いざ!!
「あら、熱があるわねぇ」
ばあちゃんは温度計を見ると、37.8℃と表示されていた。
「ごめん」
「別に謝る事はないわ。 熱もすごく高いって訳じゃないから、きっと勉強を頑張り過ぎたせいね。 この際2~3日休んじゃうのもいいかもね」
「う~ん……」
「いいのいいの。 今無理するような時期でもないし、休める時に休むのが一番よ。 学校には連絡しとくわね」
「お願いします……お昼はいいから、夕方まで寝る事にするよ」
「わかったわ。 夕方ぐらいに起こしに来るわね」
「いいよ、自分で起きるから」
「はいはい。 あ、そこにスポーツドリンクがあるから、小まめに飲むのよ」
「うん、ありがとう」
ばあちゃんは部屋から出て行く。
「ばあちゃん達を騙すのは気が引けるが、仕方がないな」
『今は罪悪感を押し留め、効率よく動くことをおススメします』
まぁ、あの時こうしとけばよかったって後悔するより、一時の罪悪感を優先する方が今は良いと判断する。
俺は出かける準備を済ませ、布団に向けて魔法をかける。
「【影の分身】」
すると布団に俺にそっくりな俺が現れる。
「万が一、ばあちゃんが様子を見に来る時のための保険をかけとかないとな」
準備が整い、自身に【透明人間】・【飛翔】をかけ、上空へと上がっていく。
「さて、ダンジョンはどこかね~」
『ナビを設定しました』
ジャズがそう言うと、俺の目にナビゲーションシステムが見えるようになる。
「OK。 それじゃ行きますか~」
+++++
上空を飛び続けて30分。
『この真下にダンジョンがございます』
「この下って……」
下は緑が蔽い茂る森である。
ジャズがあるというのだからあるに違いない。
俺はゆっくりと下降していく。
枝をどかしながら降りていくと、そこには大きな岩が鎮座していた。
周りを見てもこんなとこに人はきっと来ないと思う程、殺伐と静けさが怖さを醸し出す。
『この大岩から反応があります』
「う~ん……見た感じ岩なだけなんだけど……うん?」
岩を触り、藻が生い茂っている場所を触っていると、何かが尖っている部分に手の平が当たる。
俺は藻をどけ、尖っている部分を見ると何かの紋様が掘られていた。
「この紋様はなんだ?」
『その紋様に手をかざし、魔力を注いでください』
「注げばいいのか?」
俺はジャズに言われた通り、魔力を注ぐ。
「おっ⁈」
魔力を注いだ瞬間、紋様が光りだし、ゴォォォォ――っと音を立て始める。
すると、大岩に付いていた藻が燃え始めると、ゆっくりとだが、岩に扉が現れ、開いていく。
「こいつぁ驚いた」
『疑っておられたんですか?』
「いや、そういう意味じゃなて、ただ単に驚いているんだよ。 本当に地球にダンジョンが存在していた事に」
ジャズを別に疑っていたわけではない。
ただ単に、心底驚いているんだわ。
「しかし、何と言うか見た感じ、このダンジョン『和』って感じだな」
『そう思われるのも分かる気がします』
扉の先はどことなくお城のイメージができる作りになっている。
少しその光景を見ると、親近感が湧き、緊張も幾分解れる。
「よし……行きますかね……ジャズ周囲のチェックを頼む」
『異常なしです』
「OK」
ジャズのGOサインが出る。
俺は開かれた扉の先へ、ゆっくりと進む。




