6-5 (王太子視点)
魔術大会にルイが出ると知って、
胸が弾む思いがした。
マリア大聖堂で奇跡をおこした、
ルイの魔術が見れる!
魔術大会に出るぐらいなのだ、
やはり優れた魔術師だったのだ。
「嬉しそうですね」
従者に言われて、自分でも自覚する。
「ルイの力が見れる」
「ええ、大聖堂で起こった事が、
解明されるかもしれません」
笑顔で答える私に、従者2人が怪訝な顔をする。
「どうした?」
リュカが、唐突に思いついたかのように言う。
「今夜、娼館へ行きませんか?」
「娼館へ?」
王太子として、跡継ぎは義務である。
その一環として、密かに娼館へ行ったり、
未亡人を呼んで相手をしてもらったりしていた。
急に娼館を勧めだしたリュカに不思議な
気分になりつつも、素直に提案に乗る事にする。
「そうだな、今夜出かけるか」
そして、事情を知る、高級娼館へと足を運んだ。
いつもなら、体を重ねるだけの、
欲望を吐き出すだけの行為。
しかし、妖艶な娼婦を目にしても、
体がまったく反応しなかった。
その事に愕然としなからも、王宮に戻る。
王宮に戻ると、従者2人は、全て察したようだった。
「どうゆう事だ?」
自分の事なのに、自分の身に起こった事が
信じられない。
ルーカスが静かに呟く。
「今、一番会いたいのは、誰ですか?」
「それは、ルイだが」
迷う事なく、口にする、
しかし、それがどうしたと言う事なのだろう?
「ルイを愛していらっしゃるのですね」
「ばかな!あり得ない」
つい、大きな声で反論してしまう。
「女性が抱けないとなると、問題が発生します、
全力で対処致しますが、ご自覚下さい」
「ルイは男だぞ」
「男を愛したのではなく、ルイと言う、
1人の人間を愛したのです」
淡々と言う従者をみつめながら、決してあり得ないと、
うなだれた。




