夏山晴海の憂鬱
小さいころ、あたしは独りぼっちだった。
初めて、その映画をテレビで見た時は衝撃だった。
洋画劇場で放映されていた、昔の映画。
革ジャン、肩掛けカバン、フェルトの帽子を被った考古学者が、世界を飛び回り、宝物を巡って悪党と戦う物語。
主人公の武器は革のムチ。
そして、知恵と勇気。
時には転がる岩に追いまわされ、時にはトロッコで暴走し。
敵の妨害にも、どんな困難にも、身体1つで立ち向かう。
そして、仲間たちと共に、最後は悪党を倒すかっこいいヒーロー。
インディ・ジョーンズ。
それが、映画のタイトルで主人公の名前。
あたしは彼を師匠と仰ぎ、これからの人生の指標とすることに決めたの。
だから、あたしはインディ・ジョーンズの素晴らしさを皆で分かち合い、そして仲間たちと冒険をしようと思ったんだけど。
「ねーねー、みんなー! 冒険隊ごっこしようよ!」
「えー、なにそれー?」
「インディ・ジョーンズだよ! あたしといっしょに冒険しよ!」
「お洋服がよごれちゃうから、いやよ」
「わたしたち、おままごとがしたいから、どっか行って」
女の子達は、あたしと同じ遊びをしてくれない。
「冒険隊ごっこしようぜー!」
「おれも、おれもー」
「あたしも入れて!」
あたしが、男の子達の遊びに混ざろうとすると。
「えー、女が入ってくるなよー」
「いーじゃない、あたしもみんなと冒険したいよ!」
「女といっしょに遊べるか! みんな、あっち行こうぜー」
男の子達は、あたしといっしょに遊んでくれない。
女の子も、男の子も、あたしの周りから離れて行く。
だから、あたしは、独りでいることが多くなった。
独りで冒険家を目指して、色んなことをしていたの。
そのうち。
あの子は変わってるから、いつも変な事ばかり言っている。
あの子は変わってるから、変な事ばかりしている。
あの子は変わってるから、一緒にいたくない。
変わってる。変わってる。変わってる……。
変わり者のレッテルを貼られ、誰もあたしに近寄らなくなっていった。
あたしは、変なの?
あたしは、普通じゃないの?
インディ・ジョーンズが好きで、冒険が大好きで、何が悪いの?
そう思えば思うほど、目から涙がこぼれ、心が引き裂かれそうになる。
だったら、あたしは、独りでいい!
誰も理解ってくれないなら、独りでいい!
これが、あたし。
あたしは、あたしなの!
でも……。
あたしには、一緒に冒険してくれる仲間なんてできっこない……。
そう思って、あきらめていた、そんな時。
あたしは、あの子と出会ったんだ……。