6-6 (王太子視点)
ルイを愛しているなど、
自分の中で絶対に認める事ができない感情だった。
それでも、従者の言葉は
胸に刺さっている。
複雑な思いで、魔術大会を観戦する、
1回戦は余裕で勝っているようで、
それだけで、ルイの能力の高さが分かる。
ルイだけを目で追い、ルイだけを応援しているのは、
友人として、当然の事だと思う。
2回戦では、どうしてルイが勝ったのか、
よく分からない。
対戦相手に何があったのか、
聞いてくるよう、従者に指示を出す。
すると、ルイと戦った時、
いきなり夢を見たと言うのだ、
そんな事は聞いた事はないし、
結局は原因は分からないままだった。
次は3回戦、ルイが優れているのは、
今までの戦で分かったが、
相手も相当な強さだ。
はらはらしながら、ルイを見守る。
すると、3回戦の相手が、
いきなり大きな魔法を繰り出した。
ルイ!
思わず立ち上がりそうになり、
全身に冷たい汗がつたう。
ルイは無事だろうか。
しばらくすると、ルイはその場に立っており、
心から安堵した。
ルイに何かあれば、例え大会と言えど、
相手を許せそうにない。
ルイが無事でさえいてくれればいい。
ここまできて、やっと自分の恋心に気づいた、
そうか、私はルイが好きなのだ。
誰より大切で、自分で守りたくて・・・
決して、許される事はなく、
結ばれる事もないだろう、
しかし、もう心を偽わる事もできない。
ルイ、愛している。
平民だと、どんな危険があるかわからない、
身近においてルイを守ろう、
魔術大会で活躍したとあれば、
さほど怪しまれる事なく、傍におけるだろう。
「お前たちの言う通りだったよ」
それだけ告げたのに、従者2人は、
全てを察したようだった。




