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結局、剣術大会の2位の人は、
王太子ではなく、他の人だった。
これでネット小説通り進んでない事は、
確定してしまった。
王太子と、ヒロインの恋はどうなるのだろう?
そう思っていると、王太子の従者であるリュカが、
この後、案内したい所があると言う。
今までの変装した姿ではなく、
王太子の従者としての姿でそう告げた。
私はうなずき、リュカについていく。
「こちらへ」
そう言われて足を踏み入れたのは、
ロイヤルガーデン。
王家の人が認めた、ごく一部しか足を踏み入れる
事が許されない、特別な場所。
そして、そこは、ネット小説では、
王太子が、身分を明かし、
ヒロインに求婚する場所。
流石にロイヤルガーデンだけあって、
様々な種類の花が、薔薇を中心に植えられている、
いろんな種類に溢れながらも、
統一性を感じるのは、一流の庭師のなせる業だろう。
「来てくれてありがとう」
そこには、マリア大聖堂で見た、王太子がいた。
私はゆっくりと、膝をつく。
「そんな必要はない、立ってくれ、
話してくれてかまわない」
そう言われて立ち上がるものの、
何を話せばいいのか分からない。
「ルイ、君に告げたい事がある、
街で会っていたデューは、私なのだ」
その時、ネット小説と同じように、
ガーデンに風が吹き、花びらが舞い上がる。
王太子の告白が、私に起こっている!?
胸がどきどきする、私は男だと思われているはずだし、
王子は普通に女性を愛する人なはず。
「魔術大会2位おめでとう、
これからは、友人として、
そして、魔術師として、
私の傍にいてくれないだろうか」
本来、王族の言葉を断るなどあり得ないだろう、
しかし、私は喉を絞り出すようにして。
「お傍にはいられません」
とだけ告げた。




