第17話 セバスチャンside
〜セバスチャンside〜
私は、グリセルダから借りた馬でディアボロヘイム王国へ向かっている。グリセルダのやつ、昔から性格も見た目も変わってなかったな……。まあ、あいつはエルフだしな。
なにより、へレーナ様とルチア嬢を預けることが出来て良かった。魔法に関してはグリセルダがへレーナ様に教えるとして、私は剣を帰ったら教えることにしよう。私達、もと『ケッツァー』のメンバーが協力してへレーナ様を旦那様に誇れるよう、文武両道の淑女に育て上げなければ。
ああ、冒険者をしていた頃が懐かしいな……。自分で言うのもなんだが、『ケッツァー』というのはけっこう名の通ったパーティーだった。まあ、今は皆自由にそれぞれ暮らしているが。
パカラッ、パカラッ
そんなことを考えながら馬を走らせるのだった。
―――………―――
「それではお入りください。くれぐれも失礼のないようにお願いします。」
私は今、ディアボロヘイム王国第47代国王アルシェに、吸血鬼過激派組織の、シュルツ男爵家への襲撃について報告に来ていた。馬をとばすこと2週間ちょっと、ディアボロヘイム王国王都にたどり着いたのだ。
メイドさんが声を私にかけると、扉の両脇に立っていた兵士が3メートル近くあるだろうかという巨大な扉をあける。
私は緊張しながら中に足を踏み入れる。床は、足が沈み込むほどふかふかした赤い絨毯で覆われている。
前をちらりと見ると、最奥にある玉座に誰かが座っていて、その脇に宰相と思われる人物が立ち、両脇の壁際には正装した騎士が2人ずつ立っているのがわかった。謁見の間にいるからには魔導騎士なのだろうか。
私は、王と一定の距離を取り、跪く。
私が跪き終わると、王が声をかけてくる。
「面を上げよ。」
玉座の隣に立っていた宰相らしき人が声を発する。
玉座には少年が座っていた。そうか、そういえば、今の国王は即位して2年ほどだっただろうか。先代の王は武に優れていたが、早く亡くなりなさったのだったな。今の王族は悪魔種であり、また、魔族のだいたい5割ほどが同様に悪魔種なのだ。悪魔種というのがどのような種族なのかというと、まあ、人族の肌を褐色にして角を生やした感じだ。
私は、言われた通りに顔をあげる。部屋を歩いている時は斜め下を見て歩いていたから玉座に誰かが座っていることぐらいしかわからなかったが、改めて我らが国王を見ると、まだ少年でありながらも聡明そうで整った顔立ちをしている。
「で、用件はなーに?」
「アルシェ様、せめて謁見の時だけでも取り繕ってくださいと申しているではありませんか。」
アルシェ様と言うらしい我らが国王に宰相らしき人物がこそこそと忠告している。宰相の気配りは虚しく、私は人狼種なので聴覚が鋭く、丸聞こえだ。でも、この微笑ましいやり取りを見ていると、へレーナ様を思い出してしまう。へレーナ様もけっこうアクティブだからな……。
「ん、んん。それで要件はなんでしょうか。」
宰相さんは咳払いをし、問いなおしてくる。
私は、ここは先ほどのやり取りは聞かなかったことにして、丁寧に受け答えることにした。
「私は、シュルツ男爵家の家令を務めさせていただいております、セバスチャンという者です。まず、報告からさせていただきます。」
それから私は、シュルツ男爵領で起こった事件について話し、対策を立ててもらい、シュルツ男爵家を存続させて貰えるよう必死に頭を下げて懇願する。
「……まだまだ男爵家の先々代の方への恩が返しきれてないのです。どうか、シュルツ男爵家を存続させてください。」
私の長話を聞き終わると、王は喋り出す。
「話はわかったよ。まずは報告大義であった。その事件についてはこちらも警戒をしておこう。当主に子供がいないなら悩んだところだが、幸いにしてまだ幼いが子供がいる。その子を次期当主にするとして、成長するまではお主をシュルツ男爵家代官としよう。お主の人柄ならしっかり務まろう。この判断でいいよね、宰相?」
「はい。それでよろしいかと。それでは、手続きを行いますので、私と一緒に、王城B棟貴族領管理課まで着いてきて下さい。」
「分かりました。」
それから私は、宰相さんについて行き、手続きを済ませる。グリセルダが面倒をみているが、少しでも早くへレーナ様の所に戻らなければ。私は、王都に1泊し、翌日には帰途につくのだった。
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これからもよろしくお願いします。
そら




