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インディ娘ちゃんのノーテンキ学園冒険隊  作者: マックロウXK
第六章 最終決戦

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男達の覚悟

 クラウドは傷の痛みもお構い無しに、ベッドの上に立ち上がる。


「オレは、夏山晴海が好きだあああああーーーーーっ!!」


 自分の気持ちを確かめるかのように、想いよと届けと言わんばかりに、クラウドは島中に響くような声で轟き叫ぶ。

 クラウドの背中に、不死鳥の様な炎のオーラが吹き上がっていた。


「おめぇ……、めちゃくちゃ分かりやすい奴だなぁ……」


 ちょっと背中を押しただけで、この変わりよう。

 楽しそうに呆れるムラサメの前で、クラウドはベッドから降りると、土下座をする。


「おい……、何のつもりだ?」

「オレは、今から晴海を助けに行く! だけど、お前の言うとおり、手負いのオレ1人じゃ救い出すのは無理だ! 敵であるお前に言うのは筋違いだと思うが、頼む! お前の力を貸してくれ! いや、ムラサメ先輩、お願いします!」


 地面に額をガツンッと叩きつけ、凄絶な男の覚悟を見せるクラウド。 


「おう。いいぜぇ」

「やっぱ、ダメか……。って、えっ? いいのか?」


 思わぬ回答に、目を丸くするクラウド。

 ムラサメは1本の指を立てながら。


「条件は1つ。あの嬢ちゃんを無事助ける事ができたら、おめぇ、ムラサメ小隊に入れ。それが飲めねぇなら、手は貸せねぇぞ」

「いいぜ! それで、晴海を助けられるなら、むしろ条件が安すぎる。なんなら、命もくれてやるぜ!」

「いや、命はいらねぇ。そんなもん貰っても持て余すだろ」

「じゃあ、(しり)()(だま)をやる」

「俺様ぁ、カッパかよ? だが、俺様と組んだところで、勝てる見込みは10(パー)もねぇぞ。それでもやんのか?」

「城の中にはブラザーズと雷也もいる。それに、オッズ10倍なら命を賭けるには充分だ!」

賭博師(ギャンブラー)だな、おめぇ……。いいだろう! 覚悟の程は伝わったぜぇ!」


 立ち上がったクラウドは、ムラサメとがっしりと腕を組み、友情タッグが成立する。

 そして、ムラサメは大音響で部下たちを呼ばわった。


「聞けぇ、おめぇらぁーっ! 俺様ぁこれからコイツと行動を共にし、サバイバル同好会に反旗を翻す! だが、おめぇらまで巻き添えにするつもりはねぇ! おめぇらは荷物をまとめて、とっとと島から脱出しろい!」

「その命令だけは、聞けないっすね」

「……んだとぉ?」


 周りの茂みから、十数人の兵士達がワラワラと出て来て、テントの中に入ってくる。


「水臭いっすね。俺たちも付いていくって言ってんすよ」

「隊長、我々も行きます!」

「自分達も戦わせて下さい!」

「お願いします!」

「隊長!」

「おめぇら……、本当にバカの集まりだぜ!」


 隊員たちの覚悟を聞き、ムラサメはカルシウムの効いた、白い歯を見せる。

 だが、部下たちはいきなり憤慨する。


「バカとはなんだ、バカとはーっ!」

「せっかく、ついて行くって言ってんのによ!」

「この、クソ隊長がっ!」

『ブーブーブー!!』

「ほめてんだよ! 雰囲気で分かんだろが! ホントに馬鹿の集まりだなっ!」

「まあ、隊長が隊長っすからね」


 副隊長のニワカの皮肉に、ムラサメは頭のバンダナを外しながら苦笑いをする。


「ははっ、ちげえねえや」


 そして、グリーンベレーのニワカ軍曹はクラウドに向かって、チャラい敬礼ポーズをしながら。


「つー訳で、俺たちも一緒に行く事になったから。よろしくな」

「ああ、望むところだ! ……って、お前、誰だっけ?」


 ガクッとずっこけるニワカ。


「俺だよ、谷若! 谷若(たにわか)鷲羽(しゅうう)! これ、雨森たちにもやったぞ!」

「冗談、冗談。商売人(ばいにん)が、クラスメートの顔を忘れる訳ないだろ?」


 まったく、何の再放送だよ、と愚痴るニワカ。

 するとクラウドから、ぐるるる、ぎゅーと盛大な腹の虫が鳴る。


「おっ、腹減ったか? おっしゃあ! そんじゃ、まずは腹ごしらえだ、ありったけの食料使って豪勢なメシにしやがれぇ!」

「あ、それなら、もう準備できてますよ。本部テントの外に並べてます」

「マジか!? あとは作戦も練らねぇといけねぇなぁ」

「あ、それなら、草案はできてますよ。後は隊長たちの意見を聞きながら調整をするだけっす」


 すでにこうなる事を見越していたかのように、ムラサメ小隊の副隊長兼、料理長兼、軍医兼、作戦参謀のニワカがさらりと言う。


「マジでか!? さすが、我がムラサメ小隊が誇る副隊長! そんじゃ、早速メシ食ってから、作戦会議でぇ!」

『うおおおおおーっ!』

「って、あんた、食ったら寝るじゃないすか。作戦会議が先、メシは後っす」

「ちぇっ、おめぇはオカンかよ」


 母親に咎められた子供のように、ふくれるムラサメ。


「軍曹っす。とりあえず、作戦名だけ決めといてください」

「しゃあねぇ! 全員、時計を合わせやがれ! 1900から、作戦を開始する。作戦名は、天変地異を表す『テンペスト』だ! 暴れまわんぜぇ!」

『ヒャッハー!』


 ムラサメの号令に、隊員達は準備に散る。

 こいつら、いつもこんなノリなのか? と、クラウドは入隊した後の事を不安に思うが、新たな仲間ができたのは頼もしい。


「すまねー、ムラサメ。オレらのためにここまでしてもらって」

「まあ、上層部の奴らとは、決着(ケリ)をつける必要があったからな。ちょうど渡りに舟ってところだ」


 上層部、決着。

 この男にも背負う物があると、クラウドは感じる。


「それに、おめぇらのためじゃねぇ。俺様たち自身のため、真の自由を勝ち取る為に戦うんだよ」


 ムラサメは、不器用なウインクをして見せると、クラウドの胸を小突く。


「いてっ」

「あ。ケガしてんだった、すまねぇすまねぇ。後はまあ、俺様もあの嬢ちゃんの事は気に入ってるんでな。あとは乳さえデカけりゃ、すげぇいい女なんだがなぁ」

「同感だ」


 クラウドとムラサメは、再びがっちり腕を組み、ここに真の友情タッグが完成した。

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