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第11話 少女の名前は……

 十分と勿体をつけた後、少女は答えを口にする。


「うーん、そろそろボクの名前を教えようかな。聞いて驚くがいい! ボクは、光の神代精霊ルチアだよ!」


「……ん? せーれー?」


「……!? これはこれは大変失礼なことを致しました。まさか神代精霊様だとは知りませんでした。どうか御無礼をお許しください。」


 いきなりセバスチャンが背中を直角に曲げ、謝り始めた。いったいどうしたというのだろう?


「いいよ、いいよー、だってレーナちゃんちの執事さんなんでしょ? それに私の正体知らなかったんだし。」


「お許しくださりありがとうございます。」


 2人が勝手に二人同士でわかりあっている。私だけ仲間外れだ。このルチアちゃん(今、名前を知ったけど。)と親友なのは私だっていうのに。ぶぅー。


「なんで、セバスチャンはそんなにペコペコしているの? それに『しんだいせーれー』ってなあに?」


 1人だけ話についていけず、私も話の輪に混ざるため、セバスチャンに声をかける。すると、セバスチャンが教えてくれる。


「もうお嬢様も6歳ですからな。いろいろと教えていくことにしましょうか。」


 そう言ってセバスチャンは話し始める。教えてくれたことは次のようなことだった。



 この世界には魔法がある。ただ、好き勝手にいくらでも、そして誰でも魔法が使えるわけではない。

 まず、この世界では、人族、獣人族、長耳族、竜人族、天人族、そして私たち魔族の6種族と魔獣は、多かれ少なかれ皆魔力をもっている。魔獣というのは、犬や猫といった動物達とは違い、魔力を持ち、ある程度の知能を持つ動物で、他の生き物と同じように親が子供を産んで、増えていく。この際、魔獣は話には関係ないのでここまで。

 魔法の方に話を戻す。魔法というのは、1人では発動出来ない。じゃあ、2人とか3人とかで発動するとか言う話でもない。誰と協力して魔法を発動させるかというと、()()だ。

 精霊とは何かというと、世の中のいろいろな万物に宿る様々な属性をもった魂みたいな存在だ。精霊にも格があり、この格によって、魔法の発動者の魔法の威力が変わってくる。発動者側の熟練度も関係するが。魔法の発動の手順はというと、

 ①精霊に呼びかけ、体内の魔力を引き出してもらう。

 ②魔法の構成をイメージする。使用する魔法の種類、威力、射程、効果範囲、効果時間など。

 ③イメージ通りに魔力を練って、放出する。または、自身に向けて、使用する。

 といった感じとなる。熟練者ともなれば、この動作を一瞬で終えるらしい。自分のもっている魔力が尽きたら、魔法は使えないし、精霊たちに嫌われても、魔法は使えない。また、一人ひとりもっている魔力の量は違う。魔法の威力や効果は重要な要素で、その大きな部分を精霊の格が左右している。

 精霊には、4つの格がある。下の方の格から順に、微精霊、中精霊、大精霊、神代精霊となっている。微精霊はどこにでも存在し、誰でもその場で魔力を引き出してもらい、魔法を使える。中精霊以上になると、その精霊個人と契約しないと魔法を使用する際に協力してくれないらしい。

 要するに、学校でいうと、微精霊が生徒で、中精霊が教師で、大精霊が校長先生で、神代精霊が教育委員会みたいな感じかな? セバスチャンによると、神代精霊は、各属性に1人ずつしかいないらしいけど。



「……!? まって、まって、ということはルチアちゃんって、けっこうすごい子だったの?」


「レーナちゃん、ひどいなー。ボクは、光の最上位精霊だよ! 凄いでしょー!」


 私は、素直にルチアちゃんについて驚いた。私が言えた事じゃないが、前世でいう中学生くらいの年齢なのに、毎日私よりも早くあの泉に来るし、近くに家があるわけでもないのに私よりも遅くまで泉に残ってるから、この子のおうちどこなのかなーって思ってたけど、そういうことだったのかあ。そっかー、精霊だからおうちがなくてもだいじょーぶだったんだ。ルチアちゃん、たまに「ボクって、ホントは凄いんだよ?」とか言ってるから、この子、残念な子なのかなーって思ってたけどね、言わないでおこーっと。


 私が驚き、ルチアちゃんについていろいろと納得したところで、ルチアちゃんは話の本題に入る。


「それで、ボクの正体がわかったところで、レーナちゃん、ボクと契約してくれないかな?」


「うん、わかった!」


 私は二つ返事で了承する。だって、ルチアちゃんと契約すれば強い魔法が使えるし、そして何よりも、私もルチアちゃんとはせっかく親友になったのに別れるなんて辛すぎる。こういうこと、渡りに船って言うのかな?


 しかし、合意に至ろうかというところで、セバスチャンが待ったをかける。


「お嬢様、あまり考えずに契約するのはどうかと思います。精霊との契約には対価が必要と聞きますが、その辺をよく考えて行動して下さい。」


 今度はセバスチャンではなく、ルチアちゃんが固まる。


「え? 対価なんて要らないよ? ボクは、レーナちゃんと一緒にいればじゅーぶんだよ! 大体、対価なんてのは、力のない精霊が力を得るためや、けちんぼの精霊がやることだよ?」


 セバスチャンはそれを聞いて苦笑している。


「そうですか。流石でございますね……。では、お嬢様との契約をお願いします。」


「あ、でも今、ボク、契約の触媒になるネックレスの素材になるもの持ってないや。レーナちゃん達も持ってないよね?」


 どうやらルチアちゃんは、契約するのに必要なものも持ってないのに契約すると言ってたらしい。


「うん。ひつようさいてーげんのにもつしかないよ。」


「じゃあ、執事さんの知り合いの所へ言ってからだね。」


「わかった。」


 それからルチアちゃんは、右手と左手の人差し指をつつき合わせながら、


「これからもボクと親友でいてね?、レーナちゃん。」


「うん!」


 私は元気よく答える。


 こうして、契約はセバスチャンの知り合いの所へ着いてからすることになった。


 私たち3人は森を出て、街道を歩いて進んで行くのだった。


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