表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fable  作者: 背高ノッポとどらごん先生
2/2

第二章 見上げた空は心地よく

第二章

 見上げた空は心地よく


 頭が痛い。手足もジンジンする。

 (あれ?僕何をしていたっけ。そうだ雨の中小さな子と何か話していて…あれ。あの子の名前なんだっけ?何話していたんだっけ?)


 「え…」


 普段の寝起き以上に重いまぶたを懸命に開けるとそこは見慣れないもので溢れていた。  

 僕の部屋はもっとシックにまとめていたはずなのになんだアットホーム間であふれる

ウッド風……というか木そのものに囲まれたこの部屋は。

 軽く手足が痺れていることに違和感を覚えながらゆっくりと体を起こしてみてさらに驚愕した。


 「ハイジかよ」


 ベッドのすぐ横には大きな窓があり、そこからはアルプス山脈を連想するような山々と大きな川が三つの湖目がけて流れていた。

 その景色は特に田舎という感じもなく割と家のようなものもちらほら見えた。

 そんな以前から知っているような、同時に初めて見るような不思議な景色に圧倒されつつ、もう一度部屋を見てみると机には木でできた不思議な人形がいくつかあった。どれも牛のような人のような形をした…


「あっ。これはあれだな。異世界転生だな。たぶんそうだ。」


 先週見ていたアニメがこんな感じで始まっていたな。たぶんそうだろう。そろそろ助けてくれた人とご対面的な感じかな?


 「兄ちゃん。起きたかい?ちょっくら入らせてもらうぜ。」


 ほら、言ったそばからそうなった。しかし扉を開け入ってきた男を見て僕は戦慄した。


 「普通の外国人っ!?」


 もっとこう、異世界感溢れるイベントを期待していたから普通の外国人が日本語を話しているこの現状に色々と驚いた。


 「外国人ってのは何だい?俺はガルシアってんだ。元気になったみてぇだな。それにしても兄ちゃん、あんな草原で家畜どもに遊ばれて何やってんだい?ただならねぇ事態だと思って取り敢えず家に避難させたんだぜ。」


 「その節はどうもありがとうございます。ちなみに、遊ばれていたとは…」


 「ん?身ぐるみはがされて体中舐めまわされていたぜ。」


 「助けていただき!心より感謝します!!!」


 「なーに固いこと言ってんだ。いいってことよ。ところでおめーさん名前は?」


 「はい、宮野奏汰と申します」


 「何?」


 これまで穏やかに話していた外国人風の大男が急に振り合えり、目を吊り上げ、声色を変えた。


 「まて、お前さん四持よつもちかい!」


 「四持とは?」


 「知れたこと!名が4つあることじゃねぇかよ」


 ん?どういう基準なんだ?二持なら宮野・奏汰で納得できるんだが、


 「四持とは?」


 「今自分で言っただろう!ミーヤ・ノ・ソー・タってなぁ」


 持ち手に寄りかかってた手が滑って持ち手に頭をぶつけてしまう。


 (どういう区切り方なんだよそれ。アメリカ人でもそんな区切り方はしないぞ。シゲ・ノゴロウ君以来の迷言じゃないか。)


 「四持じゃ何かいけないことでもあるんですかね?」


 「は?…。ひょっとしてお前さん、なんも知らんのかい。いったいどこのド田舎から来たんだよ。背もちっせーしよ。」


 拍子抜けしたように大男はだんっと近くにあった椅子に座る。彼は僕の顔をまじまじと見始めた。


 (失敬な。訂正してほしい僕はこれでも172cmはある。あなたが大きすぎるんです。)


 「いいか、流石に第一次聖戦って名前くらいは聞いたことあるだろう?」


 「はい」


 大嘘をついた。彼が放つ大声で耳鳴りが凄く、そろそろ限界だったからしょうがない。


 「その聖戦で聖騎士軍に仇名した竜族はみんな、名を四つ持っていたって話でよ。だから王国では四持ってだけで死罪だ。おめーさんまさかと思うが竜族の末裔なんてことはないよな?」


 「何をご冗談を(笑)」


 「そうだよなぁ流石にそんなこたぁーねーよなー。竜族といやぁ頑丈な鱗でおおわれたとてつもなくでけぇ種族らしいからなぁ。チビな兄ちゃんとは大違いだぜ。ワーハッハッハ。」


 (いや、危なっ。異世界転生早々バッドエンド迎えるところだった。名前だけで殺されていたんじゃたまったもんじゃないよ!あと、ちびって言うな、このデカブツ!)


 「ところでお前さん、いったいどこから来たんだい?何族なんだい?」


 「………、え?」


 「だから、お前さんは何族なんだい?」


 「ひっ」


 「ひ?」


 「人に名乗る前にまず自分が名乗るのが礼儀でしょう。す、少なくとも私の国ではそうですが!」


 「いやーちげぇねえ。俺はガルシア。人族と丑族の混血だ」


 「ガルシアさん。」


 「おーよ。俺のことはガルシアで良いぜ!」


 「僕の名前は、その。ミーヤです。種族は…人族です。ちなみに里は遠い地なのでこの辺の常識は余り理解していません。なので失礼があったら、その、ごめんなさい」


 「おめぇさん里の者なのかい」


 ガルシアは唐突に椅子をけ飛ばす勢いで立ち上がると鼻息を荒げ、再び宮野奏汰改めミーヤに近づいた。


 (ヤバい!ひょっとしてまた何か下手を打ってしまったのか。)


「こりゃぁーたまげた。里ってもんなんざとうの昔に滅んじまったと思っていた。するとなんだい?あんたサムライなのかい?」

 

 「え?」


 「里の者って言ったらニンジャかサムライと決まっているだろう。お前さんニンジャにしてはどんくさいからサムライなんだろう?どうなんだい?」


 (どういうことだろう?そんなところだけ都合よく元いた世界の情報なんてことあるのかな?いや、そもそも異世界なのに言語が通じる時点で不自然だし、そのぐらいのよく分かんなさはまぁいっか。それよりもこの世界でもサムライのことを知っているのなら…)


 宮野奏汰改めミーヤは勢いよくベッドから出るとダンッと片足を踏み出した。


 「よくぞご存じで。あっし何を隠そうサムライでござる。あ、お控えなすって」


よく時代劇にあるような半分肩を出すポーズと同時に僕は言った。


 (我ながら決まったな、これは!)


 「なーに変な格好してんだい。それにそのおかしなしゃべり方。どうしたんだい」


 (あれ、おかしいぞー、、、この世界でのサムライって僕が思っているのと違うイメージなのかな?それとも僕がズレてるのか?)


 「そーいや兄ちゃん。刀ってのはどこにあるんだい?サムライにとって命より大事だっていうやつ。一度見せてくれよ」


 (あっ。僕が想像していたより、もうちょっと昔のサムライなのか…な?。ってそんな刀なんか都合よくあるわけな…)


 「おー。これかい?この細長いシャムシールみたいな」


 あるのかよ。しかも刀知らないでなんでシャムシール知ってんだよ。

※シャムシール:中近東に見られるわずかに曲がった細身の片手剣。アラジンとかが持っているやつ。


 「こいつは業物だな。この手の武具にあんまり詳しくない俺でも一目見ただけでわかっちまう程だ。」


 「僕の命なんだから手荒に扱ってくれるなよ」


 「あたぼうよ。ところでお前さん」


 「そろそろ名前で呼んでほしいな(主に僕が自分の呼ばれ方に馴れるために)」


 「わかったぜミーヤ。ミーヤはこれからどうすんだい?どこか行くとこでもあんのかい?」


 (そうだ、これからどうしよう。)


 とりあえず現状の整理と今後の方針は決めたいな。その上で知りたい事はこの国の歴史と政策。国民の価値観や判断基準なんかも知りたいかな。

 いや、待て。そんなのより先に必要なものがあった。安定した生活だ。仕事探さなきゃ。


 「何黙り込んでんだい?もし何にもないならこのままここに住まないかい?仕事も紹介するぜ」


 「っ!よろしくお願いします!ガルシア」


 

 ガルシアに渡された僕の荷物らしいものを確認すると刀の他に本が三冊と緑茶が入った水筒。それに小さい頃幼馴染からもらったお守りが入っていた。


 (いやなんでスマホとか、こうもっと便利そうなものはなかったんだよ。)


 あれからガルシアに言われるがまま仕事を紹介してもらい、パラオ組合の伝達指南役という仕事を受け持った。

 最初はよく分かんなかったが、この街の組合を会社や役所に見立てると広報部署のアドバイザーの様なものらしい。

 なぜ僕がそんなポジションに着けたかというとガルシアの権力のお陰だ。

 なんでも彼は街の中でも一番発言力の強い第一衛兵団の副団長だとか。なんとまぁ偶然にしてもありがたい。


 あれから分かったことがある。この街はパラオといいガルシアたちの言う王国に従属しているラオンという国にある一つの街で王国からだいぶ北方に進んだ地域らしい。

 王国にはラオンの他に三つの国が従属しているそうだ。

 このパラオの町並みは僕たちがイメージするカナダのような自然豊かな国で住んでいる人たちはほとんどがTHE白人の外国人のような人たちだ。そんな中でもそうでない人もいた。

王国全土には大きく分けて二つの種族が暮らしているという。


 1つは人族。主に人間と考えていいと思う。王国の約半数の人たちは人族またはそのハーフらしい。

 もう一方が獣人族。これにはたくさん種類があって全然特徴も違うから正直覚えきれなかった。ガルシアのお父さんも丑族っていう獣人族だと教えてくれた。


 また、この国には国民それぞれに階級があるらしい。権威がある順に上から

・パラディン/キング

 聖騎士長と国王。この二人が王国の最大権力者

・オーソリア

 四天皇騎士と王位継承権を持っている四人の王子の総称

・ノーベル/ナイト

 一三機関所属の賢者と全一二騎士団各団           

  長

・シヴァー

 上流階級の国民

・パーサー

 王国の学校機関に在籍する学生

・ハーフ

 一般国民

・メイト

 主に納税が足りない民

・オッド

 金でなく労働力で納税している民

・ナイーフ

 犯罪経験所持者その家族

・ホープ

 人権が認められていない奴隷

 

 メイト以下は『準国民』と呼ばれ、納税が緩和される代わりにその緩和分肉体労働の義務が課せられている。

 あと、ホープと呼ばれる人達はその立場が明るみに出ると問答無用で国民に忌み嫌われ、最悪殺されてしまうから常に隠れて生活しているという。稀ではあるが上流階級の庇護下に入る事が出来るんだって。もちろん容姿端麗な子がその対象らしいけど。

 あと、面白かったことがもう一つ。この世界にもやっぱり冒険者という職業があるらしい。

 残念ながらこの世界には魔王という存在は無いらしく魔王を倒すなんていう使命を冒険者に課せられているわけではないそうだ。

 第一次聖戦の際は名を挙げた冒険者も多くいたそうだ。しかし大きな大戦が無い今は騎士の方が名声も権力もあるらしい。主な立ち位置はとしては騎士ほどの権力は無く、衛兵の延長らしい。戦争や戦闘に参加する他にも採集や建築などの手伝いなど幅広く活動している。

 彼らは冒険者組合『ユニオン』の組合員であり、給料は出来高制のようだ。


「この世界、思っていたよりも色々なところが現実的だなぁ。」





 仕事をする生活にも徐々に慣れてきた。

 たまたま持ち込んだ本の一つが観光学入門書だったことから僕は伝達指南役という立場を活かしこのパラオの観光資源を大々的に取り扱った事業を立ち上げることを提案した。

 具体的にはこの自然豊かな山々の要所に休憩所を設置し、山を越えることが目的の人達だけでなく山を登ることが人々の目的になるように働きかけた。

 とても単純なことだがこれが“そこそこ”話題となった。というのもパラオ含む王国には観光という概念がなく、街はあくまで居住区であり、仕事には生産性を求められていた。

 そのため当初は、この事業は人によっては少し怪しい商売に見えてしまったようだ。だから僕はこの事業を経て新たな事業の展開を計画した。


「『ホテル』を作りたいと思っています。」


 パラオ組合定例会で僕は大幅な宿舎のシステムの改革を提案した。


 現在の宿舎のシステムはパラオ組合がパラオ王国承認の元価格設定を行っておりどの店のどの部屋でもすべて均一の料金であった。また宿舎には簡易的なベッドと机以外なく、そもそも利用者(主に冒険者)も「泊るところ」という認識であったため、彼ら自身も店はどこでもよく空いていればそこにするといったように興味を示さなかった。

 元いた世界では宿泊施設は観光事業と並ぶほど無くてはならないものだ。その点がまだまだ未開発な間はいくら観光に力を注いだとしても効果が半減してしまう。だからどうにかして充実した宿泊サービスを確立したい。


 「ふざけたことをぬかすでない小僧。」


 「少し先の事業で功績を挙げたらと言って図に乗り寄って。」


 「組合長、彼の資格を剥奪しましょう。」


 予想していたことであったが、僕のこの提案は避難の的だった。


 (これは時間をかけて一人一人説得しなければいけないな)


 と今後の予定を考えていた矢先のことだった。

 

 「やってみなさい。」

 

 組合長のその台詞はまさに鶴の一声であった。僕を含めて、その場の全員が虚を突かれたように固まった。そんな僕達をよそに言った張本人はするすると引き出しから焦茶の紙を取り出すと署名と血印を押した。


「ほれ、何かと役に立つだろう。」


 そう言って組合長が僕に渡したのは組合員全員の同意書であった。


「何か不満はあるかね?」


 その問いに答えることが出来る者はこの場にいなかった。





 次に僕はパラオ王国の領主(ここでは王国国王と差別化する為に首領と呼ばれているそうだ)に各宿舎での価格設定の自由化と宿舎改革の事業を展開することを王国が推奨すること、そしてこの改革の責任者を僕が請け負うことを進言すべく準備し始めた。

 ここでもガルシアに協力を仰いだのだが、彼は二つ返事で承諾してくれた。


「なんたって、俺らの首領は話が分かる人なんだ!きっと直ぐに話を聞いてくれるぜ。」


 彼の言葉通り、三日もしないうちに首領への謁見の許可が下りた。





「うむ。そなたがミーヤか。」


 パナマ王国領主ヘブリアの第一印象は穏やかな表情をしたウサギのおじいちゃんであった。毛先の整った真っ白な毛並みと大きな赤い目が特徴的だ。物腰も柔らかく、それでいて知的な話し方をする人だ。


「お初にお目にかかります。私が…


「そう堅くならなくて良い。言葉も崩しなさい。ここは個人を尊重し合う国、そういうところだ。」


 素直に驚いた。そんな国が実際にあるだなんて僕の常識からは理解できなかった。


「じゃあ、ヘブリア、さん。今日はどうしてもこの国でしたいことがあって話をしに来ました。」


「『ホテル』……とやらのこのかい?」


「ご存じでしたか。」


「この国中今その話で持ちきりよ。皆がこの会談の行く末を気にかけておる。」


「では、率直にききます。この改革についてどのように考えていますか?」


 ヘブリアさんは少し間を置き答えた。


「面白い考えだとは思う。が、反感が大きいのもまた事実だ。特にお主がこの事業を統括することに対して危機感を抱いている者はわしの周りでも多いのう。」


 もちろんよそから来た僕なんかをいきなり信頼してくれるわけもなかった。

 だが、そのために僕は四つの条件と二つの提案を用意していた。


「理解しています。ですので今日は以下の条件を提示させてもらいたくてこうして時間を作ってもらいました。

条件

・以前ミーヤが発案した事業のこれからの所有権を首領及びパラオ組合に寄付すること。

・今後この『ホテル』事業で得る利益の六十%を首領及びパラオ組合に納税すること

・この事業で発生する費用は一部を除き残りの四〇%の中から負担すること

・仮にこの事業で損害が生じた場合全てミーヤ個人で賠償すること。


提案

・改革中の人件費は事業で発生する費用とするが、完成後『ホテル』運用の際の人件費のみはパラオ組合およびパラオ王国が負担すること

・改革中は必要な人員を首領命令で確保すること。しかしそこで生じる費用は事業で発生する費用とすること

というのはいかがでしょう?」

 

 順を追って話そう。まず何故僕が常識的に考えたら成功の見込みも未知数なことにこれほどのリスクを払うという無謀極まりないこんな提案をしたのかについてだが、それにはこの世界の『状況』から話す必要がある。

 この世界ではパラオ王国のみではなく、どの国でも同じような宿舎のシステムを用いているそうだ。また、近年国家間で小競り合い程度の戦闘はあったにしても大きな大戦が無かった影響で国民は平均的に生活が豊かで裕福であった。

 だけど、この世界には娯楽という概念が存在しない。僕の世界では当たり前であったお金の使い方をこの世界の人たちはしないんだ。

 服に着目してみてもブランド物などなく全てが機能性に長けた安価なものばかりだし、遊園地ゲームセンターなどのアミューズメント施設もない。もちろんカジノなどのギャンブルも存在しない。

 基本自身で飼っている家畜や農園で自給自足が成り立つから食材を買うこともない。貴金属は王城にはちりばめられているらしいがそれは専属の鍛治氏を王族が抱えているからであり、市販で入手することが出来ないため市民は興味すら示さないという。

 市民がお金を注ぎ込む先は美味しい食事に対してだけだという。

 そのため、多くの家庭はお金が余っているが使い方がよく分かんないというのがこの世界の現状だった。

 この話は山脈の休憩所で店番をしていた時に立ち寄った人たちに聞いた話だ。

 

 ならばその注ぎ込む先を僕が作ってあげよう。そこに他国にはない価値を付加したら人が流れ込んで来るのではないか?と思った。幸い元いた世界での観光マーケティングに関する知識を持っていたのであそこで当たり前だったことを実現しようという発想だ。


 それに加えてこの街の人件費は破格であった。この街は豊かな自然に恵まれている影響で資源がさらに他国より豊富であるため国が豊かであった。

 そのため組合の貯蓄資金が豊富であり、さらに巡って領民に対してのいわゆる福利厚生が充実していた。領民には組合から定期的に給付金や給付資源を与えられていた。

 

 なのでこの事業を展開しても収入できる見込みは十分にあった。

 初期投資も資材こそある程度の費用がかかるが土地もそもそも領主とパラオ組合の物なので土地代など無く、税金もない。おまけにさっき話した通り人件費すら破格だ。

 後は組合員たちが得体のしれない僕という存在に任せてくれるかということだ。

領主や組合にとっても利益の六〇%というのは魅力的であったらしく、その上最近この街ではホットな事業の利権を得られるという提案はアツかったらしい。


 でも僕はそんな甘い話に加えて同時にいくつかの布石も打っておいた。

事業展開初めはおそらく軌道に乗るだろうという予測も目途も立てることが出来た。でもその後続くという保証は正直なかった。僕には宿舎というものを実際に運営した経験はこの世界でも、向こうの世界でも無く、それにいくら破格と言っても常に人件費を支出し続けるのは重荷になる。

 ここで失敗して、最悪借金まみれとなり僕自身が売り飛ばされることも最悪殺されることも十分に考えられるのでリスクと成りそうなものは少しでも排除したかった。

だから組合には六〇%の利益という大きな看板を掲げながら陰にこそっと隠した形で人件費を彼らに負担してもらった。

 人件費を組合員が軽く捉えていることは前回の事業を立ち上げた時の態度でわかっていたので六〇%の利益に食いつくことは容易に想像出来た。

 

 そしてもう一つの課題が人脈だ。僕には職人やコックなどの専門技術を持っている人を集める力がない。なのでこの国で一番それがある人に肩代わりしてもらった。


 こうしていくらかの有形固定資産に生じる減価償却費「※使っている機材などの物が古くなってしまって新しく取り換えるときにかかる支出」がかかってしまってもうまくいく自信はあった。


 さらにミーヤという存在がまだ彼らの中で未知数であることにより、豊富な知識と富を持っている遠い里の出身のように上手く装うことは容易だった。


「旦那、こいつはいい案じゃないかい?」


 沈黙を破るガルシアの後押し。それに続いて発言力の強い第一衛兵団のみんなも口々に支援の声を上げてくれた。


「ふむ、ではみんな。やってみるとするかい。」

 後にこの『パラオ会談』は誰もが知ることになる歴史的瞬間となった。





 こうして『ホテル』は提供する食事には簡易なものから贅沢なものまで五つの段階に分けた。より高いグレードになるとよりラグジュアリーさを出しこれまでの人々の習慣である『食事にはお金をかける』という心理を擽った。それでいて客室も一変させ各顧客に合わせたサービスを展開した。さらに『ホテル』には劇団や音楽団を設けさせた。どういうわけかパラオの人は歌ったり演じたりすることは身内ではよくやるのにそれを商業化するという発想はなかったらしい。日ごろから行っていた甲斐あって、完成度も驚くほど高かった。

 こうして「パラオにホテルあり」の噂は瞬く間に王国全土に広がり『ホテル』の名は多くの国民に知れ渡った。王国へのパラオの納税も先月の一五倍に膨れ上がり、『ホテル』改革は王国建設以来有数の大事業となった。王国への納税からしばらくするとミーヤ達は国王から直々に王都シオンで開催される式典に参加するよう招集がかかった。


「ねーヘブリアさん。国王ってどんな人なの?」


「国王は非常に温厚で常に国民のことを思い慕っている成人君主のようなお人だって噂さ。とは言っても私も国王陛下にお会いするなんて滅多にないからよく分かんないだけどね」


「そっかー」


 今回の国王の招集に呼ばれたのはパラオの領主のヘブリアさんと僕。そしてそれぞれ一人だけ同伴者が認められたのでヘブリアさんは奥さんを、僕がガルシアを選んだ。

 

会談後話を聞いて分かったのだが、へブリアさんは人族と兎族のハーフらしい


 「しっかしミーヤよぉ。王都には美味い食べ物がしこたまあるっていうじゃないか。今から喉が鳴ってしょうがなねぇぜ」


 「こらこらガッつくなよ。ガルシアは僕の同伴者なんだからみっともない真似だけはしないでくれよ。」


 「あたぼうよ!それよりこの獣車ってのはいけねぇ。ケツが痛くて敵わないぜ。」


 「それに関しては僕も同感でさ、交通網に関して新事業を立案しようとしたらその管轄は王国らしいから手が出なかったんだ。こないだ立案書は出来ていたからまとめて王国に送ってみたんだけど、どうかなぁ。」


 「おめぇさんそんなことまでしようとしててたのかい。かーっ働き者だねぇ。」

 




 太陽が傾き、辺りがオレンジ色に染まっていたころ、狭い車内でガルシアは鼻を鳴らし、顎に手を当てモーモー言っていた。

 原付程度の速さで進む獣車から僕はまるで夕日が染まっているかのような、走り去る風に揺れる草原の景色を眺めていた。まるでいつか母さんと見に行った展覧会にあったどこか外国の画家が描いた絵画みたいな景色だった。

 獣車とは馬車のようなもので、馬の代わりに四足歩行の狼より少し大きいような姿をした人狼族が車体を引っ張り運んでくれるものだ。

 乗り心地は決して良くないが僕にはそれが異世界っぽくて実は結構気に入っていた。吹き抜ける風もその微かな、何だろう?田舎感漂う香りも悪くない。

 獣車に乗って丸十五日。未だに王都シオンへは着かない。いや交通網の発展は急務だろ。誰か飛行作り出してくれよ。マジで。

 

 パラオから王都に着くまでに二つの都市を経由しなくてはならない。水の町フィオーネと商業都市ガジルだ。特に僕にとってはこのガジルという街が好きだった。

 いわゆる異世界転生お約束のような中世の街並みでそこはいろんなと「もの」で溢れかえっていた。

中でも「ラーイクス」というパスタのようなものは格別に美味しかった。是非この料理人にうちの『ホテル』のコックになって欲しいものだ。





「これが、王都シオン…」


 その光景に僕は心が躍った。比喩ではなく想像していた五倍は大きかった。そして何より想像ではもっと建物だらけで真ん中にドーンとお城があるいわゆる王国のような雰囲気かと思っていたが自然に同化したような、それでいて近代的な雰囲気を感じさせる建築物たちに溢れた素敵な都市であった。

 いやはや現代の先進国の皆さんにも見て頂きたい。

 あと、ガルシアで馴れてしまっていたけど、ここには多くの獣人族が住んでおり、その姿はまさに獣人十色。ここが異世界だと改めて感じさせられた。

 王都シオンに着くなり僕たちは身動きが取れないほど人に囲まれてしまった


「見て!あの方が噂の『ホテル』を考えた人ですって!」


「私この間泊ったのよ!劇団タイヨウ本当に素晴らしかったわー」


「兄ちゃん、若いのに大したもんだ。」


 もみくちゃになりながらも、ここで機嫌を損ねては『ホテル』の経営にかかわると思い懸命に笑顔を絶やさない努力をし、何とか宿舎に着くことができた。





 宿舎に着くとすぐに王国の第九騎士団団長であるエンペルト・クラインという人物が訪れてきて彼から明日の式典の段取りを端的に受けた。

 彼は騎士団長になったばかりらしく、見た感じも若いという印象を受けた。

 騎士団長では珍しい純潔の人族らしく、彼は僕に興味を持ってくれた。

 そのまま僕達と夕食はどうかと誘うと快く受けてくれて近くにあった酒場に入り、夜までお互いの話で盛り上がった。

 流石に明日のことがあるので深夜になったタイミングで別れ、僕達は宿舎に帰った。

 彼から聞いて驚いたのだが、何と今最高権力者の一人であるパラディンが不在らしい。というのもいなくなったわけではなく、三か月ほど前に行われていた他国との小規模な戦争で運悪く命を落としたらしい。

 そのため、オーソリアである四天王騎士と国王で次期パラディンは誰が相応しいか討議しているそうだ。

 この国一番の権力者である人が、騎士が魔王や世界の危機に立ち向かって命を落としたならともかくあっけなく亡くなってしまうのが妙にリアルで薄気味悪かった。


 「何か大変な時に来ちゃったかな。」


 何故だかはわからないがわずかな罪悪感を持ちながら、宿舎に着きガルシアたちと別れた僕は久しぶりのベッドに入った。

 




 「これより、此度の貢献人の入場」


 けたたましい程のファンファーレが玉座に鳴り響き僕たちは入場した。「まったく。どの国も時代もこれがないと始められないのかよ。」 

 ミーヤが少しイライラしていたのには訳がある。何を隠そう大きな音が苦手なんだ。小さいころたまに悪さをした僕に母さんが怒る声が怖くて怖くてたまらなかったのが影響している。


 「国王陛下の入場」


 再びなりだしたファンファーレとともに会場にいた貴族らしき人たちを含めて全員が一斉に頭を下げた。国王の入場だ

 「皆の面を上げよ。」


 なるほど。と僕は思った。確かに温厚そうな王様だ。まるでジャムおじさんみたいな人だなぁ。

 「其方らがパナマの者どもか」


 「はっ」


 「はっ」


 「はっ」


 一斉に僕以外のパナマの者が跪き挨拶した。


 (………――っヤバい。出遅れた!)


 僕だけが呆けて立っているという何とも奇妙な光景がそこにはあった。


(ていうかなんだよ他の三人息ぴったりでしゃがみ込みやがって。なんでそんなに息ぴったり行動出来るんだよ!)


 あっけに取られ呆然と突っ立っていた僕に国王が話しかけた


 「其方は違うのか。」


 「恐れながら国王陛下」


 汗ダラダラ流しながら必死に言い訳を考えた。もう口の中がカラカラで引っ付いちゃって喉が痛い。


 「私はパナマで活動をしておりますが、生まれはパナマではございません。それ故に多少戸惑ってしまいました。ご無礼心より謝罪いたします。」


 「そうかそうか。そう硬くならずともよい」


 国王は暖かい笑顔をミーヤに向けた。それを見た貴族たちの表情も緩んでいき会場に安堵の空気が流れた。

 「して其方。名をなんと申す?」


 「私はミーヤと申します。まだこの国を訪れて日が浅いため無礼を働いてしまうことがあるかもしれません。その際はお許しを。」


 「まだ起きていない事で謝る必要などない。そちはヘブリアか。久しいのう。」


 「はっ。覚えていて頂き光栄に御座います陛下。陛下もお変わりないご様子。隣にあるのは我が妻でございます。」


 「お初にお目にかかります、陛下。どうぞお見知りおきを」


 「うむ。ではそちらの御仁は。」


 「私の友人でございます、陛下。私は彼に巡り合えたためこの地で事業を行うことができました。彼は名をガルシアと言います。」


 「ご拝謁出来た事恐悦至極に存じます。パナマ第一衛兵団副団長ガルシアでございます。」


 (ガルシアのヤツ緊張してるせいか少し声が上ずっているな。後でからかってやろう。)


 「そうかそうか、皆の者此度はご苦労であった。しばらくはこの王都でゆっくり過ごすがよい」


 「もったいなきお言葉」


 「もったいなきお言葉」


 「もったいなきお言葉」


 (いや、だからどこで練習してたんだよそのセリフ。何か?俺が非常識なのか?それとも俺をハブいてみんなでこっそり練習してやがったのか?)

 

「ところでミーヤ殿」


 突然国王に名指しで指名され、会場の視線が一心に僕へ集められた。緊張で背筋が伸びる。


「此度の成果、誠に大儀であった。既に他の大陸にまでその『ホテル』とやらの噂で持ち切りだとか。」


「もったいなきお言葉」


(遅れたが、僕も言えたぞ。)


 「あまりにも大きな功績故何か一つお主の願いを聞き届けよう。」


 「それでは陛下、恐れながら申し上げます。」

 

 実は昨晩エンペルトと食事した際にこうなる可能性があることは彼が教えてくれていた。

 彼も戦争での戦果が認められて褒美をもらえたらしい。ちなみに彼は美人なお嫁さんを心より欲すると言ったそうだ。


「私に知識を、そして武術を身に着ける機会をいただけないでしょうか。」





「いやー緊張したなぁオヤジよ。昨日の晩に必死に練習した甲斐があったなぁ。息ぴったりだったじゃねぇか」


「うむ。無事終わってよかった。」


(後者だったのか。もうガルシアなんて信用してやらないっ。)


 「それにしてもミーヤ。お前学園に行くことになるんだな。」





 この世界に来て僕は自身の身体能力そして危機管理能力の低さに直面し愕然とした。

 日常生活では支障は無いが、この世界には元居た世界と決定的に違う点がある。

 それは『モンスター』がいるということだ。ガルシア曰くモンスターと獣人族の違いは知性があるかないか、だそうだ。モンスターは本能の赴くままに襲って、奪って、壊す。


 ほかにも脅威はある。この世界は治安もいいとは言えない。比較的治安の安定しているパラオでさえ強盗や窃盗はちらほら起きている。

 僕が初めてモンスターにあったのはパラオから出たすぐ近くの森だった。




 

「あれ?」


 ある晴れた日、森でホテルでの食材に使える香辛料などないか探索していると妙な気配がしたので振り向いた。そこには見慣れない生物がいた。目が大きく、二本の牙が生えており、大きさは生後数か月の子犬ほどであった。


 「チコみたいだな」


 そう思って気が緩んだその瞬間だった。


 「っぃ」


 その獣に喉を噛みつかれそうになり咄嗟に手で防いだ。振りほどこうにも全然取れない。それどころか噛む力がどんどん強くなっている。


 「ぃぃぃってええええええええ」


 血管をブチブチ噛み千切られているのが分かる。ヤバい、これは痛すぎる。獣は見た目からは想像出来ない程ずっしりと重く、飛び付かれた反動で僕は獣の下敷きとなっていた。

 懸命に痛みをこらえて振りほどこうとしても微塵も動かず、さらに獣は僕を固定しようと僕の肩に爪を立てた。より体が動かしにくい状況に追い込まれてしまった。

 考えろ考えろ考えろ。頭ではそう思っているのに僕は手当たり次第この獣目がけてなりふり構わず手足をバタつかせているだけだった。


ガギッ。


 「ミーヤ大丈夫かい!?」


 その声で我に返り、目を開けると噛みついていた獣の首がありえない角度で曲がっているのが見えた。


 「ガルシアがやったのか…」


 「おう。それよりここで手当てするぞ。」




 「あれはいったい何だったの?」


 「あれは牙鼠かちゅうだ。ここいらじゃ一番弱いモンスターだな。」


 「一番弱い…」


 「それにしてもミーヤ。なんで刀で応戦しなかったんだい?腰に付けているだろう。」


 「なんでだろうね。そもそも戦うなんていう選択肢がパッと出てこなかったんだ。」


 「モンスター相手に何言ってんだい。モンスターにあったら戦うか逃げる。子供でも知っってることだぜ。」


 「その常識が僕にはなかったんだ。」


 軽くショックだな。異世界という時点でモンスターの存在は頭にはあったが、でももっとファンタジーのような倒し方が存在することやモンスターの外見が明らかに邪悪なものであるという気がしていた。いや、僕が何の根拠もなくそう願っていた。思い込もうとしていたんだ。

冒険者の存在を知った時とか今までにもモンスターの存在について考える機会は色々転がっていたのに忙しいと理由をつけてそのことを考えないようにしていた。


 「都合が悪いことから目を背けようとするのは、誰かじゃなくて僕なんだな。」


 「何か言ったかい?」


 「いや…。ねぇガルシア。その当たり前を身に着けるにはどうすればいい?」


 「そうだなぁー。ミーヤは学校に行くっていう歳でもねぇしなぁ」


 「学校!?学校があるの?だってこの街にはそんなの一つもないじゃないか」


 僕にとって現在抱えている一番深刻な課題は知識不足だ。

 この世界のことを十分に理解していない状態で送る生活は非常に不安だった。

 文字は例のご都合主義で読むことができるが肝心の本がこの街にはほとんどない。そのため、知識を吸収する手段が乏しかった。


 「ここにはな、この近くじゃ隣町にある。」


 「じゃあ大学は?大学はあるの?」


 「大学?なんじゃそりゃ。」


 「より専門的なことを学ぶ学校だよ」


 「ああ。『学園』のことか。」


 「学園?」


 「王都にある学校…ではないけどそれっぽいとこでよ。そこに行けば騎士団所属の騎士や十三機関の賢者になれるって話だよ。」


 「そこにはどうやったら行けるの?」


 「簡単に言うんじゃねぇ。そこに入るには並大抵の奴じゃいけねぇ。知力も武力もずば抜けていないとまず入れねぇ。仮に入っちまっても学園内の派閥争いに巻き込まれてオダブツだ。」


 「ふーん。入試とかあるの?」


 「にゅ、入試?ミーヤの言葉はイチイチ難しいぜ。」


 「試験だよ。そこに入るための。」


 「あぁ、検定のことか。あるぜ、いたってシンプルだ。騎士団所属の騎士に決闘で勝つか賢者に新しい知恵を認めさせるかだ。」


 「うわぁ。シンプルだなぁ。ん?それなら今回の『ホテル』の発想とかじゃダメなの?」


 「俺も難しいことは分かんないんだが、何やら世界の心理?を解明しなくちゃいかんらしい。」


 「何それ。もう無理じゃん。」


 「そうだなぁ何かまかり間違って運よく国王さんでも推薦してくれたらなぁ。」






「まさか本当に学園に通えるとはなぁ。やったな、ミーヤ。」


 「ガルシアのお陰だよ。ありがとう。」


 「なぁに照れるじゃないかい。それよりミーヤ。本当にこのまま学園に行っちまうのかい?」


 「うん。丁度来週から入学らしいからパラオには戻らず僕はこのままここにいるよ。心配しないで。『ホテル』の経営に関することは全部ヘブリアさんに伝えたから。何かあったらすぐに戻るし。」


 「寂しくなるなぁ。必ず帰って来いよ。待っているぜ、相棒!」


 「あ、相棒?」


 「応よ!これだけ信頼し合ってるんだもう俺たちは立派な相棒だぜ。」


 あの世界。元いた世界でも大学で団体の代表をしていた関係で多くのビジネスパートナーはいた。だけどどれも上辺の関係だったな。心から本音をぶつけたりすることはしなかったし、されなかった。

よく考えてみたら団体のメンバーもそうだ。彼らのことは好きだったしそこで過ごした時間や空間は心地よかった。

 だけど同時に弱い自分を見せちゃいけないなんて思っていつも気を張っていたっけ。「あの子」にも…


 (なんだかこう真っ直ぐに思いをぶつけられると、その、気恥ずかしいな。)


 「なーに黙り込んでニヤニヤしてんだい。はっ。まさかミーヤは俺のことそんなに好きじゃないのか!」


 「そんなわけないだろ。何早速疑ってんだよ。相棒。」


 「へっ。言ってくれんじゃねーの」


 「またすぐ会える。それまでお別れだ、ガルシア」


 「あぁ。息災でな。ミーヤ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ