異世界で暗殺者になった僕に、ある日魔王から勇者暗殺の依頼が届いた
小説家になろう、三作品目です。
今回は前の二つとはかなり違った感じで書いて見ました。
気に入って頂けたら幸いです。
「おい、カイト。オメェに新しい依頼が届いてるぞ」
とある日の昼下がり―――。
仕事もひと段落したので久しぶりに同僚達と一杯やろうとしていると、突然カウンターの方から野太い声が掛かった。目を向けると、そこには体長二メートルは軽く超えるであろう、全身に無数の切り傷を負った凶顔の男、ロイドがいた。
「はぁぁ、またですか」
僕は思わず重い溜め息を吐き、それから立ち上がってカウンター席の方へと向かった。
因みに、表向きは酒場として通っているこの場所は実際のところ王都を拠点とする巨大暗殺ギルドの総本部である。そして、何故か酒場の亭主である事に強いこだわりを持つロイドはギルドの本部長だ。
暗殺者ギルドと言えば聞こえは悪いだろうが、僕を含めメンバー達は一切悪事を働いているつもりはない。人を殺しているの確かだけど、そのターゲットに選ばれるのは大体が殺人犯や強姦魔、そして違法な人身売買に関わっているなど国の法律では裁ききれていない犯罪者ばかりだ。
まあ簡単に言うと、社会を蝕む害虫を専門とした裏の掃除屋と言ったところだろう。そして幸か不幸か、ギルドの商売はこれ以上ないと言うぐらい繁盛している。
――――では何故僕がこのギルドに入って暗殺者になったかと言うと、ただの成り行きとしか言いようがない。
ある日、何時も通り校舎裏でクラス不良達にボコボコにされていると、突然何の前触れも無く魔法陣のようなものが出現して気を失った。ファンタジーの世界でよく出てくる異世界召還的なものである。その時、他の不良達は無事に召還されて勇者になったらしいが、何故か僕だけは目を覚ましたらスラム街の無法地帯に一人でいた。それから何やかんやあって、助けてくれる人もおらず一人で路頭に迷っていた僕はロイドに救われ、そのまま流れでギルド加わった訳だ。
幸い、勇者召還の加護で暗殺者向きのスキルを持っていたので、一流とまではいかなくても、ここ数年はある程度仕事をこなせている。
まあ、毎日毎日ほぼ休み無く、四六時中依頼を受けさせられているが………。
僕は嫌そうな表情を浮かべながら、カウンターの端にある椅子に座った。
「ったく、オメェは優秀なんだが、相変わらず勤労意欲に欠けるなぁ」
「そう思うなら、少しは休ませて下さいよ」
「悪いがそれは無理な話だな、ガハハハハハハッ!まあ、この酒をタダで呑ませてやるから、少しはヤル気を出せ、な?」
そう笑いながら言って、ロイドは見るからに安酒であろうものをグラスに注ぎ僕の前に差し出す。
僕はそれを手に取って一口呑んでから、ゆっくり問いかけた。
「で、依頼者は誰ですか?」
「えーと、そうだなこの依頼書には『魔王』って書いてあるぞ」
とてつもない爆弾をサラッと言うロイド。
「魔王って、あの魔王ですか?」
「ああ、あの魔王だ」
どうやら聞き間違いでも、夢を見ている訳でもないらしい。
ふんふん、ということはあれか。この依頼書は現在この国と絶賛敵対中の魔王軍、その親玉から届いたものであり、ロイドはその依頼を僕に受けろって言っている訳だ。
オッケー、理解した。
どうやらこのクソ肉ダルマは僕に喧嘩を売っているらしい。
「…………僕に人類の敵になれって言うですか?」
「初めて人を暗殺した時全く表情を変えず、むしろ薄っすら笑ってたお前が人類の味方のつもりだったのか?」
「失礼ですね、これでも毎日平和の為に一生懸命暗殺業に勤しんでいるんですよ」
暗殺者としてのプライド?を傷つけられ、僕は不機嫌そうに言った。それを聞いてロイドは手で額を抑えながら「………どこで教育を間違ったんだろうなぁ」と小声で呟く。
おい、聴こえてるぞ、肉ダルマ。
「一応訊きますけど、ターゲットは?」
「勇者だ」
「ですよねー。因みに依頼を拒否することは?」
「それが不可能なのはお前が一番良く分かってると思うが………。まあ、別にお前が死んでも別に悲しむ奴なんて誰もいないから、諦めて依頼に行け」
「ひどっ!!」
「どうせ付き合ってる女もいないだろ、この童貞ヘタレ野郎?」
「うッ!」
確かに僕は童………魔法使い予備軍だけど、だからと言ってそこまで馬鹿にされるいわれないと思う。あー、誰か僕と付き合ってくれる子いないかなぁ。
現実の残酷さに打ちひしがれている僕に、ロイドは憐れに満ちた表情を浮かべた。
「まあ、あれだ。魔王も案外いい奴かも知れないし、お前も逃げ足だけは一人前だから万が一にも暗殺に失敗して捕まる事はないだろう。それに異世界の勇者達は畜生にも劣る屑だって裏の世界では有名だし、暗殺に躊躇する必要もない。だから、依頼者の魔王にも一度は会ってみろ、な?」
そう言って薄情なロイドは僕を無理矢理送り出そうとする。
あー、帰ってきて欲しい、僕の平穏な日常。
◇◇◇◇◇
拝啓、地球在住のお母さん。
僕、一条海斗は異世界でようやく運命の人と巡り会えました――――。
「貴方が暗殺者様ですか?」
そう聖女の如く慈悲に満ちた声で問いかけたのは、今回の依頼者である魔王だ。
一目で分かる強者の風格。
その身に纏う存在感は全てを圧倒し、強大な魔力が周囲に降り注いである。凡人ではおそらく数秒と経たずに命を落とすだろう。数々の修羅場を掻い潜ってきた僕ですら少し息苦しい。
まさに、これぞ魔王。話に聞いていた通り、この大陸にいる全ての生物の頂点に立つ最強の存在と言われるだけの事はある。
ただ一つだけ予想外の事があった――――。
魔王は、今僕の目の前に佇むこの女性は余りにも美しいのだ。
月に照らされる煌びやかな長い銀髪。炎のように真っ赤な瞳は見る者全てを一瞬で虜にするだろう。そしてどこか官能的でありながら、全く嫌な感情を与えない女神の美貌。出るところはしっかり出ていて、引き締まるところはしっかり引き締まっている。
ここまで美という字を体現した存在が彼女の他にいるだろうか?
「は、はははははははッ、はい!!僕がこ、今回の依頼をう、受ける事になった暗殺者ですッ!!」
……緊張のし過ぎで何度も繰り返し噛んでしまった。
ダメだ、落ち着け。人生初めての一目惚れなのだ。ここで冷静さを失って全てを台無しにする訳にはいかない。
なるべく冷静に平常心を保って紳士的に接することが出来れば全てが上手く行くはずだ。そうだ、自分を信じるんだ、カイト!君なら必ず出来……………。
「うふふっ、暗殺者様は緊張しておられるのですね」
あははは。
平常心を保つ?彼女の前で?…………断言しよう、少なくとも僕には絶対無理だ。
緊張してるのが表情に出でいるのではないか、顔が赤くなってはいないだろうか、そう僕が不安になっているとは露知らず、魔王様は優しく微笑みながら話し始めた。
「初めまして、私の名前はシルヴィア。もうこ存知かも知れませんが、魔王をやっています」
「は、はい。カイトと言います」
「そう緊張なさらなくても結構ですよ」
「わ、分かりました」
少し沈黙の時間が流れる。若干居心地が悪くなっているのを感じながら、僕はシルヴィアさんが話し始めるのを待った。
「それでは依頼の話を始めましょうか」
「は、はい」
「依頼書を見て分かって頂けた通り、この度はカイト様に勇者暗殺の仕事を引き受けて頂きたいのです。無理なお願いをしているのは重々承知です。ですがどうかお願い――――」
「勿論、全身全霊で引き受けたいと思います!!!」
息を荒げながら前に乗り出して言う僕に、シルヴィアさんは目を大きく見開く。
どうやら突然大声を出したので驚かせてしまったようだ。僕はコホンと一度咳をしてから、なるべく穏やかな口調で言葉を発する。
「えーと、依頼の方は元から受けると決めていました。なのでそこは心配なさらなくても結構です。暗殺が成功するよう全力を尽くします」
「本当ですか?!!ありがとございます、カイト様」
嬉しそうな表情を浮かべながら、勢い良く僕の手を握るシルヴィアさん。その瞬間思わず叫び出しそうになったが、僕の鋼の理性をフル稼働させてどうにか堪える。
………彼女の手は信じられないくらい柔らかかったとだけ言っておこう。
「ですが、一つだけ質問したい事があります」
「はい、何でしょう?」
「どうして僕を指名なされたのでしょうか?」
「……………」
「こう言っては何ですけど、僕はそこまで腕が立つ暗殺者ではありません。この仕事を始めてまだ数年ですし、難易度の高い依頼、ましてや勇者暗殺など僕には無理に近いと思います………。それに魔王様は大陸最強と謳われるほどの手練れなので、ギルドに依頼するのではなく御自分でなされたの方が手っ取り早いと思いますが……………」
「……………」
「………あ、別に依頼を受けたくないと言う訳じゃなくて、ただ少し気になってしまって………………申し訳ありません」
「いえいえ、構いませんよ。危険な仕事なので慎重になるのは当然ですから………」
一拍置いてから、シルヴィアさんは少しだけ真剣な表情になって口を開いた。
「確かに私が自分でやろうと思えば出来たと思います。寧ろ勇者暗殺なんて簡た…………コホン、不可能ではありません」
あれ?今、簡単だって言おうとした?………まあ、そんなに気にする必要はないだろうし、ここは大人しく聴かなかった事にしよう。
「では、どうして?」
「まず一つの理由としては、私が今魔王軍を離れる訳にはいかないからです。幸い、今のところ戦局は私達が若干優位ですが、そこまでの差はありません。それはひとえに勇者の存在があるからでしょう。そうして状況の中、指揮官である私が抜けて仕舞えば戦局を一気にひっくり返される可能性もありますし、かと言ってこのまま勇者達を野放しにする訳にもいきません。なので暗殺者ギルドに勇者の暗殺を依頼させて頂きました」
確かにそう言われてみれば理に適った理由だ。幾ら勇者の存在が邪魔だからって指揮官が戦場を離れる訳にはいかないからな。
僕が理解したのを見て、シルヴィアさんは二つの理由を話し始めた。
「二つは、暗殺者ギルドとの関係を深めたかったからです。もしこのまま私達魔王軍が戦争に勝利したら、当然それに反発する輩が多数出てくるでしょう。そうした存在を素早く、大きな被害を出さずに始末するには暗殺という手段が考えうる中で一番効率的です。なので今後ギルドと有効的な関係を築くという意味でも、今回はいい機会だと思いました…………。そして最後の理由は――――」
僕は無意識の内にゴクリと息を呑む。
「カイト様、貴方なら暗殺を容易に成功させると思ったからです。貴方が持つ固有スキルを用いれば、ね」
「――――!」
「ふふ、驚いてくれたましたか?」
「………はい。流石は魔王様ですね」
「ふふ、お褒め頂きありがとうございます」
『認識阻害』――――
それが僕が異世界召喚の影響で授かったスキルだ。能力はその名の通り任意の対象(複数でも可)に特定の人物、または物体を認識出来ないようにするものだ。直接的な戦闘ではあまり力を発揮する事はないが、その近い道は色々とある。例えば相手に僕を認識出来ないようにする事も可能だし、手に持つ武器を術をかけて、まるで僕が何も持っていないかのように錯覚させる事も可能だ。つくづく暗殺者向きの能力だと思う。
もし能力がバレたら対抗手段を見つけられる恐れがあるので、ロイドを除いて誰にもこのスキルの事は話していないし、万が一誰かに知られる事がないよう十分を気を付けていたつもりだ。それでも知られたのは僕の失態ではなく、単に魔王である彼女が凄いからだろう。恐らく鑑定か、それに似たスキルを持っているはずだ。
「理解頂きましたか?」
「………はい、もう十分です」
「それでは報酬の話へと移らせて頂きます」
すると、どうしてかシルヴィアさんは困ったような表情を浮かべだ」
「………本当に申し訳ないのですが、現在戦争中な為、勇者暗殺に見合う莫大な報酬を支払えるほどの資金力は魔王軍にありません」
「……………」
「なのでこういうのはどうでしょう?」
シルヴィアさんは僅かな頬を赤く染めながら、上目遣いで言った。
「私が何でも一つ言う事を聞くというのは」
………。
…………………。
……………………あれ、どうした、僕。身体がピクリとも動かないぞ。
………………頼むから動いてくれ。いや、せめて何か喋るべきだ。このままでは、シルヴィアさんに余計な心配をさせてしまう。ほら、僕が何も反応しないから、段々シルヴィアさんが不安そうな顔をしているじゃないか。だから、頼む、ここで男を見せてくれ!!
「それではご不満ですか?」
少しだけ涙を滲ませながら呟くシルヴィアさん。その様子を見て、僕は慌てて声を上げた。
「い、いえ、そんな事は………」
「わー、本当ですか。ありがとうございます。では、私は何をしたらいいでしょうか?何でも言ってください!!」
何でも、だと?
何でもって事はあれか、どんな事をお願いしてもいいって事か。………じゃ、じゃあ例えば最高に可愛いシルヴィアさんと王都の街で一緒に手繋ぎデートしたり……、最高に可愛いシルヴィアさんの蕩けるようなピンク色の唇に甘いキスしたり………、そして、そして、天使のように美しいシルヴィアさんとベットの上であんなことやこんなことを――――。
いや、流石に駄目だ!!落ち着け、カイト。もしシルヴィアさんとそんな事をしてしまったら、軽く腹上死出来るッ!!童貞卒業と同時に命日を迎える事になるぞッ!!!そ、そうだ、ここはなるべく軽めなお願いをしよう!!
僕は強い決意を胸に精一杯の勇気を出して言った。
「で、では、ぼ、僕とお、おお友達にな、なっては頂けないでしょうか?」
「お友達、ですか?」
「は、はい」
「………………」
すると突然、下に俯いて何も言わなくなったシルヴィアさん。
地獄のような沈黙が室内に漂う。その間、僕は心の底から湧き上がる後悔と絶望に苛まれ、今すぐ窓から飛び降りて自殺したくなっていた………。
僕は心が死んで行くのを感じながら、絞り出すように言った。
「あ、あの無理に、もは言いません。い、嫌でしたら勿論断って頂いても結構で――――」
「良いですよ」
……………ん?
「あの、今何と?」
「だから良いですよと言ったのです」
「……………」
「これから友人としてよろしくお願いしますね、カイトさん!!」
満面の笑みを浮かべながらそう言ったシルヴィアさんの姿は、今まで見て来た何よりも可愛かった。
けれど、どうしてだろう?
願いが聞き届けられたはずなのに、今直ぐ歓喜の叫びをあげたくなるくらい嬉しいはずなのに、無性に涙を流したくなっているのは………。
その後、やる気に火が付いた僕は全力で国に戻り、その日の内に王城に忍び込んで、勇者達もといは前の世界でずっと僕を虐めていたクラスの不良達を暗殺した。
それにより、僕はめでたく人類の敵認定をされるのだが、勇者を失った人間側が魔王軍に抵抗出来るはずもなく、戦争は瞬く間に終わりを迎え、晴れて僕とシルヴィアさんは友人になった。
めでたし、めでたし。
◇◇◇◇◇◇
時は少し遡る――――。
カイトとの面会を無事に終え自室に戻ったシルヴィアは甘い吐息を吐きながら、あられもない姿で一人運動に励んでいた。
「ぁ………はぁ、はあ、か、海斗君」
その表情は恍惚としていて、興奮しているせいか全身が薄いピンク色に染まっている。
もし今の姿を魔王軍の誰かが見たら、あまりの驚きに目が飛び出るだろう。しかし当の本人であるシルヴィアはそんな事など全く気にせず、ただひたすら情欲に満ちた声で海斗の名前を呼んでいる。
コンコン。
すると扉をノックする音が響き、メイド服を着た赤髪の美少女が部屋に入ってきた。そしてベットの上の惨状を見て溜め息を吐く。
「はぁ、魔王様。愛しの人に会えて嬉しいのは分かりますが、少しは謹んで貰わないと困ります。掃除するのは私なんですから」
赤髪メイドの少女はゆっくり歩きながら床に脱ぎ捨てられたシルヴィアの服を拾い上げ、彼女の元へと近づいて行った。
そこでようやくシルヴィアは手を止め、ゆっくりと起き上がる。
「………もー、アンリちゃん。二人の時は魔王様って呼ばないでって何度も言ってるじゃない!」
子供っぽく頬を膨らませながら喋るシルヴィアの姿を見て、アンリと呼ばれたメイド少女はもう一度溜め息を吐いた。
「はぁ、これが転生前は学校で『氷の女王』と恐れられた生徒会長『椎名凛花』と同一人物だとは到底思えませんね」
「っ!………しょ、しょうがないじゃないっ、あの時は海斗君に夢中過ぎて他の事なんてどうでも良かったのよ!生徒会長になったのだってその方が海斗君と一緒にいるのに役立つと思ったからだしっ!」
過去の、いや前世の黒歴史を持ち出され恥ずかしくなってしまったのか、顔を真っ赤に染めて言い訳をするシルヴィア。
しかし、意地悪な笑みを浮かべるアンリの顔を見て、このままではやられっぱなしになると思い反撃に出る事にした。
「ふ、ふん、そう言うアンリちゃんだって、前世ではお兄ちゃん大好きのブラコンで、しかもツンデレ引き篭もりの妹だったくせに!」
「うっ!」
「………しかもさっきのあれは何?!こっちの世界で初めて大人になった海斗君の姿を見て、『お兄ちゃんカッコ良過ぎ〜』って言いながら鼻血出して気絶するってどういうことよ!!このヘタレ妹!」
「そ、それはだ、だって、海斗お兄ちゃん信じられないぐらいカッコ良くなってるんだもんっ!」
「それには全面的に賛成だし、私も海斗君を目の前にして興奮で気絶しそうになったけど、アンリちゃんのあれは流石にないわよっ!!」
「ご、ごめんなさい………」
「全くもう………兄弟揃ってどうしようもないヘタレなんだから………」
古傷を抉られたせいか、床に手を付いて本気で落ち込み出すアンリ。
その姿を見て、シルヴィアはようやく言い過ぎたかもしれないと自覚する。それでも謝るのは不服なので、さっさと話題を変える事にした。
「でも、これでようやく海斗君に会えたわ」
「…………はい、計画通りです。後はどうやってお兄ちゃんの心を射止めるか、ですね」
「ええ。でもそこは私達の努力次第でどうにでもなるわ。幸い、海斗君は私の身体に少なからず興奮していたし」
「ほ、本当ですか?」
ニヤリと笑いながら言うシルヴィアに、アンリは驚きの声を上げだ。
「ええ、大丈夫よ、アンリちゃん。私達なら必ず海斗君を落とす事が出来るわ!」
「はい、頑張りましょう、凛花さん!!」
―――こうして魔王とそのメイドが着々と計画を立てていくのだが、カイト本人がそれに気付くのはもう暫く先の事になりそうだ。
いかがでしたか?
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