1-1 物語はまだ始まっていません
シャーとカーテンを開ける音がする。
「フェデリアお嬢様、朝ですよ」
「うーん」
いつものように、私専属のメイド、ダリアが起こしに
きてくれたようだ。
まだ、目を閉じたままなのに、天気が良いのか、
光を感じ、ますます目を閉じる。
「今日も良い天気です、お嬢様のお誕生日を、
お祝いしているかのようですね」
そう優しく語りかけてくれる。
「さあさあ。起きて下さい」
「もうちょっと・・・・」
「駄目です、お父様もお母さまも、
フェデリアお嬢様にプレゼントを渡したくて、
うずうずしていらっしゃいますよ」
「プレゼント!?」
その言葉にがばっと起きる。
そんな私に、ダリアがくすくすと笑う。
「さあ、こちらで顔を」
テーブルに向かった私に、水の入った桶を持ってきてくれる。
手を桶に入れると、水は少しなま温かく、
魔法で少しぬくめておいてくれたのだとわかる。
正直、冷たい水は苦手なので、
こんな気遣いが本当に嬉しい、良くできたメイドだと思う。
そのまま、手渡されたタオルで、顔を拭う。
ふわふわしていて気持ちがいい。
顔を洗ったら、服を着替える。
誕生日だからだろうか、普段よりフリルが多い、
豪華なドレスが用意されていた。
ダリアは私の服の好みは熟知しており、
何も言わなくても、その場その場で最高の服を
用意してくれる。
時々、自分の気分でリクエストしたりするが、
これはまれで、ほとんどお任せ状態だ。
着付けはダリアがおこなってくれる、
私は言われるままに、手をあげて、
袖を通しやすいようにしたりするだけ。
「はい、できましたよ」
その言葉に頷き、鏡台へと向かう。
そこで、腰掛けると、髪を結いあげ、メイクをしてくれる。
これはいつもの事だが、髪には夜会や茶会でしか、
つけないような、大振りなアクセサリーも
付けられていた。
「アクセサリーもつけるの?」
きらきらしたアクセサリーは嫌いではないが、
動きにくい為、普段は小ぶりで、
さほど目立たない物ばかりつけている。
「今日の主役ですから、誰より目立って
いただかないと!」
その言葉に、本当に私の誕生日を喜び、
祝福してくれている事を感じ、胸がほっこりする。
「ありがとう」
その言葉に、微笑むダリアが鏡に映る。




