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Fly Daddy Again  作者: 正導日明
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天の川 帰還への道

「なぁジャズ、歩き続けてどの位経ったかい?」

『歩き続ける事、24時間が経過いたしました』

「おぉ……聞かなければよかった」


俺はお世話になった皆さんと別れ、開かれたゲートへ入る事、24時間が経っていた。

まさかここまで時間が経過するとは思わなかった。

ゲートに入ったらあっという間に地球みたいな事を考えていた訳ではないけどさ……けど、歩けど歩けど先は見えない。


「地球へと向かうだけでも大変なのに、俺達は過去へも行かないといけない……それだけ大変な事なんだろうけど……」

『私達の力では過去へ戻るために必要な力は地球が崩壊する1年前に戻る事が限界です』

「考えたら、1年ってあっという間だよな……」

『仕方がありません。 我々では1年が限界だったのですから』

「もう少し師匠達の下で修業したら……いや、たらればを言っても仕方がないな」

『はい。 あのままあの場に留まっていたとしても、あれ以上の成果は望めなかったでしょう』

「そうだな……しかし、この【瞬神の末裔】って一体何なんだ?」

『こちらはジョブに指定されており、現レベルでは詳細は見る事ができません』

「見れないのか……そっか、俺って今レベルが5しかないんだよな……まぁ、レベルはともかく、スキルとスキルレベルは変わらずだし、よしとしますか……しかし、ゲートの中は星がキラキラと輝いていて、神秘的な光景と相まって、飽きは来ないな~」


これは嘘ではない! 

だって本当に綺麗なのだ。

天の川を歩いているみたいに様々な星が連なって見えているのだから。

まるで神様にでもなった気分である。


「でも、なんの当てもなく歩き続けるのは、神様になってもきついよな」

「そうそう、神なんてなるもんじゃないよ」

「えっ?」

「えっ?」


声が聞こえて振り返ってみると、黒いローブに身を隠し、その場に座っている男性がいた。

ひたすら歩いていて気付かずに通り過ぎるところだった。

しかもお互いにびっくりし過ぎてビクッてなる始末だ。


『央雅様申し訳ございません。 周囲を確認しておりましたが、反応がありませんでした』

「ジャズが気付かないなんて事があるのか?」

『申し訳ございませんとしか言いようがございません』


ジャズが気付かずにいる事にも驚きではあるが、ここに人がいる事にも驚きを隠せずにいる俺は、この黒いローブの男に話しかける事にした。


「あの、ここで何をしていらっしゃるんでしょうか?」

「私の事かい?」

「あ、はい」


俺がそう問いただすと、黒いローブの男の人はゆっくりと立ち上がり、腕を伸ばし、輝く星をちょんっと触る。

すると、触られた星は一際輝き始める。


「いやね、ここで少し一息入れていたところだったんだ」

「こ、ここでですか?」

「そうだよ。 周囲がうるさくてね。ここにいると気持ちが安らぐんだ」


ここで気持ちを休める人がいるんだ……へぇ……


「そ、そうだったんですね……あ、すいません、お休み中に俺なんかがお邪魔して」

「気にしなくていいよ。 君には許可を出したんだから」

「あ、そうだったんですか? なんかお気遣いいただいたみたいですいません」

「いやいや、いいんだ。そう謝る事はないさ」


俺が謝ると、黒いローブの男は手を左右に振る。


「ここは綺麗だろ?」

「はい。 こんな綺麗な場所はきっとないでしょうね」

「はは、そう言ってもらえると、作った甲斐があったってもんさ」

「うん? 作った?」

「あぁ、気にしない気にしない。 それよりも君が今から行こうとしているところは、君にとってはよろしくない」

「はい? それはいったいどういう意味――」

「おっと、君ともう少し話していたいんだけど、お邪魔虫がここにいる私に気付いたみたいだ」

「お邪魔虫?」


さっきからこの人と話していると、所々で引っかかる所がある。

けれども、この人ともっと話をしていたいと思う俺がいるのだが、お邪魔虫のせいでそうもいかないみたいだ。


「君の行こうとしている場所はよろしくないから、君の仲間であるジャズ君に新たな情報を送っといたから、それに従うといいよ」

「え、新たな情報? いや、何でジャズの事を――」


俺が問いただそうとした瞬間、今まで綺麗に輝いていた星が、徐々にだが光を失っていく。


「時間がない。 君はもう行った方がいいよ。 近道を用意したから」

「え、あの、近道?」

「うん」

「えっ⁈」


黒いローブの男がそう言うと、足元にいた星が急にいなくなる。

すると、俺の体は穴に落ちる様に、勢いよく下へと落ちていく。


「うわあああああああああああ――⁈」

「大丈夫。 身を任せていればその内なんとかなるから」

「うわあああああああああああ――⁈」

「頑張って、央雅君。 君にしかできな――」

「うわあああああああああああ――」

「うん、悲鳴で聞こえてないね。 とにかく頑張るんだよ~」


黒いローブの男とちゃんとした会話もできずに、俺は急にできた穴に落ち、勢いよく落ちていく事に対し、恐怖で悲鳴を上げながら落ちていった。


「ジャ、ジャズ⁈ 何か手を⁈ 」

『先程の男性から情報をいただきました。 このままのスピードを維持しながら落ちて行くのが最善です』

「マジかよおおおおおおおおおおお――」


俺はもの凄い速さで落ちていく。

それと同時に、俺は意識を失うのであった。

































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