7-3
「ごめんなさい」
無事に解放された私はセレディウス様に言う。
私の解放と同時に、
ドラゴンの魔石は隣国に渡り、
この国は弱い立場へと追い込まれた。
結局、ネット小説の展開通り、
王と王妃となっても、苦しい立場を、
余儀なくされる事となる。
「君が無事で良かった」
私の髪を撫で、抱きしめてくれる。
「私が王妃となってかまわないの?」
「ドラゴンの魔石と引き換えにしてまで、
守った女性だ、逆に王妃にしなければ、
民の誰もが納得いかない」
王宮の誰もが、私を心配して、
責める言葉は一言も発しない。
「愛している、君だけを」
そう言って、セレディウス様は、
私の手に口づける。
「もう迷いはございませんか」
そう言って、その場に姿を現したロイに、
王宮中の視線が集まる。
「よく姿を現せたものだな」
セレディウス様は冷たい声でそうつぶやき、
兵士の何人かは、剣に手をかけている。
「止めて頂戴、ロイは私の護衛騎士なのよ」
「まだそんな事を!ロイはフェデリアを裏切ったのだぞ!」
「裏切ってはいないわ、
ドラゴンの魔石は無事だったのだし」
私の言葉に、セレディウス様を始め、
周りの人がポカンとした顔になる。
「ドラゴンの魔石が無事と言うのは?」
「全て話すわ、少し長くなるけど」
ロイに見守られながら、
私は微笑みながら答えた。




