1-4
次にストーリーを思い返す。
確か、モンスターが大量に街に襲いかかってきて、
大聖堂に怪我人が集められる。
そこで、ヒロインのマリアが王太子と出会う。
私も魔力はそこそこあるが、魔法の勉強は
基礎知識のみで、専門的な訓練はしていないし、
回復魔法は使えない。
ルチアナ王女の陰謀も、子爵家の小娘が、
何かできるとは思えないし・・・
って、何で私転生したの?
はっきり言って、ストーリーに、
絡む要素ゼロなのでは?
モブですらないって・・・
少し考えた後、軽い気分になった。
転生して、貧民の子供になるとか、
無理矢理、政略結婚させられるとか、
悲惨な人生ではないし。
モンスターは怖いけど、安定したいい国で、
裕福な暮らしができている。
ストーリーを変えようとか、
奔走する必要もないし、
ストーリー通りに進むのを、恐れる必要もない。
ひょっとして、これかなりラッキーな転生では!?
まあ、今までの知識を思い返して、
醤油や味噌がないのは不満だけど、
正直、作り方も知らないので、再現しようもないけど、
クッキーやホットケーキは、
お菓子作りが趣味で良く作っていたので、
作り方は分かっている。
材料は全て揃っているので、
上手く閃いた事にすれば、作る事は可能なはず!
大声を上げてから、しばらく黙り込んだ私を、
心配そうに見ていた大人たちも、
ダンスの家庭教師が来て、
るんるん気分でダンスを踊る私を見て、
さほど気にする必要はないと判断したらしく、
いつもの生活に戻っていった。