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その後の王太子の行動は早かった。
国内から王妃を選ぶ場合、伯爵令嬢以上という事で、
ケーキなどお菓子で国を発展させた功績で伯爵へ昇格し、
婚約者となってしまった。
従者によって、男を愛して、
女性を抱けないと思っていた両陛下夫婦は、
涙を流して喜んでくれた。
ちなみにヒロインは、大聖堂で回復魔法を
使った後、また聖女として巡礼にでており、
街でも会っていなかったとの事。
つまり、マリア大聖堂で、
魔石を使ってしまってから、
物語は大きく変わってしまっていたのだ。
その後は、王太子にべたべたに甘やかされ、
すっかりほだされてしまっている。
ネット小説では、ヒロインは平民の為、
宮廷になじめず、いじめのような事を受け、
苦労するが、
元々、令嬢として教育を受けており、
マリア大聖堂で、奇跡を起こした存在として、
王宮の人は私を本当に大切にしてくれる。
とどめとなったのが、
ドラゴンが襲いかかるイベント。
小説では王太子は左腕を失う大怪我を負うが、
ここまで来たら、もうちょっとぐらい
変えてしまってもいいよねと、
王太子に、漢字で防御魔法を付けた魔石
がついたバングルを渡し、左手に着けてもらい、
その他、回復魔法を強化する魔石も渡した。
結果、ドラゴンは無事退治され、
王太子も左手を失う事もなく無事に帰国。
そもそもモブですらない、
ネット小説に登場しない人物のはずなのに、
と思いながらも、王太子に今日も
甘やかされるのだ。




