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天柱のエレーナ・レーデン  作者: ぐらんぐらん
第五章 兄妹編
117/212

【 】――死に方を決められなかっただけだ

 【おそらく君の場所ではないところ。或いは君のたどり着けないところ】



 またここか……って、誰だお前。

 いつものアイツじゃねぇな。



「おそらく君の知らない人。或いは君と出会わない人だよ」


「ああやっぱり、君に色々と吹き込んだのは彼女か。『書庫(ライブラリ)』の盲点を突いた面白い方法だなぁ」


「ここでの記憶は『書庫(ライブラリ)』に残らない……いやはや、まさか複製ではなく魂そのものをここに引っ張ってくるとはなんというか……彼女らしいね」


「かといってここに本人を連れてくることや記憶を保ったまま返すことは、ここを任されているボクにとって面白くない」


「…………面白くない? ボクはそう思ってるのか……意外とボクも真面目だな」


「ああごめんごめん、自分の世界に入っちゃってたよ」



 お前も穴の下にいるアイツと同類か?



「まぁそんなところかな。ボクは穴の下じゃなくて海の真ん中の島に住んでるけど」


「君がアイツと呼ぶ彼女のこと、気になるかい?」



 そりゃあ気にはなるが、大して興味は無ぇ。



「ほう、何故だい?」



 もうすぐ死ぬ俺にゃ関係のない話だからな。


 それで、お前は何故ここに俺を呼んだ?



「教えてほしいんだ、君のことを」



 ほぉ? まぁいいぜ。


 俺はガラニカ・カンカリオ。今は『帝国(リャーヴェ)』皇帝だ。つってもお飾りだけどな。


 生まれも育ちも『戦の国』で、父上は先代首長、母上は他国の王女。

 強さがモノを言うウチの国だったが、血ってやつか、俺は次期首長として育てられたし、そうなれるくらい強くもなった。


 生き方そのものに不満は無ぇし、後悔も無ぇ。

 誰もを跪かせる地位を得て、誰もを倒せる力を得て、誰もが羨む強くて美人な嫁さんも得て、いつか産まれる子供も出来た。

 それだけ言えぁ順風満帆だわな。


 だが、後悔じゃねぇが、あの時ああしていれば、こうしていれば……っつーたらればを考えなかったって言ったら嘘になるな。



 ジュニカ――妹のことだ。


 俺たちは王族に生まれた。『戦の国』の王族にな。

 『戦の国』にゃちと他と違う習慣があってな、それは王家に生まれた子供が2人以上なら、下の方が10歳になると同時に子供同士で決闘して勝った方が王位継承権を持ち、負けた方が死ぬっつーやつだ。

 ちなみに『戦の国』も『拳の国』みてぇに強さで王を決めるところがあるから、あくまで継承権だ。


 俺たちはちょいと年の離れた兄妹でな、ジュニカが生まれる頃には俺は10歳になってた。順当に行けば決闘は20歳。それが10歳の妹と戦うって文字通り大人と子供だろ。

 俺はそれが気に食わなかった。簡単に勝っちまえるからだ。

 もちろんズバ抜けた天才児に生まれたならそれを覆して勝てるんだろうが、天才は俺の方で、ジュニカは普通のガキだった。



 父上はまぁなんというか普通の男だったよ。母上の尻に敷かれてはいたが、あれで首長になれちまうくらいには強い。


 凄かったのは母上だな。他国から嫁いできたってのに父上より『戦の国』の人間っぽかったよ。

 なんでも元いた国の公爵家と婚約してたがゴタゴタがあって破棄からの冤罪を着せられて、逆に打ち負かして公爵家を没落させてからこっちに嫁いでくる勝ち逃げだったらしい。父上が攫った形になっちゃいるが正確には「攫わされた」だっけか。詳しいことは知らねぇけどな。

 苛烈さと柔軟さを兼ね備えたっつーのか、まぁとにかく強い人だった。


 母上は俺たち兄妹を平等に愛したわけじゃなかった。

 10年後にはどちらかが死ぬって決まってんだ。そりゃ生き残りそうな方に傾くよな。

 ジュニカも愛されなかったわけじゃなかったが……比較すればどっちを気にかけてるかなんか一目瞭然だったよ。


 俺はそれを憐れに思ったのか、それとも親からもらった愛の余剰分を分けたのか、どっちかは分からねぇがジュニカを気にかけた。


 実際、死ぬほどかわいかったよ。

 活発で、どこに行っても付いてきて、寝る時も勝手にこっちに来て、冷たくするとギャン泣きする。たった4年しか一緒にいなかったのに一生分は「にーたん」って呼ばれた気がすらぁ。


 5歳から始まって年々厳しくなっていく訓練をしてた俺にとって、ジュニカの存在は特別だった。

 妹ってのは、下の家族ってのはこういうもんかと。

 魔族が言う『異常個体』っやつで、聖剣氣も持ってて、俺は強者になることが約束されていた。だからジュニカは俺にとって初めて出来た『守ってやらなきゃいけねぇと思える存在』だったんだ。



「そして君は決闘を待たずに妹を谷に突き落とした、と」



 そうだ。

 忘れもしねぇ、よく晴れた日だった。

 父上と母上と俺とジュニカ、4人の家族水入らずで遠乗りに出かけた日のことだ。

 他国との国境ギリギリの山の中腹にある花畑……もしあそこに行ってなければ、ジュニカと離れ離れになることもなかったかもしれねぇな。


 そこで母上は打ち明けた。自分は不治の病だ、ジュニカが10歳になるより前に死ぬだろうってな。

 父上は既に知っていて、4歳のジュニカはなんのことだかよく分からずポカンとしていて、俺だけが呆然とした。


 俺はその時点で人が死ぬってのがどういうことか分かってた。訓練の一環で罪人と戦って殺すこともあったからな。

 動かなくなって、どこを見てるのか分からなくて、それなのに目が合って、慣れないうちは気が狂いそうになったもんだ。


 俺は父上と母上を尊敬していたし、母上が俺を愛するように俺も母上を愛していた。

 その母上が死ぬ。まだガキだった俺には受け入れられない話だった。戦士として失格だったな、感情に任せてひとり走ってどこかに行った。

 それくらい衝撃で、信じられなくて、とにかく嫌だって叫んだのを覚えてるよ。


 走って、走って、走って、現実から逃げて、辿り着いたのは谷を目の前にした崖だった。


 どうしたもんか、どうやって戻ろうか。戻ってどうするんだ、母上の確定した死とまた向き合えってのか。

 そんなことを考えて考えて、何も考えられなくなったところに来たのがジュニカだ。アイツ、無意識に聖剣氣を使って俺を追いかけてきたんだぜ。すげーよな。

 不安そうに、けどどうして不安なのか分からねぇって感じに「にーたん、どうしたの? 痛いの?」って撫でてきて、親子だからか母上と手つきが似てて……


 俺は余計に錯乱した。


 ジュニカと母上が重なって、足場が崩れていくようで、訳が分かんなくなった。

 母上の次はジュニカだ。決闘は俺が勝ってしまう。王子王女に生まれた身でわざと負けてやることもできない。

 次々と家族が消えていく未来、俺はそれが恐ろしくてたまらなかった。


 そん時だ。たまたま読んだことのある物語の中に『絶体絶命の主人公が川に落ちて流され助かる』って展開があったのを思い出した。

 だからって実践すんのは流石にバカガキだ。俺はバカなガキだった。


 我に返ったのは、崖から突き飛ばして落ちていくジュニカと目が合った時だった。



「後悔は無いんじゃなかったのかい? 君のその顔は――」



 無ぇよ。ジュニカは生きてた。物語みたいにな。だからあの時の俺はジュニカを逃がすことに成功してたんだ。どこに後悔するところがあんだよ。



「結果論じゃないか。彼女が生きていることが分かったのはつい最近だろうに」



 そのニタニタとした笑いは気に食わねぇ。

 チッ、続けんぞ。


 両親にはジュニカが足を踏み外して落ちたって説明したよ。

 嘘が信じられたかバレてたかは知らねぇが、それは納得された。



 数年後に母上は本当に死にやがった。簡単に、落ち葉のように命を終えた。

 そのすぐ後のことだ。父上が俺を別の師に任せると言ってひとりの男を連れてきた。


 先代勇者ラビス・キウラスだ。当時はまだギリ勇者だったか。


 俺は学園に通わない代わりに、学園長直々に指導を受けた。勇者だけが知ってるような、学園じゃ教えないってモンも多く叩き込まれた。

 身体強化、聖剣氣を使った技……生徒ならそこまでだが、他人の聖剣氣を乱したりする表に出てないような技もあった。

 とっくにジイさんだってのにバカみてぇに強くてな。何年も何年も挑んだが勝てなかった。勇者ってのは伊達じゃねぇ。


 ジイさんにあと少しで勝てるって時……俺は最後に『聖剣』について教えられた。



「うん、ボクもちょっと気になってたよ」



 普通、聖剣っつーと勇者アイリアが持ってた聖剣ミアだ。

 だが表に知られていないだけで、聖剣ってのはミアだけを指すものじゃねぇ。


 ラビスが語った聖剣の定義はこうだ。『聖剣氣を持つ者が顕現させる物』ってな。

 つまり聖剣は聖剣氣を体に宿すなら誰でも持ち得るんだ。

 世に知られてねぇのは、それを知って誰も彼もが聖剣を得ることに躍起になって非人道的行為に手を染めたり自称勇者の乱立を防ぐためらしい。


 聖剣を得るための前提はふたつ。たったふたつだ。

「使い手自身が極限状態に置かれること」……そして「死後も使い手を真に想い続ける者がいること」だ。



「……ふたつ目のそれは、つまり使い手を想う者が死んでいる必要があるね?」



 そうだ。死んでも想い続けてくれるような人間ってのは比喩じゃねぇ。

 そういう存在が死んでなきゃいけねぇんだ。ひでぇ話だよな。



「ふむ……見えてきたぞ。魂か……それも一欠片」



 どういうことだ? 俺も……っていうか人類も詳しくは知らねぇんだよ。実例が少なすぎて。

 聖剣の存在は連邦も大統領も知らねぇ。勇者が先代勇者からその役目を受け継ぐときに口伝で今まで繋がれてきたものだ。ラビスだって持ってねぇし見たこともねぇんじゃねぇか。



「あくまで君を取り巻く事象とボクの推察だけど、聖剣アンジェリカは君のお母さんだね?」



 ああ、そうだ。



「自覚があるのかい! なるほど……どうしてそれがお母さんだと思ったんだい?」



 なんとなくだ。初めて出せた時に……こう、理解したっつーか。

 アンジェリカってのも母上の名前で、勝手に浮かんできたんだよ。この聖剣の名前はアンジェリカだってな。



「君の魂が彼女の魂の欠片を認識したということか……なるほど、ひとつ目の『極限状態に置かれる』というのは魂の感度を上げるため。そして使い手に『取り憑いてる』というべきか、守護霊のようなソレが聖剣となる……」



 ひとりで理解してないで分けてくんねぇか?



「つまり君はお母さんにめちゃくちゃ愛されてた……現在進行形で愛されてるってことだよ」



 ほーん。



「なんだいその反応は。照れてるのかい? 可愛い面もあるのだねぇ」



 るっせぇぞオイ、コラ。



「はっはっは。しかしこれは、いやはや。ボクたちの知る『聖剣』とはまた違うなぁ」



 そうなのか?



「うん。ボクらが知る聖剣は、君たち人類の定義する心温まるそれとは違い、人を犠牲にして生み出すものだからね」



 なんだそりゃ、あれか? わざと自分を想う人間を殺すとかか?



「いいや違う。根本的に成り立ちが違う。君の聖剣と聖剣ミアは同じではあるが違うものだ。知ったら驚くよ~、人類史に書いてない聖剣ミアの正体」



そう言われると気になるが……そのミアはエレーナが持ってるんだろ? アイツそれ知ってて使ってんのか。



「まぁエレーナは模造聖剣だーって別物だと考えてるみたいだけどね。にしても面白いなぁ……聖剣氣という概念は1000年かけて世界に蔓延するだけじゃ飽き足らず、聖剣の概念すら作り上げる……ロマンだ……世界って変わるんだなぁ」



 おーい、また自分の世界か?



「あっごめんごめん。さて、続きを聞こうか。君はラビス・キウラスの修行の中で極限状態に置かれ聖剣を得たというので合ってるかい?」



 そんなところだ。

 言葉にすりゃ簡単そうだが死の一歩手前だぜ? さらに前提を満たしていても得られるかどうかはほとんど賭けだ。まかり間違えばそのまま死ぬ、正気の沙汰じゃねぇな。


 んで死ぬ思いして手に入れた聖剣アンジェリカを使ったら……簡単に勝てちまった。先代勇者にだ。

 世界一強くなった気分だった。当代の勇者にも勝てるんじゃねぇかって思えた。まぁ結局やり合う機会はなかったんだがな。


 ジイさんに勝つことで修業は終わり、俺は役目を与えられた。

 裏、影、表現はなんでもいいが、勇者であって勇者にあらず……みたいなものだ。監視者ってのが適当かもな。

 勇者を監視し、勇者が何かやらかしたらそれを討つ……暴走した時の保険ってやつだな。そういうのになった。


 歴史的にも何人かそういう奴はいたらしい。だがここ数百年は勇者が何かすることもなく、監視者も必要なかった。

 だがラビスは自分が後を託した当代勇者――リーザック・レイルシアにそれが必要だと考えた。


 監視者の存在や俺が監視者であることは連邦も知らねぇ。これも当事者のみの口伝ってやつだ。

 俺を保証するのはラビス・キウラスただひとり。

 俺はその話を受けた。万が一リーザックが暴走したときのための存在だが、その万が一になったら勇者と戦えるんだ。受けねぇ手はなかった。



「と言いつつ暴走してるのは君に見えるけどな」



 ハハ、確かにな。

 監視者つっても俺が必要になるのは何かあってからだ。普段はそんなの忘れて『戦の国』とリャーヴェに夢中になってたよ。



「戦いを求めた、か……自分勝手だね」



 好きなんだからしょうがねぇ。

 ガキの頃は人の死にビビッてたが、それが薄れて戦いに慣れて……後に残ったのはもっと戦いてぇっていう欲求。

 正々堂々、搦手、卑怯、なんでもよかった。どんな奴とでも戦いたくて、『戦の国』首長とリャーヴェって立場は都合がよかった。


 反連邦の独立戦争には色んな奴の思惑が絡み合ってるが、俺の思惑は「反連邦として決起すれば連邦の色んな奴と戦える」だったからな。

 結局勇者は雲隠れした腰抜けだったようだが、準勇者部隊もそれなりに楽しかったぜ。



 中でも一番楽しみだったのが、アイツに教えてもらったエレーナ・レーデンだ。


 最初は拍子抜けだったが今じゃ大満足だぜ。斬っても斬っても死なねぇし、確実に俺を追い詰めてくる。いつ命を落としてもおかしくない最高に楽しい戦いだ。

 その上、絶対に折れねぇときた。永遠に戦える。人生最大の幸福だったよ。


 ここで死んだとしても悔いは無ぇ。



「ほう。君には妻も、もうすぐ産まれてくる子供もいるのに悔いは無いと。『帝国(リャーヴェ)』だって立ち上げたばかりで君の存在は重要のはずだけど」



 痛ぇところを突くな。悪いとは思ってるよ。


 カールとはずっと一緒にやってきた。親友と呼べるのはアイツくらいだ。だから悪いと思ってる。

 ニジーニエは俺が惚れた女だ。アイツもまた妻として女として俺を想ってくれた。もったいねぇくらいありがてぇし悪いとも思う。


 思っちゃいるが……それ以上に戦いを優先した。それだけだ。



「そうかい。まぁ親とか王とか責任ある立場に向いてなかったってことかな。君もまた不完全で、実に人間らしくて愛おしいよ」



 よせよ、俺の隣は埋まってるぜ。



「そこまで戦いを求め、すべてを投げうってエレーナとの戦いに臨んだ君も……捨てられないものを女々しく大事に抱えるただの人間だったね」



 …………はは。


 ハハハハハッ、おいおい……他人に言われると異常にムカつくな。



「自覚してたんだね。君は戦いだけに生きることを演じながら、戦い以外のことを気にかけずにはいられない」



 チッ、そうだよ。


 大穴の下のアイツにも言われたんだ。「もし人の身で高みに至りたいなら死に方を決めろ」ってな。

 生き方じゃなくて死に方だ。よく分かんなかったしどうにも腑に落ちなかった。

 だが死が近付く今なら分かる。死に方を決めるってことの意味がな。


 結局、俺は死に方を決められなかっただけだ。


 戦いの中で死ぬ……今までの生き方を続ければそうなると漠然と思ってたが、どうにも違う。

 人生ってのはままならねぇ。戦い以外にも色々と出来ちまう。

 カール、ニジーニエ、名前も決めてない子供……ジュニカ。


 欲が出た。迷っちまった。

 剣を持ったまま死ぬのか、誰かを抱いたまま死ぬのか、孤独に死ぬのか、看取られるのか。

 どれも良くて、けど相容れねぇ。

 俺は決められなかった。決められないまま、心残りがありながら受動的に死を迎えるよ。



「いいんだよ、それで。人間には欲がある。人間は迷う。それだけ君の人生は良きものであった……そうだろう?」



 ああ……死に方を決められねぇくらいに恵まれた……だから俺は後悔してねぇんだ。



「もし決めていれば、君はきっとエレーナにも勝てただろう。銀と、その対となる力を手に入れられただろう」


「しかしそこに至る人間は極めて少ない。真に死に方を――自分の終わりを決められる者なんていない」


「人生という流動体の終着点を決めるなんて普通はできないものさ。君は正常だ。なんてことはないただの人間で、それは誇るべきことであり、何より大切にすべき宝物だよ」



 そうか……



「ちなみに、いま死に方を決めるとしたらどんなのがいい?」



 そうだな…………やっぱ決めらんねぇや。



「ふふっ、それでいい」


「君は使い走りとして満点のような人間だったよ。多分彼女の思惑通り、エレーナは君を殺して一歩近付くだろう」


「彼女にしては遠大な計画だ。でも君ひとりを使うだけで驚くほど効率がよかった。手っ取り早いのを好む彼女らしいなぁ」



 ったく利用するだけしやがって。

 まぁ俺も楽しく戦えたし、むしろ感謝してるよ。



「そうかい。もしボクがまた彼女と話すことがあれば伝えておくよ」



 おう。


 それじゃ、俺もそろそろ終わりますかね。



「ありがとう、有意義な時間だったよ。ボクにとってはね」


「エレーナのあんな表情を見られたのは実に久しぶりだった。そういう意味でも感謝かな」



 ずいぶんいい楽しみ方してんだな。



「ああ。なんてったってエレーナはボクの愛弟子であり、姪みたいなものだからね。愛しているんだ、あの子のことは」

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