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2-2

両親にプレゼントをもらった後は、

お待ちかねのケーキである。


予想通り、イチゴをふんだんに使ったケーキ。


それを使用人が職人の技で切り分けてくれる。


たかがケーキの切り分け。


いやいや侮ってはいけない。


今まで日本の家庭でもホールのケーキを、

切り分けた事はあるが、ぐしゃっとなって、

スポンジがでてしまい、いびつになるのが普通。


しかし、使用人は専用の包丁らしきものを使い、

お店のショーケースに並ぶのではないかと、

思わせる程綺麗に切っていく。


流石、貴族の使用人。


切り分けたケーキを、どうぞと言われ、

最初に口に運ぶ。


イチゴも最高級品なのだろう、

甘さの中にも嫌味のない酸っぱさがあり、

ふわふわのスポンジをさらに引き立ててくれる。


生クリームも甘さが控えめで、

美味しいの感想以外、何も思い浮かばない。



「美味しい、最高だわ」


「改めて誕生日おめでとう」



ママはケーキの前に、紅茶を飲んで、

ケーキを頬張る私をにこにこと眺めている。


そんなママを見ながら、今思いついたかのように

言ってみる。



「このイチゴ最高ね、でも他のフルーツを

 乗せても美味しいかもしれないわね」


「他のフルーツを?」


「ほら、桃とかブドウとか・・・後メロン!

 いろんなフルーツを一度に食べると、

 とてもリッチな気分になれると思うの」



パパは手を顎に乗せ、考えこんでいる。



「考えた事もなかったな、

 そうか、しかし、確かに他のフルーツでも、

 ケーキに合う物があるかもしれん、

 料理長に話してみるか」


「上手くいったら、ぜひ私も食べてみたいわ」


「そうだな、約束しよう」



この流れなら、ひょっとしていけるのでは

ないかと思い、提案してみる。



「後、思ったの、小麦粉と砂糖、玉子なんかを

 まぜて焼いたら、新しいお菓子ができるんじゃ

 ないかなって」



どきどきしながら、両親の反応を見る。



「スポンジを作るのではなくかい?

 それはまた斬新な発想だね」



しばらく間をあけて、パパが言った。



「いろいろ試してみるといい、

 新しい発見があるかもしれないからね。

 料理長には、話しておこう」


「ありがとうパパ」



よし、これでクッキーの一歩が踏み出せた!

この調子で、どんどんお菓子の幅を広げて

いけたらいいな。


ほくほく気分で、ケーキを食べていると、

ふと思いついた。


そういえばネット小説の本編は始まっているの

だろうか、いつモンスターが大量に襲ってくるのか、

目星をつけておきたいよね。



「そういえば、セレディウス様って何歳なの?」



セレディウスはネット小説のヒーローにあたる、

王太子の名前だ。



「セレディウス様は、今年16歳になられたよ」



16歳・・・確かネット小説では19歳だったはずだから、

物語の開始まで後3年はあるのね。


とはいっても、相手は大量のモンスターなので、

何もできない事がはがゆいけれど・・・・


王宮や貴族街は定期的に魔術師が結界を張る為、

自分は恐らく無事だとは分かっている。


それでも、沢山の人が巻き込まれて死んでしまうのは、

やはり苦しい思いを抱えてしまう。


何かできればいいけど・・・・

しょせんモブですらない身では、何もできないのよね。


ケーキの最後の欠片を口に運びながら、

今後の展開を頭に思い浮かべていた。

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