対談
「…で?
話とはなんだ?」
俺は今、ギルドの客室で、いかにもギルドマスターという感じの老人と対面していた。
「実は君のギルドカードの討伐履歴を見せてもらったんだが、ゴブリンの数もそうだが、倒したゴブリンの種類がなぁ。」
「ゴブリンの種類?」
あの集落には強そうなゴブリンは見かけなかったが、どこかにいたのか?
「そうだ。
討伐履歴には、ゴブリンジェネラルが五体、それとゴブリンキングが一体とあった。」
討伐履歴にあるのならおそらく奥にいてわからないままやってしまったのだろう。
しかし、何が問題なんだ?
「それのどこに問題がある?」
すると老人は難しい顔をして、
「うーむ、問題というわけではないが、通常ゴブリンジェネラルは、Aランクが三人いて一体倒せるとされている。
それを五体となるとな。
さらに、ゴブリンキングはSランクからAランク冒険者を集めてようやく倒せるとされている。」
あー、まじか。
やっちまったな、簡単に集落を潰すんじゃなかったな。
仕方ない、用件はステータスの開示だろうから情報を公開しない代わりに見せるしかないか。
「それで、用件は?」
俺がそう言うと、老人は真剣な表情で、
「ステータスの開示をしてほしい。
ただ、無理な場合はしなくていい。」
やはり、ステータスの開示か。
しかし、無理ならしなくていいとは、しなかったらどうなるんだ?
まあ、これ以上怪しまれても面倒だ。
開示してしまおう
「ああ、いいぞ。」
すると老人は、驚いた表情になった。
「…本当か?」
なんだこいつ、疑っているのか?
「本当だ。
冗談に思っているならしないぞ?」
すると老人は慌てて、
「ああ、すまない。
大体強いやつはステータスの開示をしないからな。
ついお前もしないのかと思ったんだ。
それで、開示してくれるんだな?」
「まあ、条件があるがな。」
「まあ、そうだろう。
言ってくれ。」
ふむ、ここで文句の一つでも言われると思ったんだが。
まあ、すんなり事が進むことは良いことだな。
「俺に関しての情報を公開しないことだ。」
「ふむ、了解した。
冒険者ギルドの名に懸けて誓おう。」
では早速、
「ステータス、隠蔽オフ。」
俺のステータスを見た老人は納得した顔で、
「ふむ、これは情報なんて公開できないな。
異世界の勇者なんて始めてみたぞ?
ただ、その強さにはなっとくがいった。」
「さて、もういいか?」
人が入ってきたら一大事だしな。
「ああ、大丈夫だ。」
では、宿を探しに行くか。
そう思って席をたつと、
「ああ、そういえば名乗ってなかったな。
俺の名前はグラン、ギルドマスターだ。
この体は俺が作った物で、俺の姿はもっと違うぞ?」
そう言うと、老人のグランの体が光だして、光が収まったらそこには筋肉がすごいおっさんに変わっていた。
「それが本当の姿か。
まあいい、俺はソータだ。
これからよろしくな、グラン。」
そう言うと、グランは少し笑いながら、
「そう呼ばれるのは久しぶりだ。
こっちこそよろしくだ、ソータ。」
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