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2-1 無意識の改革

ダンスの練習が終わり、商会からの人の話も

聞いた後、待ちに待った3時のティータイム

となった。



「パパ!早く!」



両手を突き出し、プレゼントをねだる。



「ははは、よしよし、これだよ」



父親が手渡してくれたのは、

厚さ5センチ、長さ20センチ程の長方形の箱。



「開けていい?」


「もちろんだとも」



普段はプレゼントなどは、使用人やメイドが全て、

包装などを解いて、中身だけを渡してくれる。


当然のように使用人が控えているが、

私はプレゼントをじっと眺めて言った。



「ねえ、私が開けてもいい?」


「フェデリアがかい?」


「うん」



両親は顔を見合わせ、少し悩んでいるようだった。



「誕生日だしね、特別だよ」


「うん、特別!」



そう言って、ビリビリ音を立てて、包装を破いていく、

綺麗に包装されていたのを、無残な姿にしてしまって、

申し訳ない気持ちもあるが、

プレゼントは、やっぱり自分で開けたいものね。


箱を開けると、複数の綺麗な石とチェーンが入っていた。

宝石とは明らかに違う、ガラス玉やビー玉のような石に、

濃い青い色がつけてある。



「これは?」



不思議な気分でパパを見る。



「これは魔石だよ」


「魔石!」



知識として、聞いてはいる。

モンスターの体内には、魔石と呼ばれる特別な石があって。

その石に魔法で刻印する事で、様々な効果が得られる

と言うものだ。


と言っても、火をおこしたければ、

薪に火を付けたり、火の魔法を使えばいいだけなので、

さほど重要視されていない。


モンスターの数だけ手に入るので大量にあり、安価だ、

魔石に魔力があるうちは、いろんな色があるので、

どちらかと言うと、アクセサリー、お守りと言った、

要素が強い。


これが魔石か・・・と、まじまじ眺める私を、



「びっくりしたかい?ひょっとして怒っている?」



とパパが聞いてくる。


どうして怒る事に繋がるのか分からなくて、

首を傾げていると。



「前に欲しいと言っていたから用意したが、

 安い魔石がプレゼントでがっかりしたんじゃないかい?」



要は、誕生日なのに、安物が送られて、

がっかりしてるんじゃないかと思われたのだ。



「そんな事ないわ、パパがくれた物だって事だけで

 嬉しいもの!」


「そんな嬉しい事を言ってくれる、可愛い娘には、

 こちらもプレゼントしよう」



パパが先ほどとは少し小さめの真四角の箱を渡してくれる。


それを先ほどのようにビリビリと破く。


出てきたのはヘアアクセサリー。


これは小さな花がいくつも散りばめられた、

宝石をつかった繊細な意匠の品だった。



「すごい!」



日本の平均水準の家庭では、まず手にする事のない、

高級品に、少し手が震える。


絶対高いよね、コレ。


世界観は18世紀のヨーロッパを模倣しているが、

所々、その世界ではあり得ない水準の技術が、

存在している。


こんなちぐはぐな所でも、ここがネット小説の

世界なんだと、再認識させられる。



「ありがとう・・・嬉しい!」



考えている事を、まったく感じさせる事のないよう、

努めて無邪気に喜ぶ。


そんな私を、両親は笑顔で見守ってくれていた。

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