第26話 アデルちゃんの「ほんき」
お待たせしてすみませんでした。試験は1週間程前に終わったのですが、他の作者さんの作品にどっぷりハマっていました。
あと、前話で書き忘れてましたが、へレーナちゃんは、魔法科を受験します。
「よーい、はじめっ!」
試験監督の合図により筆記試験が始められる。
緊張して心臓がドクドクしていたので、私はまず瞑想タイムにはいることにさした。前世からの癖だが、テストの時の1番最初にこれをすると緊張した時でも結構落ち着けるのだ。
カリカリ、パラパラ……
うわぁー、みんなめっちゃ書いてる。この音を聞くとすごく不安になるんだよね。
私は瞑想タイムに入る。
「……!」
30秒程で瞑想タイムを終わりにする。緊張はだいぶ吹っ飛んだ。よし、頑張るぞ!
テスト問題の冊子を開いてパラパラとめくり、問題量や分野などを確認する。
最初のページの分野は、地理のようで、政治、歴史、経済、算術と順にその次に続いている。
私は問題を解き出す。
1問目、
「人族と魔族の戦争において、度々最初の戦いの舞台になる、魔族の国ディアボロヘイム王国最南端の都市の名前を答え、右の図からその都市の位置を①〜⑩の中から選べ。」
おっ! これ、知ってるよ! 3年前にベンさんと出会ったところだよね。あの時ベンさんと出会わなかったらどうなってたことか……。
カリカリ、パラパラ……
よし、終わったぁ……。
その後の問題も分からない問題はあまりなく、時間内に最後まで解き終えることができた。筆記試験で落ちることはないと思う……たぶん……だといいけど。
そして、試験監督の合図で90分間の筆記試験は終了する。この次は、騎士との手合わせだ。商業科と政治科の受験生は、ここで解散となる。
魔法科と騎士科の受験生は、この後グラウンドに集合という連絡をされ、各自でぞろぞろと歩く。
私は、ルチアちゃんを受験本部から回収してくるため、列を外れる。騎士との手合わせの後、魔法の試験があるからね。
「ルチアちゃん、お待たせ〜!」
「お~、レーナちゃん、お疲れ様〜! 試験はどうだった?」
「ん〜、思ったより出来たかな。わからない所もあったからちょっと不安だけどね。」
「そっか。」
ルチアちゃんは、私がついているからねと言わんばかりに、黙ってなでなでしてくれる。ルチアちゃん、いつもはふわふわしているんだけど、たまにこうやってお姉ちゃんみたいになるんだよね。こういう1面も結構好き。
手を繋いでグラウンドへと向かう。
既にグラウンドには、騎士科と魔法科の受験生達が大方到着して、ガヤガヤしていた。
「ちゅうもーく! 受験生の諸君、静粛に。」
突然聞こえてきた大きな声で、グラウンドの喧騒は止む。どこから聞こえてきたのか、声の主をキョロキョロと探すと、フルプレートの甲冑を着込んだ、ガタイのいい騎士さんがいた。さすがに顔の部分は外しているけど。
同世代の子達と比べても小柄な私が、まわりに私より背の高い子がいるのに、なんで騎士さんを見れたかって? 身体強化魔法をかけて、ぴょんぴょんしたんだよ。いやー、魔法の力って凄いね!
完全にグラウンドが静まりかえると、先程声をあげた騎士さんが喋りだす。
「我々は、この度、帝立学園の入学試験で諸君との手合わせを担当することになった、帝国騎士団第3師団第2大隊第4中隊所属のクロイツァー小隊だ。諸君、筆記試験お疲れ様。この学園に入学すれば、諸君に輝かしい未来が待っている。引き続き、本日の試験頑張ってくれ。」
おお、なんか、かっこいい……。騎士団とかファンタジーぽくていいよね。初めて本物が話してるの見たよ……。それに、喋っていた騎士さんの後ろには、ずらっと彼の部下であろう何とか小隊の騎士の人達がいて、壮観だ。
「では、今日の試験について説明する。諸君には我々と手合わせして貰う。もちろん、諸君は学生にすらなってない受験生で、我々は騎士であるから、諸君に一方的に攻めてもらう。なので、我々から攻撃をすることはない。まあ、腕の立つ受験生相手には我々もカウンターを行うことにする。また、試験時間は1人2分とし、試験にはこちらの用意した木刀を用いる。
あと、自分の番が来たら、受験番号と志望学科を教えてくれ。これは、合否に関わるものだから間違えないように。
説明はここまでとする。諸君の検討を祈る。」
最初に喋ってた騎士さんの隣にいた騎士さんが試験について説明してくれた。最初の人が隊長で、今説明してくれた人が副隊長なのかな。
試験は隊長さんの合図で開始される。何人もいる騎士さん、1人1人の前に私たちは並ぶ。受験生の数は多いので、当然、騎士さん1人当たりに何人もの受験生が列をつくる。
私はというと、列の真ん中よりも少し後ろのところに並んだ。なんでかっていうと、この辺が1番緊張しないのだ。最初は普通に緊張するし、最後は大取りみたいでプレッシャーかかるし……ということだ。
ルチアちゃんは、受験するわけではないので、列から外れてもらい、試験を見守ってもらうことになっている。
私の列の1番最初は……、あのアーデルハイドちゃんだった。んー、名前長いから、もうアデルちゃんでいいや。
「私は、アーデルハイド・フォン・エストマンよっ! 受験番号は630、志望学科は魔法科!
私の本気、お見せいたしますわ!」
うわあ……、やっぱり凄い自信家だな……。私なら、1番最初なんて絶対ムリだもん。魔法科志望らしいけど、あれだけ自信があるなら、剣も得意なのかな?
「では、始めっ!」
一斉にそれぞれの列の1番前の人の試験が始まる。
私達の列の1番手アデルちゃんも、キリッと木刀を構え、一言、
「いざ、参りますわ!」
おお……、かっこいい……。本物のお嬢様がこうやって剣を構えると様になるよね。
アデルちゃんが地面を蹴るっ!
普通の魔法のみならず、身体強化魔法も得意なのだろう。力強い蹴りだ。
そして上段に大きく振りかぶるっ!
―
――
―――
……あれ?
身体強化魔法は得意なのだろう、ブオンと風を切る音がする。しかし、無駄に木刀を振りかぶり、目線は、打ち込む前から打ち込みたい部位にいっている。
うん、これじゃあ、いくら木刀を振るのが速くても当たらないね。どこに打ち込むのか丸分かりだ。
アデルちゃんには……天才的なまでに、センスがなかったのだ。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
アデルちゃんは一生懸命、木刀を振るうっ!
――しかし、何も起こらないっ!
騎士の人が避けるもしくは、木刀を払っているのだ。
やがて2分が経過し、アデルちゃんの試験は終了する。
「よし、終了だ。そうだな、身体強化魔法は立派だが、せっかく強化した身体を生かしきれてないな。では、次。」
「ま、私は魔法科志望だから関係ないですわね。」
あ、試験終わっても強気なんだ。弱気よりは全然いいことだと思うけど。
まあ、魔法科の受験生は、この試験における配点が低めなので、あまり緊張せずにいこう。はい、スマイル、スマイル!
私は、緊張をほぐすために無理にニコッと笑い、ほっぺを自分でむにゅむにゅする。コレ、他人に変な人だと思われてない……よね?
だんだんと私の順番が近づいてくる……。
その時、
トントンと肩を叩かれた。
長くなりそうだったので、切り上げました。
全然、話が進まない……。
これからもよろしくお願いします。
そら




