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第10話 脱出

 少しの間、セバスチャンは思案した後、口を開いた。


「国外にいる私の知り合いの所へ行きましょう。その後、お嬢様を知人に預け、私は、一旦この国に戻り、国王になんとかこの事を伝えます。そしたらまたお嬢様の所へ戻って参りましょう。」


「パパたちはどうなるの?」


「おそらく彼らの拠点に拘束されているでしょう。王に直訴し、調査してもらおうかと。」


「わかった。ぜったいにパパたちをたすけてね。」


「分かっております。お嬢様も、一応国外に行きますが、彼らには気をつけてください。もし、昼間でもお嬢様が活動出来ることを知ったら、担ぎあげようと今以上に執拗に狙ってくるでしょう。」


「うん。」


「彼らは吸血鬼なので、昼間は活動出来ません。なので、日が登ったら、この街を出ましょうか。」


 しかし、ここに来て私は気づく。


「私、寝間着のまま来ちゃった。」


「そうですね……。屋敷に戻るのは危険ですし、私も着替えや食料を持ってきてないので、買い物をしてからにしましょう。」


 すると、横で話を聞いていた居酒屋の店主が、


「服は用意してやれねえが、これでも飲食店だから、食料はいくらか用意してやるよ。」


「おお、それはありがとうございます。」


 店主のおじさんの突然の申し出により、私たちに食料の不安はなくなった。セバスチャンが常に持ち歩いている予備のお金もそう多くはないだろうし。


 私達は、店主のおじさんからリュックサックと居酒屋のおつまみ用の干し肉をたくさん貰った。


 用意が整ったところで、それからみんなで朝まで寝た。


 ―――………―――


 夜は明け、日が登りはじめる。


「おじさん、ありがと。」


「この度は大変お世話になりました。いずれこの街に戻って来る時には、恩をきっと返しましょう。」


「いやいや、ここの領主様にはお世話になってるし、レーナちゃんは可愛いからな。困った時はお互い様ってことよ。」


 やっぱりこの街の人はいい人ばかりだな。次にこの街に戻って来る時には、成長して、父と母をさらったあいつらをとっ捕まえて、居酒屋のおじさんにいい土産話を聞かせて上げるんだからっ!

 まだ、私、全然強くないんだけどね!


 私達はおじさんに礼を言って居酒屋を出る。


 私は寝間着姿なので、セバスチャンの来ていた黒い上着を襟のところをおでこに引っ掛けるようにして頭から被った。まだ6歳だし、私は街の他の子供に比べても小柄なので、それでも上着の裾は、足首まで届く。


 それから服屋に行き、私用のフード付きのローブを2着とセバスチャンの服を2着買った。


 いつまで寝間着の上に頭から上着という格好でいるのが恥ずかしかったので、さっそく買ったローブに着替えた。上着を被って歩いている時、街の人からいつもよりも5割増くらいの微笑ましい目で見られていた気がする。

 うぅぅ、恥ずかしいよぉ。


 セバスチャンは、大銀貨1枚と小銀貨8枚を支払っていた。持っているお金は大銀貨2枚だったらしいので、ギリギリ足りたと言っていた。


「お嬢様、そろそろこの街を出ましょうか。お昼になってしまいましたし、この街での最後の食事をとるとしましょうか。」


 この街での最後の食事かぁ。この街にはたくさん知り合いが出来たし、自分の生まれ育った街でもあるので、愛着があっていつかは帰ってくるといっても寂しい。


 私達はパン屋でパンを1つずつ買って、門へ向かって歩きながら食べる。


 門から出ると、セバスチャンが声をかけてくる。


「お嬢様の銀髪は目立つので、フードをしっかり被ってください。」


 確かに今まで銀髪の人は母以外に見たことないな。大体の人は茶髪とか黒髪だし、たまーに違う変わった色の髪の毛の人もいるけど。例えば、森にいるあの少女とか、ん?、、、!?


「セバスチャン! わたしのおともだちにバイバイしなきゃ! わたしがこないってきづいたら、しんぱいするとおもうの!」


 私は、森にいる少女のことを思い出し、声をあげる。挨拶もしないで別れるところだった。あぶない、あぶない。


「いきなりどうされましたか。もう街は出たのですけど。お友達の家の場所や名前は分かるのですか?」


「ばしょもなまえもわかんないけど、いつももりにいるおんなのこ。」


 セバスチャンは困惑しているみたい。まあ、そりゃあそうだ。いきなり、友達にバイバイするとか言い出してその子の家の場所も名前も分からないとなると誰だって怪しむだろう。まして、森にいつもいるとなると余計に。私だとしても怪しむ。でも、しょうがない。だって、ほんとに分からないんだもん。


 セバスチャンは少し考えるそぶりを見せた後、


「分かりました。ついて行きましょう。」


「やったぁ。ありがとう、セバスチャン!」


 私は、嬉しくなってセバスチャンに抱きつく。 それから私達は、街道をゆくのではなく、森へと向かって野原を進んで行った。


「お嬢様、これより先には家はないと思うのですが。」


「いいの。みちはあってる。」


 セバスチャンは首を傾げながらも着いてくる。


 ―――………―――


「ついたよ! ここだよ!」


「おお……。」


 セバスチャンは泉の美しさに驚く。私はもう慣れてしまったけれど、やっぱり初めて見るとものすごく驚くよね。私も最初は感動したもん。


 セバスチャンが感動してフリーズしていると、案の定、


「レーナちゃん、こんにっちはー! あれれー? ここ、秘密なのに知り合い連れてきちゃったの?」


「!?」


 セバスチャンはいきなり話しかけてきた謎の少女を見て驚き、再度固まる。

 そうそう、私は自分の名前を教えてあげたのに、この子教えてくれなかったんだよね。ケチだなー、まったく。教えて減るもんじゃないのに。


「で、どうして連れてきちゃったの? 何かあった?」


 少女に聞かれ、私は事情を話す。


「……というわけで、もうあすからこれなくなっちゃったから、おわかれをいいにきたの。」


「え、え、ヤダヤダ! せっかく友達になれたのにバイバイするなんてヤダ!」


 少女は別れたくないと言い出す。うーん、どうしようか。私もほんとはバイバイしたくないんだけどね。困ったなぁ。


「あ、そうだ! 私と契約しようよ!」


 少女は突然意味不明なことを言い出す。契約ってどういうこと?

 ここにきてやっと、固まっていたセバスチャンが復活したようだ。

 セバスチャンは、おずおずと切り出す。


「あのー、どちら様でしょうか。」


 少女は少し悩んだ後、口を開くのだった。



お金の基準について。

この世界では、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨があります。

それぞれ、円に換算すると、十円、百円、千円、一万円、十万円、百万円、一千万円となります。

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