勇者(ヒーロー)。
抜け出せない日々を見上げた
ビルの谷間
ここが何処なのか
分からないほど
崩れ堕ちてく世界
大切にしたかったものさえ
ひび割れ
朽ち果てていく
真夜中──
──信号灯る
明るい未来なんて来やしないさ
誰かの言葉に俯く
路上では誰しもが夢に落胆した
いつの時代だってそうさ
一縷の望み希望かけて命を燃やす
それが英霊とか勇者だって言うなら
やるせないね
地中を翔ける最大呪力
片膝突く指先の触地印
この世界と共にあるなら
呼び醒ませ
「オン・サッタバ・バジリ・ウン」
終末期にさえ追いつけない僕の創造
知らない未来がやがて追いつく現実
空白を塗り潰す新たなる魔王が君臨する黒の空位
「勘違いするな。大切なのは君さ」
知られざる時の狭間
いつかそこに
爆ぜる戦闘は
夢の中にいる
未だ眠る君を呼び覚ましに裂ける
縫合された傷跡
いとも簡単に抜糸する
よがってんなら──
「──寝てんじゃ、ねーよ……」
死んでも轟く
今変えなきゃイケない未来
身も心も焼かれる炎
凍てつくほど過去さえ
未だ視えないままに眠ってたなんて、そんなこと……──
気付いたこの瞬間に
死んだはずのアイツが太陽熱
見透かした青色の光を放つ
目を閉じかけた下弦の月明かり
窓辺に映るのは
冷え切った夜の空気
身を焦がす
漆黒の闇を灯す星々の涙
虹色光彩
抗えもしないはずで
眩しいよね
誰の胸にも抱いてたはずの地下牢獄
神話の中のタルタロス
君自身の胸にも──、二人なら
行けるはずだから
止めはしないよ
夢にまでみた先にいた君の言葉
「大好きだよ──」
想い出す
最初の一歩
世界の何もかもを
扉こじ開けて
永遠さえ見ようともしないで突き進む
Now loading……
不確かなもの
触れられない君へと
命を纏う拳
血を流す今
翔ける流星──
目が覚めたのなら
網膜に映り込む夜
それでも良いか──って
昨日までの部屋で
指先に唱える想いは、ひとつ
炎に、迦楼羅
天に唱える
立ち昇る夜空は
「オン・キシハ・ソワカ・オン・ハキシャ・ソワカ」
早過ぎて──今は冬
祭壇に灯される
君への送り火
いつか見た夢は
蝋燭の炎
まだ死にたくはないって
いつか叫んだ君のあの日まで
大切なもの分からなくて
握りしめてた花束
君との境界線に気付かないフリして
病院の待合室
せめて好きなものをって
明かりの灯る自販機のボタン押す君が
温かい飲み物を──って、
──赤く灯るランプ
遡るように
君の横顔の
瞳と長い睫毛
忘れられない
それでも結んだ両の手の平
想い出して……
炎に渇いた指先を組む
君への火界咒の印
それでも良いかって想う
僕の独りよがり
宿る想いは指先に
灯る炎にひとつ
夜空を舞う鳳凰が火の鳥
迦楼羅天に唱える
立ち昇る炎
片膝突く指先の触地印
この世界と共にあるなら
呼び醒ませ
君とともに──
「ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタタラタ センダマカロシャダ ケンギャキギャキ サラバビギナン ウンタラタ カンマン」
全てを焼き払い悲しみの炎を包みこむ海
あらゆる願いを叶えるために
閃光になる
この世界守れるなら──
君が愛したこの世界を
もう会えはしない君の代わりに
──印を結ぶ