懐かしい優しさ
俺はじいちゃんちの真上で佇んでいる。
久々に見たじいちゃんちはこんなにも小さかったんだと思っていた。
久々のじいちゃんとばあちゃんに会う……変な顔にならないか心配だ。
「よしっ! 行きますか!」
俺は意を決して、人気が無いかを確認しながら降りる。
ドアノブに手をかけ、家の中へと入る。
「た、ただいまぁ」
「おう、お帰り~」
「お帰りなさい。 ご飯の準備はできているから、手とうがいをしてらっしゃい」
「う、うん、わかった」
久々に会う二人の姿に込み上げるものがあったが、グッとこらえ、洗面所へと向かう。
二人の姿を見て、地球に戻ってきたんだと改めて実感した。
俺は手を洗い、気を引き締め直し、二人の下へと向かう。
「ほら、温かい内に食べちゃいなさい」
「うん、ありがとう」
俺はばあちゃんから炊き立ての白いご飯を受け取る。
食卓の上には焼き魚、漬物、筑前煮、卵豆腐、赤だしの味噌汁がある。
異世界に行っていた時に、修練の暇だけだが地球にあった食材を探していた。
けれどもお米と、味噌は見つからなかった。
まぁ、あの世界を全て見たわけではないから、存在しないとまでは言えないが、今は、そんん事よりも、食卓に並んだ食事を早くお腹に入れたい欲求にかられる。
「いただきます! はむっ! くぅ~……美味い!!」
「あら……この子ったらおかしな事を言うわね~?」
「央雅よ……どうした? いつもと変わらないばあさんの飯だぞ?」
「うん……でも、今日はすっごく美味しく感じるんだ」
「まぁ、央雅は若いからね~。 いっぱい動いた証拠よ」
「そうだな。 今日一日一生懸命動き回ったって事だろうな! そういう時はいっぱい腹に取り込むのが一番だ!」
「うん! おかわりいただきます!」
「
俺は一気に白米を平らげ、おかわりを自分でよそう。
「ばあさん、今の見たか?」
「え、えぇ……あんな早く白米が消えるの初めて見たわ」
「美味い……美味い……」
「そ、そんなに美味しいか? ほ、ほれ、じいちゃんのも食べるがいい」
「あ、ありがとう」
「ど、どうしちゃったの? 学校で何かあったの?」
おっと、逆に心配させてしまった。
でも美味しすぎて感動しているのは本当なんです。
「何にもないよ……ただ、ばあちゃんのご飯が美味しいから……」
「そうかい……ならいいんだけどねぇ」
「あ、明日は央雅の好きな肉を使った料理にしようなばあさんや」
「そ、そうね……若い子お肉をいっぱい食べた方がいいわね」
頑張って平然を装うと思っていたが駄目だった……
いや俺には無理だ!
こうして俺のじいちゃん、ばあちゃんのファーストコンタクトは、二人に大丈夫かと心配させる形で終わった。
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「ふぅ……やばいねこりゃ」
『お二人はかなり心配そうなお顔をされていましたね』
「いや、頑張った……頑張ったんだけどね」
『心情はお察ししますが、あまりにも……』
「以後気を付けます」
『無理でしょうね』
「くっ……」
俺はご飯を食べて、すぐ風呂へと直行した。
だって二人の視線が痛いの痛いの……
まぁ、心配させる様な反応を見せた俺が悪いんだけどさ……
風呂から出たら切り替える様にしよう。
俺は風呂から出て二人の場所に向かう。
「お風呂上がりました」
「おう。 次はばあさん入るがいい」
「ならお言葉に甘えて、入らせていただきますね」
ばあちゃんはそう言うと風呂へと向かっていく。
「央雅」
「うん?」
じいちゃんが俺を呼ぶ。
「無理してないか?」
じいちゃんのその言葉と、眼差しにまた涙が出そうになる。
けどグッと堪える。
今度こそ涙を出さず我慢できた。
「俺は大丈夫だよ」
「そうか……ならこれ以上は聞かん」
じいちゃんはそう言うと、テレビに視線を戻す。
じいちゃんの好きな野球のニュースがやっていた。
ニュースを見ている邪魔はしたくないから、俺はじいちゃん達が用意してくれた部屋へと向かう事にした。
部屋に入ると、一生懸命受験勉強を頑張っていた形跡があった。
俺は机に座り、教科書を手に取り、ペラペラと捲っていく。
「あの時は必死になって頑張っていたっけ」
教科書を置き、布団に寝転がる。
「ジャズ、手筈通りレベル上げに3日間ダンジョンに潜るぞ」
『わかりました。 では私は今からインターネットに入り、こちらの世界に関して調べさせていただきます』
「あぁ、頼む」
俺は事前にジャズと話をし、急いでレベル上げに勤しむ事にした。
出席も今まで休まずに来たから、多少休んでも文句は言われんだろう。
それに、俺の成績は優秀とはいかんが、オール4だし、口うるさい事は学校も言ってこないと思う。
「受験勉強はもうやったんでね。 それに……」
勉強に関してはジャズがいるため、勉強をせずとも分かる。
なら、今俺がやるべき事は少しでも強くなること。
その時が来るまでに―――
「俺は強くなる」




