6-3
魔術大会で2位になってしまった私は、
すっかり国中で有名人になってしまった。
ルイの名前で、気軽に街へ出ていたのに、
これからは、遊びに行きづらくなるかもと、
溜息をつく。
次は剣術大会、
魔術大会で2位となった私は、特別な席へと
通される。
道ゆく人も、尊敬の眼差しで私をみつめ、
頭を下げたり、握手を求めたりしてくる。
そんな私に、ロイだけはご満悦だった。
剣術大会にでるのも、この国でトップクラスの人達、
詳しい事は分からないものの、
激しく剣のぶつかる音に、はらはらさせられる。
しばらく見つめ合ったり、
そう思うと、剣舞かと思う程、
優美な剣さばきが見れたり。
思っていたよりずっと面白く、
ついつい熱中して見てしまった。
しばらくして、ふと気になる事が出てきた。
あれ?王太子出場していない?
ネット小説では、王太子は身分を隠し、
剣術大会に出場するはず。
そうでないと、ヒロインが高位貴族の養女になれない。
始めて、嫌な予感に襲われた。
今まで、ネット小説の通り、ストーリーが
進んでいるものとばかり思っていた、
でも、どこかで狂ってしまっている?
必死な気分で王太子を探す。
いきなり表情を変えた事を、
後ろに控えていたロイが気づいた。
「どうなさいました?ルイ」
「なんでもない」
「しかし、顔色が・・・・」
すると、同じく観戦をしていた魔術師が、
声をかけてくれる。
「大会で魔力を使いすぎたのではないかね、
少し休んでみたらどうだい」
「いえ、こんな凄い剣術を見れるのは、
めったにない機会ですから」
そういって、諦めきれず、王太子を探す。
物語が狂っていない事を願って。




