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街の少し外れで、馬車が止まった。
「着きました、お嬢様」
「ありがとう」
「えっと・・・本当に行かれるのですか?」
ここまで来て、更に確認する御者に、
少し呆れながら答える。
「もちろんよ、2時間後にはここに戻るわ、
それまで、好きに時間を潰してもらっていいから」
「とんでもございません!
お嬢様がお帰りになりたいと思われた時、
いつでもお送りできるよう、ここに控えております!
いつでもお戻り下さい」
「・・・・えっと・・・・・・・ありがとう」
固い表情の御者に苦笑しながら、
少し早めに帰ろうと心に思う。
「ところで、私の性別は分かる?」
「お嬢様の性別ですか?」
「ええ」
「おかしな事を聞かれるのですね?」
「あまり気にしないで答えて」
「お嬢様は、男でございましょう」
「そうね、ありがとう」
そう言って微笑む。
とりあえず、男と思わせる事は魔石の力で
出来ているらしい、
お嬢様と言いながらも、男と思い込んでいる、
そして、その事に、御者本人も違和感を感じていない。
不思議な感じだが、まあ何とかなりそうだ。
この国では、男性はショートカット、
女性はロングの髪が基本。
変装する為に、髪を切る訳にはいかなかったし、
カツラはこの世界には存在していなかった。
仕方なく、一つにまとめて括っているが、
いくら男性の格好をしているとはいえ、
やはり、違和感は拭えない。
それに話し方、日本人の時を思い返して、
ざっくばらんに話そうとは思うが、
どうしても女性的な話し方がでてしまう恐れがある。
どうしても魔石頼みになる部分も多いが、
多分大丈夫、多分!
と自分に言い聞かせて、街に足を踏み入れた。




