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第9話 襲撃

ここからやっと本編みたいな感じです。

 私が6歳のある日のこと。


 私たち家族は、セバスチャンも含めて皆、熟睡していた。


「バーン! ガッシャーン!」


 突然、物凄く大きい音が聞こえ、私は目を覚ました。こんな夜中に何があったのだろうか。


 1階からさっきの音はおそらく聞こえてきた。私はベッドから降り、寝間着のまま、するりと部屋を出る。


 私の部屋のドアを開けると、男の人達の喧騒が聞こえてきた。この家に男の人は父とセバスチャンしかいないのに、だ。


 私は、慌ててリビングに向かって、階段を駆けて降りる。階段を降りきった所には父とセバスチャンとソレイユちゃんの背中が見えた。ソレイユちゃんは父の服の裾を掴んでいる。


「パパ! 」


「レーナ! こっちに来るな!」


 父にそう言われて、ハッと気づく。そこには、知らない男達が5人ほどいた。


「あなたこそ我らの王なのです!」


「王族達が人族に()()()()()から我々魔族は、人族に舐めてられいるのですぞ!」


「それに我々吸血鬼こそが、魔族を統治すべき、神より選ばれし種族なのです!」


 謎の男達は、丁寧な言葉ながら何か過激な思想を父に向かって叫んでいる。

 セバスチャンは、直ぐに動けるように父のすぐそばにいる。


「私は、毎回、お前達の戯言など断ってるはずだが。勝手に我が家に入って来たことはこの際、罪に問わないでやるからさっさと出ていけ!」


 父は、いつもの温厚な彼とは違い、男達に向かって怒りをぶつけると、リーダー格っぽい男が口を開く。


「そうですか……。その答えは予想していました。だからこのような少々手荒な手段を取らせていただきました。仕方がないですね。本当はこのようなことをしたくないんですが、次の段階に移ります。」


 そのリーダー格らしき男が笛を吹くと、今度は2階から、


「ガシャーン!」


「キャーーッ!」


 窓ガラスが割れるような音と母の叫び声らしき声が聞こえてきた。


(階段から上には男達を行かせてないのに、母が襲われたのだろうか? もしそうだったらどうしよう。)


「ママを見てくる!」


「お前達、クリスタに何をしたっ!」


 父は叫び彼らを糾弾し、私はというと急いで2階へ駆け戻ろうとしてセバスチャンに服を掴まれる。


「お嬢様、今、おひとりで行かれると危険です。私が2階の様子を見てきますので、ここにいてください。」


 セバスチャンが2階へと向かおうとすると、先程の5人とは別の2人の男が降りてくる。母を連れて、だ。


「ママ!」


「レーナ、来ちゃダメ!」


 私は、母に呼び止められてから気づいたが、母は手を後ろに回していて、手首を縛られているようだ。さらに、男Aが母の腕を掴み、男Bが首筋にナイフをあてている。


「パパ、この人たちを追い払って!」


 私はそう言って、父なら何とかしてくれると思い、父の方を見る。

 しかし、父は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「少しでも動いたら、お前の妻が痛い目にあうぞ。」


 男が静かに告げてきた。


 男達と私たちは、しばらく睨み合う。


 そして、とうとう父が折れた。


「わかった。お前達の要求を飲んでやる。その代わり、クリスタと私の娘のレーナは逃が」


 交渉をしようとする父の言葉は途中で遮られる。


「そんなことを我々が許すわけないじゃないですか。だって、逃がして、我々のことを言いふらされたら困るんですよ。まだ表舞台に出るわけにはいきませんからね。」


 その言葉を聞き、父は1つ溜め息をつき、セバスチャンに目配せをする。それからは一瞬だった。


 セバスチャンは、私の腕を掴むと、玄関に向かって走り出す。男達は気づいて止めようとするが、それよりも早く、セバスチャンと私は包囲網を突破した。


「お前達、早く追え!」


 リーダー格の男が叫び、2人の男がセバスチャンと私を追いかけ始める。ここから追いかけっこという名の、私とセバスチャンが捕まるか捕まらないかを賭けた勝負が始まる。


 勝負を制したのは、私たちだ。この街に住んでいるだけあって、街の造りは理解している。私たちは、路地裏に入り、居酒屋の裏口から居酒屋の中へと転がり込んだ。


 2人が入って来たことに気づいた居酒屋の店主が寝床から出てくる。


「おお! こんな深夜に泥棒かと思ったら、レーナちゃんと男爵様の執事様じゃないか。」


「おじさん、しーーっ!」


 私は、口に人差し指を立ててあてる。それからセバスチャンがざっくりと事情を話す。


「そういうことがあったんですか……。これからこの領地はどうなってしまうんでしょうか。」


「待って、待って。結局、どういうことなの?」


 私は、1人だけ会話についていけてなかった。


「おそらく彼らは、彼らと旦那様の会話からして、吸血鬼の過激派でしょう。旦那様は光の大精霊と契約していらっしゃいますので、吸血鬼で唯一、いや、レーナ様がいましたか、昼間に活動出来るのです。そこで、今の人族に対する、王族達の対応に不満がある彼らは、旦那様を王に担ぎあげようとしてるといったところでしょう。」


「ん?なんで私は、昼間でも活動出来るの?」


「さあ、神のみぞ知るということでしょうね。」


(ふーん。そっかー。……っ!? そういえば6年前……。いや、やっぱり違うか。なんでもない、なんでもない。それよりこの情報を何とかしなきゃ。)


 私は、脱線した思考を元に戻す。


「じゃあ、もしかしてソレイユちゃんが光の大精霊なの?」


「はい、そうですね。」


 ソレイユちゃん、全然身長伸びないなーって思ってたけど、精霊だったのかあ。


「セバスチャン、これからどうするの?」


「そうですなぁ……。」


 セバスチャンは、顎に手でさすりながら考え始めるのだった。

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