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第33話 かくめい的☆めたもるふぉ〜ぜっ!

前回に投稿してからまだ1ヶ月経っていないからせーふっ!

 (わたくし)は、彼女――へレーナ・シュルツとかいう女の正体を暴くための作戦をここのところしばらく考えていたの。彼女が、多少優秀なのは認めますわ。それでも、そもそも、この真の天才たる(わたくし)より優れた輩がいる時点でおかしいのです。彼女はきっと何か試験で不正をしたに違いありません。替え玉受験なのか、魔法薬によるドーピングなのか分かりませんが……。

 そして考えに考え抜いた末に実行することにした作戦は……


 名付けて『魔法薬を飲ませて正体を暴きましょう作戦』なのですわ!


 今回、(わたくし)が作りますのは、『女神の裁き(アストライア)』。この魔法薬には、能力を上下させる支援魔法、補助魔法による被術者の能力の変化、身体強化による身体強化状態、魔法薬などによる能力変化を解除する効果がありますの。官僚、騎士の採用試験などで不正防止のために使われていますわね。



 薬の作り方は、もう調べましたの! 魔法薬学の教科書には作り方が載っていなかったので、図書室で調べましたわ。調べてからわかったのですけれど、この『女神の裁き(アストライア)』、学園を卒業した後の教育機関である帝立大学で教わるものらしいですわ。まあ、(わたくし)ですからその書物を理解できましたが。ちょっと難しかったですけれど……。


 薬の材料は、授業のない学園が休みの日に帝都を歩き回って揃えられるものは揃えたのですけれど、あと青珊瑚、君影草(すずらん)、鬼百合の花粉を用意しなければいけませんの。


 そこで(わたくし)が目をつけましたのは学園の魔法薬準備室です。ここから少々足りない材料をくすねてくることにしましたわ。しかし、公爵家令嬢でもあり魔法科入学次席である(わたくし)は、皆から注目を浴びやすいので魔法薬準備室に忍び込んでガサゴソすると誰かに見つかってしまう可能性が高いのです。故に、私を慕ってくれている1つ年下のヴァネッサさんに忍び込んでもらうよう考えたのです。

  ちょっとイケナイことでしょうけど、ま、まあ気にしませんわ!



「――ということわかりました? ヴァネッサさん。間違ったものを持ってくると正しい魔法薬が出来ませんのよ? (わたくし)のために薬の材料を持ってきて頂けるかしら?」


「わかりました! アーデルハイド様!」


 ちょっと心配ですわね。この子、(わたくし)を物凄く慕ってくれているのですけれど、おっちょこちょいで心配です。子供である(わたくし)が言うのもなんですれど、まだヴァネッサさんは幼さが抜けてない感じですから。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ~魔法薬学の授業の日〜



 先生の魔法薬実習についての説明が終わり、皆さん一斉に椅子から立ち上がり、実習の準備を始めますの。


 (わたくし)も立ち上がり、今回の作戦のターゲットであるへレーナさんの方を見る。彼女は、ルチアとかいう神代精霊もどき(神代精霊だなんてぜったい嘘に決まってるわ!)とニコニコと話しながら実習の準備をしている。


 ふふふふ、あんなにニコニコと微笑んでいられるのも今のうちですわよ。あの笑顔の裏にはどんな素顔が隠れているのかしら。きっと素顔は腹黒だわ。ドーピングしてまで(わたくし)に勝とうだなんて傲慢(ごうまん)ですわ。身の程を弁えるがいいかしらっ!


 それから今回、魔法薬準備室に忍び込んでもらうヴァネッサさんの方を見る。彼女は、先生が開けっ放しにしたままの魔法薬準備室へと続くドアのちかくで待機しているのがよく見えます。

 (わたくし)が目配せすると、ヴァネッサさんは軽く頷き、周りをすこしキョロキョロした後、魔法薬準備室へと入っていきましたわ。

 ヴァネッサさん、間違ったものを持ってこなければいいのだけど……。



 〜ヴァネッサちゃん視点~


 チラッとアデル様の方を見ると、私に向かってコクッと真剣そうな面持ちで頷きかけてくる。アデル様は相変わらず綺麗だな〜、そんなことを考えながら私は魔法薬準備室へと入る。

 アデル様が薬の材料を欲しがっているのだから私はただその任務を果たすのみ! 全てはアデル様の為に!


 そんな大層なことを考えて魔法薬準備室に入ったはいいけど、薬が多すぎて正直もうどこにあるかわからないよ……。


 何とかお目当ての材料を探さなくちゃ!


 んー、どこだ〜?


 あ! 青珊瑚、見ーつけた!


 えっとぉ、あとはー、君影草(すずらん)と百合の花粉だよね!


 お、君影草(すずらん)と百合の花粉も見ーつけた!


 でも高いところにあるなあ。踏み台ないかなー?


 脚立発見!


 よいしょー


 よし、これで3つとも確保したぞ!


 急いで戻ろーっと。





 彼女が去ったあと、残るのは静けさと()()()()と書かれたプレートの置いてある棚の前に、ポツンと脚立が1つ残るのみだった……。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 その週の週末、安息日に(わたくし)とメルセデスさん、ヴァネッサさんは(わたくし)の部屋へと集まっていた。今日は、とうとう『女神の裁き(アストライア)』を作るのですわ!

 関係ないですけれど、今日は天気も快晴ですわね。きっと、森羅万象(パンタ・レイ)の女神、ロクサーヌ様も(わたくし)の作戦の成功を願って祝福して下さっているのですわね!


 そうそう、メルセデスさんは、(わたくし)の2つ年上なんですけれど、(わたくし)のお兄様が(わたくし)の面倒をみるよう、メルセデスさんによろしく言ってあるそうですわ。お兄様、(わたくし)のことを心配してくださるのは嬉しいのですけれど、少し心配し過ぎじゃないかしら。


 今回の魔法薬作成の目的は、メルセデスさんには言ってないわ。だって、言ったら止められそうですもの。


「それじゃあ、薬を作り始めますわ。」


 (わたくし)が宣言すると、二人とも神妙そうな顔で頷く。


 (わたくし)は図書室で借りてきた本を片手に薬を調合致します。


 間違えないように、間違えないように、慎重に。


 コトコト


 グルグル


 ポチャポチャ


「出来ましたわ!」


「おお?」

「あら?」


 (わたくし)達3人でお鍋の中を覗き込む。


  濁ったような色ではなく、鮮やかでとても美味しそうに見えますわ。本に書いてある色と同じですわね。さすが(わたくし)、天才ですわ。


「アデル様、ココアみたいですね! 舐めてみてもいいですか!?」


「ヴァネッサさん、アデル様のお飲み物をとってはいけませんわ。」


 一から調べてとうとうできたこの魔法薬を眺めるのは感慨深いものがありますわね。


 そして(わたくし)は、『女神の裁き(アストライア)』を魔法瓶へと移した。明日、へレーナさんに飲ませるために。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 〜その日の午後〜


「アデル様、午後のおやつの時間になりましたわ。」


「まあ、ありがとう、メルセデスさん。」


「いえいえ、アデル様のお兄様(カスパルさま)に頼まれてますから。」


 午後のおやつの時間だわ! 安息日は午後になるとメルセデスさんがおやつの準備をしてくれるのよね。(わたくし)、毎週楽しみにしていますのよ!

 今日のお菓子はケーキみたい! やったわ!


 コポコポコポコポ


 メルセデスさんが()()()から(わたくし)達のマグカップへと飲み物を注いでくれる。今日の飲み物は紅茶みたいですわね。


「「「いただきます。」」」


 お菓子の前にと、(わたくし)が、いの一番に口へマグカップを運ぶ。


 ボフン! モクモクモクモク……


「え?」

「あれ?」

「あら?」


 ちょっとした爆発音のあと、茶色い煙がたつ。


「「ア、アデル様!?」」


「な、なんなんですの!? びっくりしましたわね。まったく、何が起こったんですの?」


「アデル様、御髪(みぐし)をご覧になってください!」

 

 (わたくし)は、メルセデスさんに言われた通りに自分の髪の毛を見る。


 いつもの桜色じゃなくて、茶色……?


「ええーーーー! なんてことですの!?」


メルセデスさんが(わたくし)に手鏡を貸してくれる。


 そう、手鏡を見ると、(わたくし)の髪が自慢の桜色ではなく、艶やかなブルネットになり、瞳はエメラルドグリーンからサファイアブルーに変わっていた。


「ええ……。あっ!!」


 ふふふ。(わたくし)、物凄い名案を思いつきましたわ。


 (わたくし)、お父様が、危ないからといって冒険者登録させてくれないのですけれど、見た目が変わっている今ならば、冒険者ギルドに行ってもバレませんわ!

 ん~、やっぱり(わたくし)、天才ですわ!


はい、おーしまい!


おしまいじゃ、ありませんからね?

流れ的に言っただけです。

ではまた次話でお会いしましょう!

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