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第22話 〜おにーちゃんside②~

 俺がこの世界に来てから1ヶ月、その間にいろいろとわかったことがある。


 まず、俺のこの世界での名前は、フリードリッヒ。うん、かっこよくていい名前だ。まあ、もともと俺の中にいる奴の名前だったんだが。あ、名前で呼んであげないと可哀想なので、フリッツ君と呼ぼう。あの時から少しはフリッツ君と和解した。フリッツ君も現状打破することが難しそうなので、ある程度前向きに考えてくれることにしたらしい。


 次に俺の住んでいる場所。ここはレコルド帝国のエストマン公爵領。エストマン公爵家の現当主は、今の皇帝の弟らしい。


 そして、俺は今、金でできた、木の枝と葉っぱをモチーフとした首飾りをつけている。こちらの世界での俺の家庭は、お世辞にも裕福とは言えないが、何故このようなものを俺がつけているのか。これにはわけがある。


 話は、俺がこの世界に来る前のことに遡る。


 俺もホイホイとこちらの世界にきたわけではない。そう、あの少年の声の誘惑には続きがあるのだ。


 *


「……そちらの嫌な世界のことは忘れられるさ。どうだ、いい話だろう。」


「そんなラノベのような話があるもんか。まったく、嘘くさい。どうせ嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ。」


「随分と言ってくれるじゃあないか。こっちの世界に来てくれれば、特典を付けてあげられるのに。まあ、僕の言うことを多少聞いてくれればだけど。」


 そんな話が実際にあってたまるものか。もし、こうやって異世界転移が出来るもんなら、世の中、消失事件が多発してるよ。


「ますます嘘くさいんだけど、どうしたもんかな。」


「まあ、ものは試しと言うじゃないか。狐に摘まれた気持ちで話に乗ってみるぐらいいいんじゃないか。」


 その時の俺は、何の気の迷いか、ずっと勧誘されてるのもうざったいので、少しだけ付き合ってやることにしたのだった。


「そんなに言うならしょうがない。話に乗ってやるよ。もし、嘘だったら承知しないからな。で、特典と俺がしなきゃいけない事を教えてくれ。」


「ふふっ、面白いね、君。いいよ、いいよ、乗り気になったようでなにより。僕がしてあげられる特典はというと、君に力をあげよう。これから君に行ってもらう世界には魔法があるんだけど、君が受肉する体の魔力変換効率をよくして、強靭な体に体の組織を作り替えておくよ。この辺は僕の専門じゃないんだけどね。そして、君にしてもらうことは、僕の言うことをこなして貰うこと。その連絡のための魔道具を渡そう。そうだね、君がこちらの世界に来たら、ポケットに入れておくから、それをいつも肌身離さず持ってて。たったこれだけだよ。」


 それから、現物はないが、魔道具の使い方も説明される。


「わかった。騙されたつもりになってやろうじゃないか。異世界とやらに連れてけるもんなら、連れてってみろ。」


 *


 ここで俺の向こうの世界での記憶は途切れている。ということは、あの話がついたその時に俺の魂はこちらの世界へ移ったらしい。なんとも気の早いこった。


 俺は、こちらの世界で目を覚ました後、ポケットに言われた通りに、紐の付いていない、穴の開いた金の首飾りを見つけ、家にあった粗末な紐を通した。常に持ち歩くよう、言われたからだ。と、いうことが、我が家があまり裕福でないのにも関わらず、俺が首飾りをしている理由だ。


 そして、あの誰だか知らない声の少年は、あれ以来、1度しか聞いていない。その1度というのは、つい先日のことになる。


 *


 俺はその時、自室で寝ようと布団に入ったところだった。

 首飾りの魔道具は、常に身につけるように言われたので、当然首から下げていた。


 突然の振動を胸に感じる。俺は、不思議に思って、目を自分の胸に落とすと、首飾りが、小刻みに振動していた。まるで、あちらの世界の携帯電話のようだ。


 ついにあの、声しか聞いたことの無い少年から連絡が来たのだと思い、首飾りの魔道具で3度コツコツと壁を叩く。なんとも、これがこの魔道具の使い方らしい。


 少年の声が聞こえてくる。少年は、俺の相槌など待たずに一気に喋る。


「どうやら、繋がったようだね。こちらの世界はどう? 気に入ってくれたかな? 気に入ったようで僕も嬉しいよ。うんうん。魔法も馴染んできたようじゃん。誰も教えてないのに、身体強化魔法が使えるようになったなんて凄いよ。正直、僕が身体強化魔法の使い方をレクチャーしようと思ってたんだけど、その必要はないみたいだね。 (どうやら、当たり) (を引いたみたいだね…)じゃあ、計画を早めることにしよう。明後日、君の御父上が仕事に行くのに着いてって貰えるかな? ご父君は、エストマン公爵家の私兵なのだろう? 明後日は、公爵家の私兵たちと騎士団の中での、強さを決める武闘大会の最終日なんだよ。今の君なら、最終日から入っても、充分勝てると思うから、参加して欲しいんだ。これが僕から君への1つ目の『お願い』だよ。」


 途中、声が小さくて聞こえなかったが、要は、こいつは、俺に公爵家の武闘大会に出ろということらしい。そうそう、あと、こいつの言うように俺は、身体強化魔法が使えるようになった。


 この体の魔法適性力が高いのか何なのか知らないが、この世界に魔法があることを思い出し、フリッツ君の助言のもと、ここ1ヶ月、身体強化魔法の練習をしていたのだ。フリッツ君は、身体強化魔法なら、少し使えたらしい。それと、2次元でありきたりな放出系の魔法を使うには、どうやら精霊の力を借りなくてはいけないらしい。 まあ、俺はとしては、前衛職の方がかっこいいと思ってるので問題はないんだけどさ。


 自分でも大分強くなったと思う。だって、足に魔力を込めると、脚力が強化されて身体が軽くなって1歩で物凄い遠くまで踏み込めるし、腕と肩に魔力を込めると、剣が木の棒のように軽くなるのだ。魔法って改めて凄いと感じる。


 逆に、自分が魔法を使う分にはいいが、相手が自分と同じように魔法を使ってきたら怖い。だって、こんな強大な力があったら、言うことを聞かせたりとか、自分より弱い相手を好きにできてしまう。その各々の力の差というのは、俺が元にいた世界の比にならないだろう。元の世界では、力の差といっても、男女の差とか大柄の人と小柄の人の差くらいだ。


 だから、俺は、決めたのだ。俺が得たこの力は、正しいことのために使おうと。そして、1人でも多くの人を救ってみせると。俺の妹のような、罪もないのに散る命を減らすために。大切な妹を亡くしたかつての俺のような人をこれ以上増やさないために。


 この計画を遂行する上での強くなるための足がかりとして、俺は、公爵家の武闘大会へと飛び入り参加することにしたのだった。



【重大】フリッツは、フリードリッヒの略称です。このこと書き忘れてました。すみません。(18,2,14)


おにーちゃん編、あと1話続くことになりました。どれくらいの文字数になるか、書いてみないとわかんないんだよねー。


〜おまけ〜

個人的に面白かったことなんですけど、武闘大会ってところが、間違って舞踏大会ってなってて、読み返して笑っちゃいました。落ちはありません。


早く学園編に入りたいなー。まあ、ここも書いてて楽しいんだけどねっ。


追伸 18,2,13)今週は、小説の書き方を勉強中なので、更新出来ないかと思います。できるだけ早く更新しますので、待っててください。

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