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2-3

パパに許可をもらって、厨房に足を運ぶ。


悲しいかな、貴族令嬢は料理などはしない、

例えお菓子といえど、自分で作る事はできないだろう。


そう思いながら、厨房の扉をノックする。



「はい」



そういいながら、扉がバンと開けられ、

迷惑そうな顔が覗く。


その顔に少し気おされながらも、何とか言葉を紡ぐ。



「ごめんなさい、料理長と話がしたいのだけど・・・」


「これは、フェデリアお嬢様!失礼致しました!!!」



料理人はあわてて、料理長を呼びに行ってくれる。


しばらくして、ガタイの大きい料理長が、

のっそりと姿を現した。



「旦那様から、お話は伺っています。

 しかし、いかんせん忙しいもので・・・

 もし、娘のリタでよろしければ、

 少しは料理の心得があるので、

 お役に立てるかと思いますが・・・・」


「ぜひ、お願いするわ」



そう言うと、おずおずとした、

左右に三つ編みをした13歳ぐらいの少女が、

姿を現した。


こんな小さな子供が働いているんだ・・・


この国には小学校がない、当然、中学や高校も、

裕福な家庭は、家庭教師を呼び、勉強できるが、

ろくに文字の読み書きもできない人が大半なのだ。


義務教育まではいけなくても、

せめて、読み書き、計算ぐらいはと思うが、

この世界では、紙がほとんど流通していない。


当然ペン・インクなどと言う物も、

一部の人間しか使わないもの。


本もかなり貴重な物なので、

簡単に勉強しましょうとは言えない環境だ。



「レシピを書いてきたの、

 この通りに作って欲しいのだけど、できるかしら?」



文字が読めるか不安になりつつも、

メモを渡すと、まじまじと、メモを見始めた。



「はい、材料はそろっているのでできると思います」



メモを読めた事に驚いて、リタをみると、

頬を赤くして、もじもじとしている。



「文字が読めるの?」


「はい、食材だけですが、何が入っているか

 書いてある箱を見て覚えました」


「そう・・・・」


「ただ、これは読めません」



そう言われた文字を目で追う。



「これは”まぜる”と読むのよ」



そう言って、ボールに入った物を混ぜるジェスチャー

をする。


他にも、細かい事を指示して、後はリタに

任せる事にした。

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