐるみを持ったまま、

うつろな表情で窓を見つめたままだった。


はぁ…と私はため息をついたが、ユトには残念な表情を見せないように家の入口へ向かった。


「ユト、やっぱエナは来ないって…」

ユトは、そうか、分かってたけど というような顔をした


「じゃあ行こうか」ユトが私の手を持った


アリアとユトは、このエルフ森で生まれ育った幼馴染の親友同士。

ドリアードと呼ばれる、エルフの魔法の森

森から差し込む、木漏れ日の下で、この森を自由に探検することが日課だった。


私達は生まれてから、12年間この森しか知らない、この森から出たことがない。

この森はいいけど、若干、窮屈で退屈な気分もあった。



アリアはショートの金髪と、いつも微笑みを絶やさない紅い瞳を持ち、

膨らみかけた胸に、太ったんじゃないかと気にする年齢だった


ドリアードは私たちのあそび場で 

今日も、岩場に腰かけて、湖に足を付けパシャパシャと水をかけあっていた


ユトが口を開き「アリアもさ、親居ないのにがんばってると思うよ」


アリアが遠くを見つめ

「…今はまだ、子供だし12才だし…、15才の大人の年齢になったら、きちんと仕事もしたい、

親の代わりに働いて、妹も元通りに元気になってくれたらいいな…」


ユトが聞こえるか聞こえないくらいかの声で

「そのうち、僕が養うから…」


「え?何?」私は聞き返した。


「ああ、何でもない」とユトは顔を下に向け、足を付けてる先の湖を見た。

「湖かあ…このもりのずーーーっと奥には海があるよね」


「海…!みてみたいなあ…」私は目を輝かせた

湖と海何が違うんだろう?青いのは一緒?塩辛いって聞くけどどんな味?

海に対する好奇心がどんどん湧いてきて、



「僕も見てみたい」ユトが私の目を見つめていった。


「じゃあ行こうよ!」と私は興奮気味に湖につけていた足をバシャバシャした。




足をバシャバシャしすぎて岩場に足をぶつけて、岩で足が少し切れてしまった。

「…痛い!」


「大丈夫か?…バタバタするからだろ?」

ユトはすぐ私の怪我した足を持ち、怪我した範囲に手を当てて、「ヒール(身体治癒)」と唱えた。

するとユトが手をかざした部分から緑色の光を放ち

岩で切れた足の皮膚が、裂けた皮膚がゆっくりと元通りになっていく。


「うう、ありがとう…ユト

ユトは、回復魔法使えていいなあ、、私、回復魔法はさっぱりで…」


エルフは、魔法が得意な人多いんだけどなあ…


「まあ、僕は自然や森林の魔法だからね。

アリアは、魔力は弱いけど、攻撃魔法少し使えるからいいだろ」


「まあ、イノシシ狩ったりする時にしか使わないけどね…」

私はえへへと頭に手を当て下を向いた


ユトが話を切り替え。

「まあ、海はさ、海は森の結界を抜けた、人間のエリアだから、

もし人間に見つかったら何されるか分からない」


私は怖さを考えて

「うーん、そだね…」と下を向いた


「エルフは珍しくて、人間に見つかると、売られたりするかもだし」


私の親も、出稼ぎに人間の土地に行ってそのまま帰ってこなかった。

エルフの村の人には、人間に攫われて殺されたと聞かされた。


親の遺品もなに一つもない。

孤児になった私たち姉妹は、村の人たちに助けられながら、このドリアードで暮らしている。


このドリアード、エルフ森全体には魔法結界があり、森には入れないし出れないようになっている。

出れるのは、結界を解除できる魔術師、長老だけ。


人間も来れないし、安心できる、けど


森の結界の先を抜けたら、人間のエリアになる。危険なのはわかるけど

いや、森の結界の場所まで行った事は無いけど。

海…この森の先を、一度でいいから見てみたい!

その好奇心は抑えられなかった。


私はひらめいて思ったことを考え無しに言った。

「少しだけ海見て、すぐ帰ったらどうだろう?」


ユトは考えて話した。

「海まで、どのくらいの時間で着くか分からないよ?」

「ともかく、まず地図を用意して下調べしてからにしよう、地図は僕が探してみるよ」

ユト地図を探しに帰った。


「分かった!じゃあよろしくね。私行ける準備しておくから!」

と行けるか分からないけど、私は、行く気満々でいた。


数時間するとユトが、私の家まで来て地図を持ってきた。

「僕らの森から、大体2日くらい歩けば海みたいだよ。」


「2日か~大丈夫かな?いける?」私は目線を上にしてうーんと考えた


「行けない事もないと思う、僕は何かあっても、ある程度、回復魔法が使えるから、

行きたいのなら、行ってみる?」


「ユト、ありがとう…私、魔法はあまり得意じゃないから

狩りに使う弓持ってくね。

じゃあ明日行ってみよう―!」


「え?待ってアリア。

明日、っていきなり?準備とかあるだろ、薬草とか、食料とか…

アリアは興奮したら、突き進む癖があるからなあ」


とまるで動物を憐れむような眼で見られた。


「じゃあ準備して、明後日いこうよ!」私は好奇心を抑えきれず、やる気に満ち溢れながら答えた。


ユトは若干押され気味にOKした

ユトと別れた後、私も海を見に行く準備をしようと思った。


あ、妹はどうしよう? 海見に行くかな?聞いてみよう。

エナの部屋に行き、ドアを開けた。

朝見た時のエナの位置から、あまり位置が変わってない… 大丈夫かな?


「エナ、海見に行く?海だよ!初海だよ?なんたって初だよ!」と力説し

海で初海をエンジョイしようよ!と興奮気味に話したが

 「…」エナから返事は帰ってこなかった。



「あ、海がどんなのか分からないかな? えっと海はね、多分でかくて広くて

湖よりでかくて多分青くて塩辛いんだよ!」


と見たことのない海を、本で読んだ海の説明を思い出しながら熱弁した。



エナはこちらをちらりとみた


「行く?行くよね?今行くよね? あ、行くの明後日だ」とエナに聞きまくった


しかし、首を横に振られてしまった。

うーん行かないかー 一緒に行こうよアピールもっとすべきかなあと考えたけど、

もうやめよう… 無理に進めてもあれだし。 エナも嫌がるよね。


海へ行く前日の夜。海へ行く朝に備えて、

何かあった時の為に、妹に食事をたくさん用意し、洗濯も掃除も済ませた。


「エナ、じゃあ明日海見てくるから、

エナがいけなかった分、いっぱい話とお土産持って帰ってくるからね!

2日くらい?かかるけど家で大人しくしててね」


エナは自分の部屋でぼおーと窓を見つめ「海…」と言ったような気がした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ