駆け出し冒険者の挑戦
入院が続く限り頑張る。
ギルドに来ました、試験を受けます。
やる気が空回りした感もありますが、何とかなるでしょう。
時間が早いからかお姉さんがフリーです、君に決めたっ。
「おはようございます、試験の件…受けさせて下さい。」
カードを提出する。
『おはようございます、昇格試験ですね承りました。』
お姉さんが書類にサラサラ記入します、熟練です…できる女性です。
『癒術師リン様のFランク昇格試験、条件は単独にてスライムの核を2つ確保する事…よろしいですか?』
「はい」
『では試験を開始します、成否に関わらず業務終了時刻までにはお戻りください』
「わかりました」
『今回の場合試験ですので2日過ぎると失踪扱いとなり捜索費用が請求される場合があります、ご注意ください。』
「はい」
『以上です、頑張ってね薬草のお姫様』
「いってきますっ」
出発です、お姉さんのエールでやる気充分。
街の入口に向かいます。
門番さんです、今日は違う人。
「おはようございます」
『おはよう、こんな早くに1人で何処に行くんだ?』
「昇格試験で岩場の先のスライムが居るところまで…です」
『あー試験か、わかったよ頑張ってな』
「はい」
『しかし可愛いね君、終わったら食事でもどうだい?美味しいトコ知ってるんだが』
「…えーと、時間がどれくらいかかるかわからないので……」
『そっか、じゃあまた今度…だな』
また今度、諦めてないようです。
(またあったら誘われそうだなぁ……)
街の外です、スタスタ進みます。
少し遠くに大きな岩が見えます。
岩です、私の出身地です。
ここから出発して街に移り住みました。
見渡すと遠くに川が見えます。
川に付きました、スライムは何処でしょう?
見渡すとカーブの辺りに石が沢山見える。
近付きます、何か居ます…大きな透明の…もち?
これでしょうか?大きいです、見た目でっかい水信玄餅。
(多分これ……だよね?)
見渡すとぽつぽつと居ます、皆動きはゆっくりです。
観察します…プルプルしてますね、中身の小石みたいのが核でしょうか?
石を食べるのかな?周囲の石が滑らかです。
倒しましょう、核2つ。
ここが私の戦場です。
杖を構え軽く突く、ぷにぷにです…とてもぷにぷに。
振り上げて核に向けて振り下ろす、ぼふんふよふよ……。
表面が波打ってます、核も動きました。
打撃はやはり駄目そうです。
本気を出します熱してやります、私のこの手が真っ赤になんたらー。
集中します詠唱はなんたらー、イメージするのが大事です。
1分ぐらいかかります、お待ちください。
……来ましたこれが私の本気、人間ターボライターです。
「焼き尽くしてくれるわー」
スライムに当てます、おおっ溶けていく…焼けてくビニール袋みたい。
おっとターボライターがただのライターになってる、集中集中。
焼けるにつれ小さくなるスライム、突然ドローっと中身が漏れだし核だけが残る。
(倒した……かな?)
様子を見る、変化は無い…恐らく私の大勝利。
核?を拾い上げポーチに入れる、うん…ちゃんとスライムの核。
余裕です火魔法万歳、この調子でもう1つ。
次を探し歩きます、居ましたまたまたスライムです。
(……油膜?)
表面が油を浮かせたように虹色です、どうみても罠です。
別を探しますカラフルです、緑赤黄虹に青青虹。
透明が居ません、他は罠にしか見えない。
私の透明ちゃんはどこでしょう。
…居ました!やっと会えた、こんにちは私の核。
(ターボライター、ON)
しばらくお待ちください、集中集中………。
来ましたじんわり私のライター、早速水信玄餅を焼いてみます。
じわじわと焼けていく、スライム焼きの名人です。
もうすぐ核とご対面ー。
小さくなったので膝をつき、じわじわじわりと焼いていく。
(ランクが上がれば採取の幅も広がります、ランク手当てで報酬もちょこっとだけど増えるはずー。)
生活が楽になります、宿代の心配も軽くなる。
もっと買い食いも出来ますね、甘いものが良いなぁ。
(おっといけない集中集…)
「ひゃああぁ!?」
ひやっとした、ふともも辺りが。
ビックリして飛び跳ねる。
後ろに居ました透明ちゃん、もう1匹居たみたい。
(びっくりしたーもう、邪魔だなぁ)
直前で横槍、例えるならラストオーダーピンポン。
(あんなに求めた透明ちゃんだけどこれで終わりなのです、あっちいってくださいー)
杖でぐいぐい押してみる、ぐいぐいぐいぐい。
ビュッ
最悪です、泣きそうです。
すっかり忘れてました、注意点。
(破裂ばかり気にして粘液飛ばしを忘れてたぁ……)
ベトベトです、ドロドロです……ポーチにあるのはワンピースとお菓子と薬草。
(拭けるものがないぃぃっ)
核は集まりました、3つ。
1つ多いのは私の怒り。
ベトベトになりながら勝利です、帰りましょう。
来た道を引き返します、達成したのに気分は重い。
服どころか身体もベトベト、首からがっつり中に入りました。
顔周辺は手で払いました、髪はもう洗うしかない。
(お風呂入りたい……)
着きました、街の入口です。
門番さんが驚いてます。
『……その様子だと破裂でもしたか?』
「いえ……油断してたらかけられました……」
『あー、宿舎に風呂あるけど使うかい?』
「宿のに入るので大丈夫でぇす……」
通行の許可を貰い街に入る、通行人がドン引きしてる。
(うぅ……恥ずかしい…)
時間はあるからお風呂に入ろう、さっぱりしてから報告です。
ありがとうございます。